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宇宙安全保障

宇宙の組み込みが示唆するもの

NSBT アナリスト小泉 吉功 最近よく、統合作戦で宇宙能力が重要な役割を果たしたと聞く。とりわけ、米国中央軍を率いるブラッド・クーパー司令官(海軍大将)が「宇宙優勢が統合部隊の作戦遂行における極めて重要な基盤であり、不可欠な要素である」と述べ、特に「イランに対する現在進行中の軍事行動において、米宇宙軍(USSF)が果たした決定的な役割」を強調したメッセージは有名である[1]。 クーパー大将はまた「われわれの…

2026/10/02 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

欧州の非軍事宇宙機関による国家安全保障宇宙の技術的主導性

宇宙分野に関しては現在、国家安全保障宇宙や軍事宇宙、シビル政府機関宇宙、商業宇宙など、さまざまな分野が存在するが、改めてそれらの再定義が必要と感じる。それだけ、世の中の変化が早いということで、政府機関も産業界も、あるいはわれわれの認識も、現状に追従するのが難しい状況と思われる。 国家安全保障宇宙の広がり今回は、非軍事の政府宇宙機関が、国家安全保障宇宙(National Security Space)を支える仕組みがます…

2026/09/11 NSBT Japan 編集部
宇宙 欧州

有人宇宙作戦の必要性と現実問題

NSBT アナリスト小泉 吉功 今回のコラムは、「有人宇宙作戦の必要性と現実問題」と題して書いた次第である。読者の中には「何を突拍子もない話題を」と思う方がいるかもしれない。もちろん、米国の現状分析だが、併せて、わが国の状況についても触れてみたい。 きっかけは、米国ミッチェル研究所が今年5月に発行した論文、「Military Human Spaceflight: A Key Component to U.S. Space Superiority(軍事有人宇宙飛行:米国の…

2026/08/18 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

宇宙のデュアルユースを巡る議論

NSBT アナリスト小泉 吉功 内閣府の宇宙基本計画や防衛省の技術指針に基づき、どの技術が民生・軍事の両方に適用可能かを明確化する議論が進んでいる。しかし、これが宇宙に関して、デュアルユース技術と非デュアルユース技術を識別しようとの動きになるならば、たとえわが国独自の事情があるにせよ、世界の動向と乖離(かいり)が生じるのではないかと懸念した次第だ。なぜならば、宇宙能力は、その用途に関わらず、本質的にデ…

2026/07/24 NSBT Japan 編集部
宇宙

米国ゴールデンドームのコストを巡る議論

NSBT アナリスト小泉 吉功 米国ゴールデンドーム(GDA)のコストを巡る議論が最近、一層活発になっている。原因は、 トランプ政権が提示したコストと、有識者や専門家たちが推定したコストの溝が埋まらないためである。その理由は、政権がGDAの詳細アーキテクチャーを開示しないため、有識者らが推定できず、計画の評価が困難だからである。 推定が困難な状況は産業界も同様で、とりわけ大きな固定費を抱える伝統的な国防産業…

2026/06/16 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

米海軍ニーズ志向の宇宙能力構築

NSBT アナリスト小泉 吉功 最近の米軍軍事作戦の特徴今年に入り、米国統合軍が二つの大きな軍事作戦を展開している。一つはサザン・スピア作戦で、実行主体は「米国南方軍(USSOUTHCOM)」である。もう一つは、エピック・フューリー作戦で、実行主体は、「米国中央軍(USCENTCOM)」である。両軍事作戦に共通しているのは、地上戦における米国宇宙軍が提供する宇宙能力の貢献である。 イランの軍事力を弱体化させることを目的と…

2026/05/27 NSBT Japan 編集部
海 宇宙 北米

米国ゴールデンドームコミュニティー

NSBT アナリスト小泉 吉功 アラバマ州ハンツビル(ロケットシティー)筆者は、米国アラバマ州ハンツビル市に「米国ゴールデンドームコミュニティー」が形成されるのではないかとみている。ハンツビル市は人口25万人規模の都市だが、アラバマ州最大の都市でロケットシティーとも呼ばれている[1]。市の象徴は、米国ロケット開発の父と言われるベルナー・フォン・ブラウン(Wernher von Braun)にちなんで名づけられた施設、フォン…

