北極圏を見据えた再武装 ~カナダ陸軍、装甲部隊強化の真意~
NSBT シニア・アナリスト 中條 剛 カナダは陸軍の装甲部隊を急速に強化している。 英国の防衛産業・軍事分野に特化したニュースと市場情報のサイト「Shephard[1] 」によると、カナダは250台以上の装甲戦闘車両(AFV)の購入を検討しており、当初の目標であった2035年までの配備を前倒し、2029年から2031年までの配備を目指しているという。 ロシアと陸続きの欧州各国と異なり、同じく海を挟む英国よりもロシアと離れているカナ…
NSBT シニア・アナリスト 中條 剛 カナダは陸軍の装甲部隊を急速に強化している。 英国の防衛産業・軍事分野に特化したニュースと市場情報のサイト「Shephard[1] 」によると、カナダは250台以上の装甲戦闘車両(AFV)の購入を検討しており、当初の目標であった2035年までの配備を前倒し、2029年から2031年までの配備を目指しているという。 ロシアと陸続きの欧州各国と異なり、同じく海を挟む英国よりもロシアと離れているカナ…
NSBT アナリスト 小松 和郎 米陸軍はこのほど、M1A2エイブラムス戦車の後継として開発が進められてきた「 M1E3概念実証車両(仮称:M1E3X) 」を公開した。同戦車は、高速性や軽量化、高い燃費効率を備えるほか、人工知能(AI)を搭載し、有人・無人の連携運用する「有人無人チーミング」を前提として設計された。ただし、これらは特徴の一部にすぎない。 本計画は、エイブラムスが持つ高い対装甲攻撃力という強みを維持しつつ…
NSBT シニア・アナリスト 中條 剛 地上戦における攻防は、「エリア(地域)」の奪い合いになる。ウクライナ戦争でロシア軍が「竜の歯」と呼ばれるコンクリートブロックを並べ、地雷原を構成していたことを記憶している方もいるのではないだろうか。もはやこのような地上部隊による陣地構築を見ることはないと思われていただけに、あらためて地上戦における敵陣地の突破はエリアの奪取に必要不可欠な要素だと世界各国の陸軍は認識…
NSBT アナリスト 小松 和郎 米陸軍は、新型の対装甲地雷「XM204(Terrain-Shaping Munition)」が一連の試験をクリアしたのを受け、欧州での配備を承認した。センサーで車両を探知し自動的に攻撃する対車両地雷は従来から構想されたが、実用段階での配備に至るのは今回が初めてとなる。 XM204は、車両の通過(踏み込み)圧力で起爆する従来の対戦車地雷とは異なり、本体に装填(てん)された複数の子弾により、遠隔距離から敵車…
NSBT シニア・アナリスト 中條 剛 81mm迫撃砲は陸上自衛隊で、主に普通科連隊のナンバー中隊[1]に装備される代表的な曲射火器[2]だ。「L16」と呼ばれ、英国ロイヤル・オードナンス(Royal Ordnance)社で開発され、世界の約40カ国で採用されているベストセラー兵器でもある。日本では1992年から豊和工業がライセンス生産している。米国ではL16A2を改良した「M252」が1987年に採用され、陸軍と海兵隊で今日でも使用されているが…
米陸軍は、老朽化したM2ブラッドレー歩兵戦闘車の後継として次世代車両「XM30歩兵戦闘車(XM30 IFV)」の開発を本格的に進めている。 XM30 IFVは、ドローン群攻撃(ドローンスウォーム)や上空からの攻撃に対応したアクティブ防護システム(従来は側面防御が中心)、さらに電子防護(ECCM)など、次世代戦闘環境に耐えうる設計である。これにより機械化部隊の戦術と生存性を大きく進化させることが期待されている。この車両は、M2…
現在も継続中のウクライナの戦争では、戦闘の主役は戦車や戦闘機からドローンへ急速に移行している。この変化はSNSや報道で広く伝えられているが、軍の補給担当者にとってはまさに悪夢である。補給車両や補給拠点は絶えずドローンや長距離兵器(戦術ロケットなど)の標的となり、前線部隊への補給自体が戦闘任務に匹敵するほど危険な活動へと変質しているからだ。 第二次世界大戦以降、米陸軍の後方支援指揮官たちは、空軍の能力…
米陸軍は、同国企業エアジュール・テクノロジーズ(AirJoule Technologies)社と共同で、部隊に真水を供給する技術開発に着手した。空気中の水蒸気から水を採水する技術を用いる予定で、実現すれば部隊の運用に革新をもたらす可能性がある。 部隊への真水供給は、軍における長年の課題である。新鮮な水を後方から供給する場合には、補給への負担が大きいだけでなく、寸断された際のリスクも高く、軍にとって悩みの種であった。歴…
米国の防衛企業セーフ・プロ(Safe Pro)社は、物体検知AI技術を米陸軍の短距離偵察(SRR:Short Range Reconnaissance)プログラムのドローンへ組み込むことに成功したと発表した。同社はAIを活用したセキュリティ及び防衛技術を扱っている。 セーフ・プロ社は、AIによるコンピューター視覚システムを通じて、米陸軍の将来のドローン部隊に、爆発物脅威の検知能力と部隊防護能力、情報収集・監視・偵察(ISR)作戦を実施する能力…
