動けば、撃たれる。 ~現代戦における「陣地戦」とインフラ防衛…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 「機動」が強みであり、弱点にもなる時代現代の陸上戦では、「速く動くこと」だけが勝利に直結しなくなっている。ドローン、衛星、各種センサー、電子戦、長射程火力によって、部隊の移動や集結は以前よりもはるかに発見されやすくなった。 かつて機動は、敵を圧倒し弱点を突き、主導権を奪うための有効な手段であった。しかし現在では、動けば見つかり、集まれば叩かれ、補給線…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 「機動」が強みであり、弱点にもなる時代現代の陸上戦では、「速く動くこと」だけが勝利に直結しなくなっている。ドローン、衛星、各種センサー、電子戦、長射程火力によって、部隊の移動や集結は以前よりもはるかに発見されやすくなった。 かつて機動は、敵を圧倒し弱点を突き、主導権を奪うための有効な手段であった。しかし現在では、動けば見つかり、集まれば叩かれ、補給線…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 Leopard戦車をXRで慣熟操作、整備訓練ウクライナ軍が、現実と仮想世界を融合させた新技術(Extended Reality:XR)訓練システムを新たに採用する。中核を担うのは、フィンランドのVarjo社とノルウェーのFynd Reality社だ。Varjoの発表によれば、この取り組みはノルウェー企業Fynd Realityが主導し、VarjoはXR技術プロバイダーとして参画する。 訓練対象はドイツ製主力戦車「Leop…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 豪州の海洋環境 豪州は、大きな国土を有するのと同時に、非常に大きな海域を有する国でもある。海岸線は約6万kmに及び、本土に加えて8222の島々を抱える海洋国家である。そして排他的経済水域(EEZ)は世界でも有数の広さを持つ。つまり豪州にとり海を守るということは、港や沿岸を見張るだけではなく、広大で分散した海洋の空間を、長く、広く、途切れずに見続けることを…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 e-Pointsとは何かウクライナが進めるe-Points(ポインツ)は、単なる電子決済の仕組みではない。それは、前線の成果を次の装備取得へと結びつける、戦時調達の新たな制度である。 ウクライナ国防省は2026年3月、e-Pointsで調達できる対象を拡大し、通信機器や光学センサー、信号中継器、航法機器、電源系、ペイロード投下装置などの構成部品までを対象に加えた。 狙いは明確だ…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 エリートを守れ世界最高峰の選手たちが、国家の期待を背負ってピッチに立つ。W杯で私たちが目にするのは、鍛え抜かれた身体、研ぎ澄まされた技術、そして極限状態でも競技を続ける精神力である。だが、どれほど鍛えられたトップアスリートでも、熱から逃れることはできない。むしろ能力が高く、責任感が強く、簡単には競技を降りない人間だからこそ、身体の限界を越えてしまうこ…
辻行燈| SENTINEL NOTESNSBT アナリスト 辻 一平 2026年5月、米フロリダ州タンパで開催されたSOF WEEKで、特殊作戦コマンド(SOCOM)、北方軍(NORTHCOM)、南方軍(SOUTHCOM)の各司令官たちは、特殊作戦部隊、すなわちSOFの将来像について重要なメッセージを発信した。 登壇したのは、SOCOM司令官のフランク・M・ブラッドリー海軍大将、NORTHCOM司令官のグレゴリー・M・ギヨー空軍大将、SOUTHCOM司令官のフランシス・L・ドノ…
NSBTアナリスト辻 一平 辻行燈| SENTINEL NOTES SOF Weekの会場を歩くと、どうしても「戦うための技術」が注目される。特殊作戦という言葉が持つ響きも、夜間潜入、直接行動、偵察、精密打撃、対テロ作戦といったイメージを連想させる。しかし、特殊作戦の本質を考えるなら、もう一つ見落としてはならない領域がある。それが戦場における医療「衛生」の分野である。 SOF Weekは、米フロリダ州タンパで開催される特殊作戦コミュ…
