米国、パトリオットミサイル備蓄の4倍増を目指す
米陸軍は2026年度予算において、パトリオットミサイルの備蓄量を従来の約4倍に増加させるための資金確保を目指している。実際に生産を増強するとなれば巨額の投資が必要となり、防衛産業にとっても影響の大きなプロジェクトになりうる。 パトリオットミサイルは、米陸軍が保有する対空防衛の主力ミサイルである。直近ではイランのミサイル攻撃からカタールの基地を防衛するのに用いられたことが確認された他、ウクライナへの供与…
米陸軍は2026年度予算において、パトリオットミサイルの備蓄量を従来の約4倍に増加させるための資金確保を目指している。実際に生産を増強するとなれば巨額の投資が必要となり、防衛産業にとっても影響の大きなプロジェクトになりうる。 パトリオットミサイルは、米陸軍が保有する対空防衛の主力ミサイルである。直近ではイランのミサイル攻撃からカタールの基地を防衛するのに用いられたことが確認された他、ウクライナへの供与…
中国の国産戦車は、ソ連の「T-54」をノックダウン生産した「59式戦車」に始まり、中ソ対立を経て西側技術も取り入れつつ発展してきた。当初から輸出もされており、59式戦車はパキスタン、ベトナム、イラク等の実戦でも運用されている。 中国の兵器製造企業である「中国兵器工業集団有限公司」の傘下には兵器輸出企業「中国北方工業公司(通称:ノリンコ)」があり、火砲、装甲車両、誘導弾、ドローンなど様々な中国製兵器を輸出し…
米国防総省は9月29日、米航空宇宙・防衛大手RTX社の事業部レイセオン(Raytheon)が、米陸軍向けに無人機迎撃用ミサイルシステム「コヨーテ(Coyote)」を供給する総額50億4000万ドル(約7418億1700万)の契約を獲得したと発表した。契約はコストプラスフィックスドフィー(CPFF:Cost Plus Fixed Fee)方式で、固定・移動式発射台と運動エネルギー・非運動エネルギー迎撃体、Kuバンドレーダー[1]など一連の装備が対象となる。 コ…
米国のオーバーランドAI(Overland AI)社は8月28日、米陸軍による「UxS自律機動プログラム(UxS Autonomous Maneuver Program)」に選定されたことを発表した。本プログラムは、歩兵分隊車両(ISV:Infantry Squad Vehicle)をAIによって自律運用可能に改修するものであり、実証実験を通じてその信頼性を検証する。オーバーランドAI社の共同創設者・社長のステファニー・ボンク(Stephanie Bonk)氏は「真のオフロード能力を提供…
2025年6月、ウクライナ軍は無人航空機(UAV)への撃墜能力を向上させるため、新型となる対ドローン専用弾(5.56×45mm)の運用を正式に承認した。 この専用弾は、ウクライナの国防技術開発グループ「Brave1」により開発されたもので、特殊な弾頭を採用しているのが特徴である。これにより、DJI社の「Mavic」に代表される市販ドローンに対して、従来よりも高い迎撃効果が発揮できると説明されている。 この弾薬はウクライナ軍で広…
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻するまでは、塹壕戦など、はるか遠い昔の出来事だと思っていた。開戦からほどなくして、塹壕に飛び込むドローン、ウクライナ軍の侵攻を食い止める幾重にも張り巡らされた鉄条網とコンクリートブロック、そこに守られた塹壕...開戦から3年を経過した今、両軍の兵士が塹壕を活用する光景が日常的に見られる。 まるで第一次世界大戦あたりまでタイムスリップしたような状況において、ドイツ…
世界最大手の防衛企業、米ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社は9月3日、米陸軍から98億ドル(約1兆4,335億円)の契約を受注したと発表した。これは、迎撃ミサイル「PAC-3 MSE(Patriot Advanced Capability-3 Missile Segment Enhancement)」1,970基と関連装備の製造に関する契約で、同社のミサイル・火器管制部門で過去最大の受注額となる。これにより、米国および同盟国の防空能力を強化する狙いがある。 PAC-3 MSE…
米ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社の事業部門であるロータリー・アンド・ミッション・システムズ(Rotary and Mission Systems)は、米陸軍との間で、次世代指揮統制システム(NGC2:Next Generation Command and Control)のプロトタイプ開発を主導する契約を獲得した。 ロッキード・マーティン社は、従来の指揮統制(C2:Command and Control)のシステムエンジニアリングとプロジェクト管理の専門性を活かして、…
NSBT Japan チーフ・アナリスト中條 剛 2025年9月3日、「抗日戦勝利80周年」として中国北京で行われた軍事パレードで、数多くの新兵器が登場して話題になっている。登場した兵器は100種類以上と言われ、その中でも今回新たに確認された第6世代と目されるステルス戦闘機、複数の新型対空・対艦ミサイル、対ドローン用大型レーザー、ロシアのT-14アルマータを彷彿とさせる戦車、大陸間弾道弾などが特に注目を集めている。 各種新…