米陸軍は、分隊レベルの火力を飛躍的に向上させることを目的とした次世代兵器「精密グレネードランチャーシステム(Precision Grenadier System:PGS)」の開発を本格化している。 2025年10月1日、FNハースタル社の米国法人FN America, LLC社は、PGSの開発に向けた200万ドル(約3億円)の契約を獲得したと発表した。この契約で、同社が提案する30mm多目的グレネードランチャー「MTL-30」の開発はさらに加速するとみられる。 MTL-…
米国のエアロ・バイロメント(AeroVironment)社は、パートナー企業のパリー・ラボ(Parry Labos)社とともに、米陸軍の長距離偵察用無人航空システム(UAS)を供給する「その他取引契約[1]」を獲得した。 基本契約額は1320万ドル(約20億6000万円)で、追加オプションが発注される場合は総契約額が最大4200万ドル(約65億5200万円)に達する。P550は完全なバッテリー式のUASで、長距離の情報収集・監視・偵察と合わせて、攻撃機…
ラインメタル社傘下のRMMV社[1]が、デンマーク国防装備調達局(FMI)より最大1000台のHXトラックおよびTGトラックを供給する包括契約を締結した。契約には100台以上の初期発注が含まれており、発注額は数千万ユーロ規模となる。 現在、デンマーク軍は重装歩兵旅団の強化を進めており、新たなトラックの調達はその一環である。車両の納入は極めて短期間で行われる予定で、最初の発注分は2027年までに納入される。契約内容には保守…
新戦車(エイブラムスX)は本当に必要なのか「戦車の役割はもう終わった」新たな軍事技術が登場するたび、そう言われてきた。ウクライナやガザ、スーダンの紛争では、安価ながら強力な爆薬を搭載したドローンが大戦果を上げ、巨大な戦車を次々と撃破している。このことは戦車にとって最大の脅威となっていることは間違いない。 それでも米陸軍は、数十年ぶりとなる新型戦車計画「エイブラムスX」に着手している。この選択は時代…
狙撃銃は、もともと狩猟用の道具から発展し、戦場で使用される高度な精密兵器へと進化してきた。現代の軍事作戦では、遠距離における精確な射撃が戦闘の行方を左右する場合も少なくない。そのため、狙撃システムは市街戦からオープンエリアの戦闘に至るまで、極めて重要な役割を担っている。米陸軍の狙撃銃には、射程・適応力・性能など数十年にわたる革新の積み重ねが反映されている。 狙撃銃の評価基準軍事専門家や火器のスペ…
米国の自律射撃統制システム(Autonomous Targeting System)で知られるエイム・ロック(AimLock)社が、オーバーランドAI(Overland AI)社と提携すると発表した。オーバーランドAI社は、防衛産業向けに自律無人車両(A-UGV)などの地上ソリューションを提供している企業である。 今回の提携では、エイム・ロック社のシステムとオーバーランドAI社の無人地上車両(UGV)である「ULTRA」を組み合わせる。 オーバーランドAI社のULT…
米陸軍は2026年度予算において、パトリオットミサイルの備蓄量を従来の約4倍に増加させるための資金確保を目指している。実際に生産を増強するとなれば巨額の投資が必要となり、防衛産業にとっても影響の大きなプロジェクトになりうる。 パトリオットミサイルは、米陸軍が保有する対空防衛の主力ミサイルである。直近ではイランのミサイル攻撃からカタールの基地を防衛するのに用いられたことが確認された他、ウクライナへの供与…
中国の国産戦車は、ソ連の「T-54」をノックダウン生産した「59式戦車」に始まり、中ソ対立を経て西側技術も取り入れつつ発展してきた。当初から輸出もされており、59式戦車はパキスタン、ベトナム、イラク等の実戦でも運用されている。 中国の兵器製造企業である「中国兵器工業集団有限公司」の傘下には兵器輸出企業「中国北方工業公司(通称:ノリンコ)」があり、火砲、装甲車両、誘導弾、ドローンなど様々な中国製兵器を輸出し…
米国防総省は9月29日、米航空宇宙・防衛大手RTX社の事業部レイセオン(Raytheon)が、米陸軍向けに無人機迎撃用ミサイルシステム「コヨーテ(Coyote)」を供給する総額50億4000万ドル(約7418億1700万)の契約を獲得したと発表した。契約はコストプラスフィックスドフィー(CPFF:Cost Plus Fixed Fee)方式で、固定・移動式発射台と運動エネルギー・非運動エネルギー迎撃体、Kuバンドレーダー[1]など一連の装備が対象となる。 コ…
米国のオーバーランドAI(Overland AI)社は8月28日、米陸軍による「UxS自律機動プログラム(UxS Autonomous Maneuver Program)」に選定されたことを発表した。本プログラムは、歩兵分隊車両(ISV:Infantry Squad Vehicle)をAIによって自律運用可能に改修するものであり、実証実験を通じてその信頼性を検証する。オーバーランドAI社の共同創設者・社長のステファニー・ボンク(Stephanie Bonk)氏は「真のオフロード能力を提供…
2025年6月、ウクライナ軍は無人航空機(UAV)への撃墜能力を向上させるため、新型となる対ドローン専用弾(5.56×45mm)の運用を正式に承認した。 この専用弾は、ウクライナの国防技術開発グループ「Brave1」により開発されたもので、特殊な弾頭を採用しているのが特徴である。これにより、DJI社の「Mavic」に代表される市販ドローンに対して、従来よりも高い迎撃効果が発揮できると説明されている。 この弾薬はウクライナ軍で広…