米国の宇宙関連企業レオラボス(LeoLabs)社は、西側の衛星に接近を繰り返すロシア衛星2基の追跡結果を発表した。同社によると、ロシア衛星の行動は米国や同盟国にとっての潜在的な危険になりうる。
レオラボス社が運用状況を報告したResurs-P3とCosmos-2562は、他国の衛星に接近を繰り返しながら運航する、ランデブー・近接運用(Rendevous and proximity operation, RPO)を行っている。この運航方法は、衛星通信の傍受や妨害、あるいは対衛星兵器の技術開発も進められることで知られている。
Resurs-P3はロシア連邦宇宙局(Russian Federal Space Agancy, RFSA, Roscosmos)による援助のもとで、防衛に加え農業、漁業に関する情報収集など多様な目的を持つ衛星である。2016年3月に打ち上げられ、今後同型機の打ち上げも計画されている。Cosmos-2562はロシア軍の衛星とみられているが、ロシア側はほとんどの情報を公表していない。NASAによれば2022年10月に打ち上げられて以降、米国の衛星を追跡する動きをとっているとのことだ。
Cosmos-2562には衛星に搭載されている電子機器情報を収集するための電気光学機器が搭載されており、他の衛星のペイロードを画像化する能力や、電気信号を傍受することが可能であるとみられている。レオラボス社は「ほとんどの機密情報は高度に暗号化されているが、敵は信号を収集することでどの周波数帯で情報が通信されているかを推測でき、妨害活動の手掛かりとするかもしれない」と説明する。
他方、2基のロシア衛星の一連の動きは米国など西側にとって「潜在的に敵対的な衛星がどのような能力を持っているのかを示す有用な指標となる」とも述べている。ロシアは電波妨害、傍受能力、さらには対衛星兵器(キラー衛星)の開発を進めており、米国などの西側諸国はロシアがどれほどの能力を保持しているかを現在調査しているところだ。
今回の発表において重要な点の1つは、動くことがないと考えられていた衛星が指揮命令系統の指示に従って動いたことである。Resurs-P3は打ち上げから初期運用の間にソーラーパネルのトラブルがあり、運用不能になったと考えられていた。レオラボス社の報告の中でも、Resurs-P3は数年間の停止の後、突然行動を開始しCosmos-2562に接近したとされている。同社の説明では、Resurs-P3は「これまでとは全く異なる新たな軌道に移動し、ペイロードの詳細が明らかにされていない衛星に接近した」とのことだ。同社は「停止したと思われる衛星が、再度活動を開始しリスクをもたらす可能性を監視し続けることが重要だ」と述べている。
ここ数か月、宇宙空間においてロシアと西側諸国の緊張が高まっている。2023年10月、米国の分析会社スリングショット・エアロスペース(Slingshot Aerospace)社は、ロシアの人工衛星が意図的に西側の衛星に接近していることを発表した。アナリストらによると、ロシアは何年もの間、低軌道と静止軌道の両方でランデブー・近接運用の試験を行っている。その目的の1つは、共通軌道兵器(Co-orbital weapon)という他の衛星と並んで飛行する対衛星兵器の開発であるという。
SWF(Secure World Foundation)の報告書によれば、ロシアの衛星が他国の衛星に接近した事例は2014年から19年までの間に5回確認されている。米宇宙軍は、これらの衛星が米国の衛星の脅威となる可能性があるとして懸念を表明している。
【参考】
https://spacenews.com/leolabs-data-shows-on-orbit-maneuvers-by-russian-satellites/
https://www.eoportal.org/satellite-missions/resurs-p#resurs-p-resurs-prospective-remote-sensing-mission-constellation
https://nssdc.gsfc.nasa.gov/nmc/spacecraft/display.action?id=2022-137B
レオラボス社が運用状況を報告したResurs-P3とCosmos-2562は、他国の衛星に接近を繰り返しながら運航する、ランデブー・近接運用(Rendevous and proximity operation, RPO)を行っている。この運航方法は、衛星通信の傍受や妨害、あるいは対衛星兵器の技術開発も進められることで知られている。
Resurs-P3はロシア連邦宇宙局(Russian Federal Space Agancy, RFSA, Roscosmos)による援助のもとで、防衛に加え農業、漁業に関する情報収集など多様な目的を持つ衛星である。2016年3月に打ち上げられ、今後同型機の打ち上げも計画されている。Cosmos-2562はロシア軍の衛星とみられているが、ロシア側はほとんどの情報を公表していない。NASAによれば2022年10月に打ち上げられて以降、米国の衛星を追跡する動きをとっているとのことだ。
Cosmos-2562には衛星に搭載されている電子機器情報を収集するための電気光学機器が搭載されており、他の衛星のペイロードを画像化する能力や、電気信号を傍受することが可能であるとみられている。レオラボス社は「ほとんどの機密情報は高度に暗号化されているが、敵は信号を収集することでどの周波数帯で情報が通信されているかを推測でき、妨害活動の手掛かりとするかもしれない」と説明する。
他方、2基のロシア衛星の一連の動きは米国など西側にとって「潜在的に敵対的な衛星がどのような能力を持っているのかを示す有用な指標となる」とも述べている。ロシアは電波妨害、傍受能力、さらには対衛星兵器(キラー衛星)の開発を進めており、米国などの西側諸国はロシアがどれほどの能力を保持しているかを現在調査しているところだ。
今回の発表において重要な点の1つは、動くことがないと考えられていた衛星が指揮命令系統の指示に従って動いたことである。Resurs-P3は打ち上げから初期運用の間にソーラーパネルのトラブルがあり、運用不能になったと考えられていた。レオラボス社の報告の中でも、Resurs-P3は数年間の停止の後、突然行動を開始しCosmos-2562に接近したとされている。同社の説明では、Resurs-P3は「これまでとは全く異なる新たな軌道に移動し、ペイロードの詳細が明らかにされていない衛星に接近した」とのことだ。同社は「停止したと思われる衛星が、再度活動を開始しリスクをもたらす可能性を監視し続けることが重要だ」と述べている。
ここ数か月、宇宙空間においてロシアと西側諸国の緊張が高まっている。2023年10月、米国の分析会社スリングショット・エアロスペース(Slingshot Aerospace)社は、ロシアの人工衛星が意図的に西側の衛星に接近していることを発表した。アナリストらによると、ロシアは何年もの間、低軌道と静止軌道の両方でランデブー・近接運用の試験を行っている。その目的の1つは、共通軌道兵器(Co-orbital weapon)という他の衛星と並んで飛行する対衛星兵器の開発であるという。
SWF(Secure World Foundation)の報告書によれば、ロシアの衛星が他国の衛星に接近した事例は2014年から19年までの間に5回確認されている。米宇宙軍は、これらの衛星が米国の衛星の脅威となる可能性があるとして懸念を表明している。
【参考】
https://spacenews.com/leolabs-data-shows-on-orbit-maneuvers-by-russian-satellites/
https://www.eoportal.org/satellite-missions/resurs-p#resurs-p-resurs-prospective-remote-sensing-mission-constellation
https://nssdc.gsfc.nasa.gov/nmc/spacecraft/display.action?id=2022-137B