2026/04/16 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

地球低軌道の混雑増大と宇宙交通管理の逼迫

NSBT アナリスト小泉 吉功 わが国でも宇宙領域把握(SDA)という言葉が良く使われるようになったと感じている。それでは、読者の皆さんは、宇宙領域把握の監視対象として、何を思い浮かべるであろうか。中国やロシアの偵察衛星と答える人もいるかもしれない。軍事としての脅威対象に絞ったら、それは正しい回答であろう。しかし、軍事衛星の運用者にとっても、非軍事衛星の運用者にとっても共通する最も身近な脅威は、増大する低…

2026/03/26 NSBT Japan 編集部
宇宙

米国宇宙軍の特殊な部隊編成

NSBT アナリスト小泉 吉功 今回は、米国宇宙軍の特殊な部隊編成、というよりも部隊の特殊性について触れたい。その理由は、それが宇宙を領域とする軍種、あるいは軍支部のサービスが、どんな兵力や資質を備えていなければならないかについて重要な洞察を提供するためだ。これは、宇宙作戦集団などの設置が検討されているわが国も理解する必要があり、かつ困難な課題でもあるだろう。何しろ、米国以外には、宇宙軍というサービス…

2026/02/27 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

大統領令「米国の宇宙優勢確保」と国家安全保障戦略

NSBT アナリスト 小泉 吉功 米国のトランプ大統領は2025年12月18日、大統領令「米国の宇宙優勢確保」を発令した[1]。そして、 図-1に示したのは、大統領令の署名式を終えた直後の写真である。トランプ大統領を中心に、左側にクラツィオス大統領補佐官(科学技術担当)が立ち、右側には、米国航空宇宙局(NASA)のアイザックマン新長官が立っている。ちなみに、大統領令の実行に関わる全体の調整役はクラツィオス大統領補佐官が…

2026/02/19 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

欧州非軍事機関の宇宙防衛志向が顕著に

NSBT アナリスト小泉 吉功 欧州宇宙機関(ESA)は、11月26日と27日にドイツのブレーメン市で閣僚級会合を開催し、次のように表明した。「欧州宇宙機関史上最大の拠出金となる221億ユーロ(約4兆円)が、ドイツのブレーメンで開催された閣僚級理事会で承認された。23の加盟国、準加盟国、協力国の閣僚と高官は、主要な科学、探査、技術プログラムへの支援に加え、地球観測、航行、通信といった宇宙応用分野への予算の大幅増額を確…

2026/02/10 NSBT Japan 編集部
宇宙 欧州

中国の宇宙活動に対する欧米とわが国の報道の差異

NSBT アナリスト 小泉 吉功 情報公開量に大差、日本では安全保障の視点なし前回は、「中国の宇宙活動の捉え方」と題して、中国の非軍事(公共目的、科学的探査や技術開発)と商業的な宇宙活動に関して、国家安全保障の視点で見る必要性について、学術界を含む宇宙の専門家の視点が必要なことを書いた。しかし、欧米、とりわけ、米国と比較すると、公開情報の量に大きな差がある。さらに、わが国では国家安全保障の視点が共有さ…

2026/01/19 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米 東アジア 中国 欧州

中国の宇宙活動の捉え方

NSBT Japanアナリスト 小泉 吉功 はじめに米国においては、多くの国家安全保障分野の宇宙関係者が、中国の非軍事(公共目的、科学的探査や技術開発)および商業的な宇宙活動に関しても強い関心を寄せており、関連する出版物や論説等を目にすることも多い。しかし、こうした宇宙活動を的確に理解して、その背後に潜む国家安全保障上のリスクを洞察するためには、その道の専門的な知識と経験が必要なことは言うまでもない。 ここ…