フィンランド陸軍は8月26日、2025年から2035年にかけて実施する国防改革計画を発表した。これは、陸上防衛全体の近代化を目指すもので、現実的な脅威認識、技術革新の進展、同盟国や防衛産業との協力を基盤とする長期的な取り組みとなる。 陸軍によれば、この計画は現代戦の教訓や国家・NATOの指針、即応態勢の要請、防衛協力、技術開発、資源状況などを踏まえて進められる。調達力や配備準備、打撃能力の充実に加え、インフラの…
高品質タクティカル装備で知られる米High Speed Gear社のグループブランド、BlackPoint Tactical社は、RE Factor Tactical社と共同開発した新製品「40㎜てき弾用ストックアダプタープレート(SAP)」を発表した。 このSAPシステムは、兵士たちが戦場のように過酷な環境下で使用することを想定して設計されており、40㎜てき弾を発射機の銃床(ストック)へ直接装着するためのアダプターである。 本体には、厚さ0.125インチ(約3.1…
中国人民解放軍(PLA)に正式採用されている「QBZ-191」小銃が、タクティカルスコープの標準装備によって命中精度を大幅に向上させており、今後さらなる改良が予定されていることが、中国国営メディアCCTVの報道で明らかとなった。 CCTVの軍事チャンネルは2025年6月、QBZ-191の生産を担う建設工業公司(中国南方工業集団公司の傘下)を取材した。同社の工場では、この小銃の製造から調整、最終検査までが一貫して行われている。 …
BAEシステムズ社の完全子会社であるボヘミア・インタラクティブ・シミュレーションズ(BISim)社が、カナダ国防省からバーチャル環境訓練システム(DVT:Digital Virtual Trainer)を受注した。契約には5年間のエンタープライズライセンスと、3年間の保守サポートが含まれる。このDVTによる訓練は、カナダ陸軍全体の即応性に寄与するものである。 DVTによって、カナダ陸軍の隊員は、世界各地を模したリアルな没入型仮想環境で訓練…
ポーランド国防省は、陸軍の装軌車両戦力を拡充するため、韓国の防衛企業である現代ロテム社と約65億ドル(約9,620億円)の契約を締結し、K2戦車[1]180両と付属車両81両を追加発注した。 この計画では、戦車が2026年から2030年の間にポーランド軍に供給される予定だ。ポーランド国防省は声明で、「2026年から2027年にかけて現行のK2GF型の116両が納入され、2028年から2030年にかけてはK2PL型が64両納入される。K2GF型は韓国で生産…
ドイツの防衛大手ラインメタル社は、バルト諸国のエストニアとリトアニアから総額約3,300万ユーロ(約56億円)に上る歩兵用弾薬の供給に関する発注を受注した。 エストニアとは2025年第2四半期に手榴弾の納入に関する契約を行った。この契約に基づき、破片手榴弾が2026年と2027年に、攻撃用手榴弾[1]が2026年から2029年にかけてそれぞれ大量に納入される予定だ。注文総額は約1,700万ユーロ(約29億円)となる。 一方、リトアニ…
英陸軍は2025年5月、新型指令装置(LWCLU)を使用したジャベリン対戦車ミサイル(ジャベリン)の実弾射撃を初めて成功させた。 英国のソールズベリー平原で実施された実射訓練では、ジャベリンが従来の有効射程である2kmを大幅に上回る4kmの長距離射撃能力を実現し、LWCLUの性能が実証された。 ジャベリンはレイセオン(Raytheon)社とロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社が共同で開発し、1996年より米軍で運用が始まっ…
米陸軍は、M4A1小銃にスマートシューター(Smart Shooter)社製のスマート照準システム「SMASH 2000L」を装着し、兵士の対ドローン能力を強化している。 2025年6月6日、米陸軍第2騎兵連隊は、ドイツのホーエンフェルスにある統合多国籍即応センター(JMRC:Joint Multinational Readiness Center)で実施された対UAS(無人航空機システム)「フライトラップ」演習に参加した。演習はウクライナ戦争以降、現代戦における最大の課題…
中国の国営メディアCCTVは2025年7月13日、国防軍事チャンネル「CCTV-7」において、中国人民解放軍陸軍の第76集団軍の部隊が演習において4足歩行のUGV「机器狼(ロボティック・ウルフ)」と共に戦闘行動を取る映像を公開した。 この映像はCCTVで繰り返し報道されるとともに、XやYouTubeにおいても衝撃をもって拡散されている。 映像の概要問題の映像は広大な丘陵の斜面で、2つの小隊(約30名規模)が隊長の訓示を受けるところから…
ウクライナの防衛企業であるTENETA社が、小型ドローンに対抗するための使い捨てネットランチャー「MITLA 1」を発表した。 MITLA 1は重量365g、長さ20cm、直径4cmとコンパクトで、エナジードリンクの缶ほどのサイズである。小銃用の弾倉(5.56mm×45口径の30発入り)よりも軽量で、携行が容易である。 この装置は、FPV(一人称視点)ドローンや偵察用クアッドコプターに対して3.5×3.5mのネットを発射し、プロペラを絡ませて停止…
米レイセオン社は2025年5月16日、極超音速ミサイルの追跡が可能な「終末高高度防衛(THAAD:Terminal High Altitude Area Defense)」システム向けの改良型レーダーを、米ミサイル防衛局(MDA)へ納入したと発表した。 同社で航空宇宙防衛システム要件を担当するジョン・ノーマン(Jon Norman)副CEOによれば、新型のXバンドレーダー「AN/TPY-2」 は従来型に比べて探知距離が大幅に延長されている。これにより、陸軍のTHAAD部隊だ…