国際ネットワーク、官民接続、そして日本版能力化パイプラインNSBTアナリスト 辻 一平 SOF Weekを日本から見るとき、単に「米国特殊作戦部隊の展示会」として眺めるだけでは不十分である。もちろん、そこには最新の装備、人工知能(AI)、無人システム、通信、電子戦、C-UAS、特殊作戦航空、医療、人的能力向上に関する多くの技術が集まる。第1夜では、特殊作戦が対テロから戦略的競争と国土防衛へと役割を広げていることを整理…
SOF Week 2026から読む特殊作戦の潮流NSBTアナリスト 辻 一平 SOF Weekを見るとき、私たちはつい展示された装備に目を奪われる。人工知能(AI)、無人機、電子戦、C-UAS、特殊作戦航空、通信、センサー、医療、人的能力向上――これらはどれも重要で、現代の特殊作戦を支える技術であることは間違いない。 しかし、本当に見るべきものは、技術そのものではない。その技術が、どんな作戦を成立させるために必要とされるのか、ど…
SOF Week 2026に見る戦略的競争と国土防衛 NSBTアナリスト 辻一平 特殊作戦部隊と聞くと、多くの人は対テロ作戦、人質救出、敵地への潜入、精密な直接行動を思い浮かべるかもしれない。 たしかに、2001年9月11日に米ニューヨークで発生した9.11同時テロ事件以降の長い時代において、米国の特殊作戦部隊、いわゆるSOF(Special Operations Forces)は、対テロ戦争の中心にいた。アフガニスタン、イラク、シリア、アフリカ、中東…
NSBT Japan アナリスト 辻 一平 辻行燈| SENTINEL NOTES 2026年、戦争の構造は静かに変わり始めている。 その変化を象徴する二つの作戦がある。一つは南米で実施されたベネズエラ作戦。もう一つは中東で実施されたイラン攻撃である。これらの作戦には共通点がある。それは「生成AIの軍事利用」だ。 「生成AI」とは、あらかじめ学習済みの知識を使って答えを予測する人工知能(AI)と違い、深層学習を繰り返して知識を深め続け…
NSBTアナリスト辻 一平 辻行燈| SENTINEL NOTES 無人機は「装備」ではなく「国家能力」であるウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とポーランドのドナルド・トゥスク首相は2026年2月、無人機(UAS)の共同生産に関する意向書に署名した。ゼレンスキー大統領はこれを「欧州の防衛に不可欠」と位置づけたが、この言葉は単なる外交辞令ではない。 本件が示すのは、無人機をどの性能で、どの国から、いくらで買うか。と…
NSBT アナリスト辻 一平 政府が設立に向けて準備を進めている「国家情報会議」創設法案の概要が報じられた。注目すべきは、その事務局となる国家情報局に、外国勢力によるスパイ活動を防ぐ「CI:カウンターインテリジェンス(防諜)」の総合調整機能を持たせる点である。専門的で難しい話に聞こえるかもしれないが、本質はシンプルだ。 「日本は、自国の情報と技術を、これまで以上に守ろうとしている」という国家の意思表示で…
NSBTアナリスト 辻 一平 辻行燈| SENTINEL NOTES 2人目は高リスクの任務で回収イラン上空で撃墜された米空軍F15Eは、単なる「撃墜」と「救出」のニュースでは終わらなかった。公開情報で確認できたのは、搭乗員2人が最終的にともに救出されたこと、そして米中央軍(CENTCOM)が4月5日、両搭乗員は4月4日に別々の捜索救難任務で安全に回収されたと発表していることだ。ロイター通信とAP通信も、1人目が先に救助され、その後、2…
NSBT アナリスト 辻 一平 辻行燈|センチネルノーツ 連載開始にあたり防衛とビジネスは、長いあいだ別の世界の言葉で語られてきた。 防衛は「国家」「安全」「脅威」の言葉で語られ、ビジネスは「市場」「効率」「利益」の言葉で語られる。両者は確かに役割も論理も異なる。しかし、現実の世界ではこの二つは、すでに同じ交差点に立っている。 ウクライナ戦争が示したのは、戦場の変化だけではない。それは同時に、産業構造の…