2025/11/10 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米 中国

米国ゴールデンドームを巡る議論

NSBT Japanアナリスト 小泉 吉功 ベールに包まれたゴールデンドーム構想と産業界の動向米国の新たなミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」に関しては、米国政府がなかなか具体的な概念を発表しなかったため、これまで産業界や非政府団体から様々な構想が提案されてきた。例えば、米ランド研究所は、「ゴールデンドームは、戦略防衛構想から学ぶべき」との論説[1]を発表した。産業界ではノースロップ・グラマン社が「ミリ秒の時…

2025/09/29 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

プラネタリーディフェンスは誰の責任か

NSBT Japanアナリスト 小泉 吉功 「プラネタリーディフェンス」とは何か「プラネタリーディフェンス」は誰の責任かと問われたら、読者の皆さんはどう答えるであろうか。 現在の米国政府における責任分担では、米航空宇宙局、すなわちNASAがその任を負うとされている。この疑問を持ったのは、最近、『NASAか米国宇宙コマンドか:危険な小惑星から地球を守るのは誰なのか?[1]』(レオナード・デビッド・著、スペース・インサイ…

2025/09/01 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

米国国立科学財団の国家安全保障への貢献

NSBT Japanアナリスト 小泉 吉功 米国国立科学財団(NSF)の予算・人員削減 このところ、米国国立科学財団(NSF)を始めとして、多くの研究機関の予算や職員が削減されている。これによって懸念されるのが、米国の国家安全保障能力に大きな負のインパクトがあるのではないかということである。では、我が国の安全保障コミュニティの方々がこの負のインパクトを深刻に受け止めているかというと、この視点での報道は見られないよ…

2025/06/24 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

米宇宙軍が備える「宇宙戦闘」の未来

NSBT Japan アナリスト 小泉 吉功 米宇宙軍の独自性と役割米宇宙軍は、米国軍の中でも最小規模の軍種でありながら、宇宙空間における戦闘および宇宙から地上戦闘を支援する能力を提供する軍種として、非常に独特かつ高度な役割を担っている。このような大きな期待にもかかわらず、組織の拡大が難しいとされているが、その原因は、予算の割り当てが少ないという制約のみならず、宇宙の知識およびスキルを有する高度な人材を確保…

2025/06/13 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

宇宙スタートアップへの民間投資とその実態

NSBT Japan アナリスト 小泉 吉功 研究開発費削減の余波米国では、国立科学財団(NSF)や国立衛生研究所(NIH)が、新政権の予算や人員削減の標的となり、研究者たちが厳しい状況に追い込まれている。研究者たちは、民間投資会社に頼ろうとしたが、多くの資金が予約済みとなっているようである[1]。国防総省においてもヘグセス長官が8%の歳出カットを指示しており、アメリカンエンタープライズ研究所が実施した歳出カットのシミ…

2025/05/30 NSBT Japan 編集部
宇宙 北米

国家安全保障における「商業活用」の重要性

NSBT Japan アナリスト 小泉 吉功 <「脆弱性」という穴>現実を正視するということは大変に重要な行為である。国家安全保障という概念は、この数年で大きく変化してきている。極言すれば、単なる軍事的な意味合いではなく、非常に身近な問題になってきている。 最近は、新聞等でも報道されているとおり、重要な通信網である海底ケーブルを断線する行為があったが、この行為が意図的か否かの証拠を得ることは難しい。とりわけ…

2025/03/27 NSBT Japan 編集部

国家安全保障における「非軍事要素」の拡大

NSBT Japan アナリスト 小泉 吉功<「非軍事要素」の拡大の背景>「国家安全保障」というと軍事を思い浮かべる人が多いと思う。抑止力という観点から考えれば、必要な軍事力を国家は保有しなければならないという説明はある意味では分かり易い論理であろう。しかし、近年は米国においても、国家安全保障におけるデュアルユースや非軍事要素の割合が増加している。また、軍事要素そのものに関しても、非軍事機関が関与する場合が…

2025/03/05 NSBT Japan 編集部
北米