【解説】日鉄呉跡地:後編、企業誘致が本格化 進出の条件と課題
NSBT 編集部西塚 千晴 前編では、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の跡地に整備する「多機能な複合防衛拠点」の全体像と、旧呉海軍工廠(こうしょう)との違いをみた。後編では、民間企業がどんな形で進出するのかを掘り下げる。防衛省は今回取得した約18.8ヘクタールを民間企業誘致エリアとし、国有地として段階的に貸し付ける。企業が事業に使う施設を自ら整備するため、初期投資の負担に加え、土地利用の制約や貸付…
NSBT 編集部西塚 千晴 前編では、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の跡地に整備する「多機能な複合防衛拠点」の全体像と、旧呉海軍工廠(こうしょう)との違いをみた。後編では、民間企業がどんな形で進出するのかを掘り下げる。防衛省は今回取得した約18.8ヘクタールを民間企業誘致エリアとし、国有地として段階的に貸し付ける。企業が事業に使う施設を自ら整備するため、初期投資の負担に加え、土地利用の制約や貸付…
NSBT 編集部西塚 千晴 日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の跡地で、大規模な防衛拠点の整備計画が動き出した。防衛省は跡地を取得する契約を結び、自衛隊の活動基盤や防災、港湾機能に加え、防衛装備品の製造などを担う民間企業を誘致する「多機能な複合防衛拠点」を構築する。かつて海軍工廠(こうしょう)が置かれた呉に再び防衛関連の機能が集まるが、国が兵器や艦船を直接造った工廠とは仕組みが異なる。今回の構想…
フランス・パリで6月15日から19日に開催された防衛・安全保障展示会「ユーロサトリ(Eurosatory)2026」は、世界最大の防衛展示会の1つで、世界の防衛・安全保障需要の写し鏡ともいえる。 世界の防衛需要は現在、ウクライナやイランでの戦闘の結果で形作られるところが大きい。2020年代に入り、新たな戦争手段としてのドローンへの注目はこれまで以上に高まった。 ユーロサトリ2026の公式ウェブサイトでは、ドローンの脅威の急速…
航空自衛隊三沢基地を離陸したRQ-4Bグローバルホークが9月15日午後0時58分ごろ、鳥取県沖北約50kmの洋上でレーダーから姿を消した。 航空自衛隊によると、午後0時55分以降に通信装置との接続不良が発生。その後、海上保安庁のヘリコプターや航空自衛隊のF-15Jが海上の浮遊物を発見した。海上自衛隊のミサイル艇「はやぶさ」が撮影した写真を確認し、航空自衛隊は浮遊物をRQ-4Bの機体と断定。機体が墜落したと発表した。 36時間…
前編では、2027年度概算要求の全体像と、防衛省が民間技術を率先して導入し、需要をけん引する考えを取り上げた。後編では、企業の生産基盤と資金調達、海外展開を支える新制度をみていく。 防衛省の27年度概算要求は、国有施設を民間企業が操業する「国有施設民間操業(GOCO)」や防衛産業の再編事業への出資、複数企業との契約と部隊での試験運用を組み合わせる「ディフェンステックSBIR制度(仮称)」を盛り込んだ。過年度より…
2027年度予算の概算要求総額は、143兆円と4年連続で過去最大となった。防衛省は27年度予算の概算要求で、歳出ベースで過去最大となる約8兆9000億円を計上した。人工知能(AI)や無人機、クラウド、半導体など、民間と防衛の両方で使えるデュアルユース(軍民両用)技術を重視する。2024~26年度も民間技術の早期装備化や研究支援を進めてきたが、今回は防衛省が先端技術・サービスを率先して導入し、需要をけん引する考えを明示し…
前編では、防衛産業を経済成長にも関わる分野と位置付け、生産・技術基盤の強化や民間企業の参入を後押しする政府の方針を取り上げた。後編では、装備移転や共同生産などを通じた海外との防衛産業協力をみていく。防衛白書2026が企業に示す変化は、研究開発や国内生産だけではない。防衛装備の海外展開を巡る制度が見直され、企業が国外の需要を取り込める余地も生まれた。日米ではミサイルの生産協力や米軍艦船・航空機の国内整備…
防衛省は8月4日、2026年版「防衛白書」を公表した。今回の白書は、防衛生産・技術基盤を独立して取り上げ、記述を拡充した。防衛産業を安全保障だけでなく、経済成長にも関わる分野として位置付けている。装備品を製造する従来の防衛企業に加え、スタートアップや中小企業、大学、研究機関、民生技術を持つ企業との連携を進める。企業には安定した供給力や先端技術、研究開発への参画などが期待され、防衛市場との接点はさまざまな…
NSBT アナリスト 小松 和郎 需要の変化と安保緊張の高まり映す場にマレーシアの首都クアラルンプールで4月20日、防衛展示会「Defence Services Asia(DSA)2026」が開幕した。無人機の脅威拡大を背景に対ドローンや低空防空技術の展示が目立ち、国内安全保障分野との融合も進む。東南アジア各国の防衛需要の変化と、安全保障上の緊張の高まりを映し出す場となった。 中国によるアジア太平洋地域への影響力拡大や米中対立の長期…
NSBT アナリスト 辻 一平 防災産業展が映す日本社会の現在地防災産業展2026が1月28日から30日までの3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。展示会を通じて最も強く感じたのは、防災がもはや「専門分野」ではなく、社会インフラそのものとして再定義され始めた変化である。会場に並んだのは、従来型の防災資機材やインフラ展示だけではなかった。 防災デジタルトランスフォーメーション(DX)、官民共創プラット…
NSBTチーフ・アナリスト原田 大靖 これまで見てきたように、革命後のイランは西側の枠組みから離脱し、反西側・反米ブロックの一角を形成するに至った。こうした経緯のなかで、2002年、ブッシュ(子)米大統領は、イラク、北朝鮮とともにイランをして「悪の枢軸(Axis of Evil)」と名指しで批判。あるいは、2023年のハリファックス国際安全保障フォーラムでは、同フォーラムのプラーグ会長が、中国(C)、ロシア(R)、イラン(…
NSBT チーフ・アナリスト原田 大靖 前回は、交易国家としての歴史的蓄積、バザーリーとウラマーによる金融ガバナンス(統治)、産油国としてのペトロダラー獲得とキャピタル・フライトという複雑な金融アーキテクチャーの上にイランは成り立っていることを振り返った。 それゆえに今回のイラン攻撃は、単なる「一産油国の不安定化」を超え、グローバルな資金循環、ドル体制、そして今後の国際政治経済の中長期シナリオにまで長い…
NSBT アナリスト 小松 和郎 米国とイスラエルは世界標準時2月28日6時15分(日本時間15時15分)、イラン国内の広範な標的に対する大規模な攻撃を開始した。米側は本作戦を「オペレーション・エピック・フューリー(壮絶な怒り)」、イスラエル側は「オペレーション・ロアリング・ライオン(ライオンの咆哮〈ほうこう〉)」と命名した。 異例だったのは開戦の伝え方だ。トランプ大統領は米東部時間午前2時、自身の交流サイト(SNS…
NSBT チーフ・アナリスト原田 大靖 前回の冒頭でも述べたとおり、イラン情勢の変転は単に一地域における地政学リスクの「暴発」といったレベルを超え、世界経済・金融に大きな影響を及ぼす転換点ともなり得る。なかには、「第三次世界大戦が始まった」と警告する向きまである[1]。イラン情勢の変転がここまで重く受け止められている背景には、単に「産油国だから」という以上の背景が複数絡んでいる。そこで、以下、グローバルな…
NSBT チーフ・アナリスト原田 大靖 2月28日午後(JST)、米国とイスラエルがイランへの大規模攻撃を開始した。国内メディアではホルムズ海峡「封鎖」状態による原油価格への影響や、トランプ大統領による国際法軽視といった近視眼的な論点のみがハイライトされているが、イラン情勢の変転は中東地域における地政学リスクの「暴発」といったレベルを超え、世界経済・金融に大きな影響を及ぼす転換点ともなり得るものである。 そこ…
NSBT ストラテジスト時藤和夫 本報告は、2025年11月10日~14日にタイのバンコクで開催された防衛装備・安全保障関連の展示会であるDefense & Security 2025(D&S)とタイ防衛技術研究所であるDefense Technology Institute(DTI)研修を通じて得られた内容を人工知能(AI)・IT・ドローンの観点からまとめたものである。タイではD&Sがドローン展示会のDrone Tech Asiaと隔年で開催されており、2025年はD&Sの年だった。D&Sでは防衛…
本記事は、2025年10月15日に公開された英語記事の翻訳です。原文はこちらをご覧ください。 2025年9月26日、NSBT Japanは、アジア太平洋地域の安全保障問題に詳しい米国の専門家、デレク・グロスマン教授とオンラインで対談する機会を得た。この対談では、同地域における米国の情報機関の役割、米中戦略競争の変遷と現状、そして世界的に強まる権威主義の中での日本の安全保障上の役割について議論が交わされた。さらに、グロスマ…
文責:NSBT Japan編集部 2025年10月31日、TKP市ヶ谷ホールにて防衛技術協会主催の「先端技術研究会2025」が開催された。本研究会は、スタートアップや中小企業の持つ高度な技術を防衛分野に生かすため、官民の直接対話の機会を創出することを目的としており、今年7月から実験的に実施されているという。防衛技術協会では、今後もリアルとオンラインでのイベントや年1回の国際イベントの開催を予定しているとのこと。今回の研究会…
NSBT JAPANアナリスト 辻 一平 はじめに:展示会に漂う「現場と企業の距離感」東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」は、防災、減災から一部の防衛・セキュリティに至るまで、幅広い分野の最新技術と製品が集結する場である。今年も自治体関係者、企業、研究機関、そして実際に現場で活動する消防・警察・自衛隊のOBらなど、多様な来場者で賑わいを見せた。 しかし、会場を歩くなかで浮かび上がってき…
仕事で自衛隊の関係者とやりとりすることになったとき、「ウチの課長が会うべき相手って誰?」「どの階級の人にプレゼンすればいいの?」「誰の意見を聞いたらいいの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。 企業では「部長」「課長」「係長」などの役職があり、責任の重さや立場がある程度分かりますよね。一方、自衛隊では「階級」によって役割が決まっています。今回は、この自衛隊の階級と企業の役職の違い、そしてそれぞ…