インドネシアはイタリアの多目的巡視船を購入する交渉を進めている。現時点での交渉では、現在イタリア海軍向けに建造中あるいは完了した巡視船をインドネシア売却に回し、その補填としてイタリア海軍が新たに巡視船を発注することになっている。
売却される巡視船はイタリア海軍のPPA(Pattugliatori Polivalenti d’Altura)プログラムで開発された巡視船だ。同プログラムの概要は、あらゆる軍事任務、さらには平時における人道支援、災害救助にも適合した「多目的な」巡視船を開発、建造するものである。イタリアは7隻の多目的巡視船を発注しており、6隻は既に進水を終え、うち3隻は任務に就いている。
直近で進水したのはルッジーロ・ディ・ラウリア(Ruggiero di Lauria)という巡視船で、今年10月に進水式が執り行われた。この巡視船は全長143m、深さ10.5m、幅16.5mの大きさで、最大171人の乗員を輸送することができる。また船尾付近にヘリコプターの飛行看板と、小型ヘリコプター2機まで収容できる格納庫も備えている。加えて操船方法も一般的な船舶とは異なり、Naval Cockpitと名付けられた操船室の中で、操縦士、副操縦士の2名が運転を行うため、操船に関連する省力化、省人化が実現されているのだ。
このような巡視船をインドネシアが求めている背景には、中国の脅威がある。イタリア防衛省のマテオ・ペレーゴ・ディ・クレンナゴ(Matteo Perego di Cremnago)氏は「この地域のすべての国は急いで船舶を増加させたいと考えている。もはや3年以内の配備などは考えられない。計画を加速させる必要がある」と発言した。
インドネシアは、南シナ海上で中国との対立を抱えている。中国は独自の領有地域を主張し、インドネシアに加えフィリピン、ベトナムなどの周辺国とも争っている。特に問題となっているのは中国籍の漁船の違法操業、海洋資源開発などだ。インドネシアはこの問題に対処するため、平時における巡視能力の整備や、有事への備えを進めている。
インドネシアとイタリアは2隻の売却契約を締結する予定で、現在建造中あるいは完成したが未就役である4隻のうちのどれかが引渡される見通しだ。クレンナゴ氏は「どの船がインドネシアに行くかはまだ分からない。契約が締結されるタイミングによるだろう」と述べている。
イタリア海軍は2020年に、エジプトにフリゲート艦を売却する契約を締結した。この時も引渡された船は、当初イタリア海軍で就航する予定で発注していたものであった。そしてイタリア海軍は引き渡し分を埋め合わせるために追加で2隻のフリゲート艦を発注している。
今回の契約でも同様に、直近で就役可能な船舶を引き渡し、埋め合わせのために新たに発注を行うとみられる。クレンナゴ氏は「我々はイタリア海軍向けに建造された2隻のフリゲート艦をエジプトに売却した。今回の多目的巡視船でも同じことができるだろう」と述べている。
イタリア・インドネシア間の協議は、イタリア海軍が船舶をインド太平洋に派遣し、フィリピン、インド、シンガポール、マレーシアに寄港した際に開始された。クレンナゴ氏はこの派遣について、「イタリアがインド太平洋に力を入れることを示した出来事であり、同時にイタリアの技術力を示すものでもあった」と述べている。同氏によれば、巡視船の契約締結後には、技術や様々なノウハウの移転を申し出る用意があるという。
【参考】
https://www.defensenews.com/global/europe/2023/10/27/italy-readies-quick-sale-of-patrol-ships-to-indonesia-amid-china-fears/
https://www.occar.int/programmes/ppa
https://www.fincantieri.com/globalassets/prodotti-servizi/navi-militari/scheda_ppa-multipurpose_offshore_patrol_vessels.pdf
https://www.naval-technology.com/news/fincantieri-launches-italys-sixth-ppa-offshore-patrol-vessel/?cf-view
売却される巡視船はイタリア海軍のPPA(Pattugliatori Polivalenti d’Altura)プログラムで開発された巡視船だ。同プログラムの概要は、あらゆる軍事任務、さらには平時における人道支援、災害救助にも適合した「多目的な」巡視船を開発、建造するものである。イタリアは7隻の多目的巡視船を発注しており、6隻は既に進水を終え、うち3隻は任務に就いている。
直近で進水したのはルッジーロ・ディ・ラウリア(Ruggiero di Lauria)という巡視船で、今年10月に進水式が執り行われた。この巡視船は全長143m、深さ10.5m、幅16.5mの大きさで、最大171人の乗員を輸送することができる。また船尾付近にヘリコプターの飛行看板と、小型ヘリコプター2機まで収容できる格納庫も備えている。加えて操船方法も一般的な船舶とは異なり、Naval Cockpitと名付けられた操船室の中で、操縦士、副操縦士の2名が運転を行うため、操船に関連する省力化、省人化が実現されているのだ。
このような巡視船をインドネシアが求めている背景には、中国の脅威がある。イタリア防衛省のマテオ・ペレーゴ・ディ・クレンナゴ(Matteo Perego di Cremnago)氏は「この地域のすべての国は急いで船舶を増加させたいと考えている。もはや3年以内の配備などは考えられない。計画を加速させる必要がある」と発言した。
インドネシアは、南シナ海上で中国との対立を抱えている。中国は独自の領有地域を主張し、インドネシアに加えフィリピン、ベトナムなどの周辺国とも争っている。特に問題となっているのは中国籍の漁船の違法操業、海洋資源開発などだ。インドネシアはこの問題に対処するため、平時における巡視能力の整備や、有事への備えを進めている。
インドネシアとイタリアは2隻の売却契約を締結する予定で、現在建造中あるいは完成したが未就役である4隻のうちのどれかが引渡される見通しだ。クレンナゴ氏は「どの船がインドネシアに行くかはまだ分からない。契約が締結されるタイミングによるだろう」と述べている。
イタリア海軍は2020年に、エジプトにフリゲート艦を売却する契約を締結した。この時も引渡された船は、当初イタリア海軍で就航する予定で発注していたものであった。そしてイタリア海軍は引き渡し分を埋め合わせるために追加で2隻のフリゲート艦を発注している。
今回の契約でも同様に、直近で就役可能な船舶を引き渡し、埋め合わせのために新たに発注を行うとみられる。クレンナゴ氏は「我々はイタリア海軍向けに建造された2隻のフリゲート艦をエジプトに売却した。今回の多目的巡視船でも同じことができるだろう」と述べている。
イタリア・インドネシア間の協議は、イタリア海軍が船舶をインド太平洋に派遣し、フィリピン、インド、シンガポール、マレーシアに寄港した際に開始された。クレンナゴ氏はこの派遣について、「イタリアがインド太平洋に力を入れることを示した出来事であり、同時にイタリアの技術力を示すものでもあった」と述べている。同氏によれば、巡視船の契約締結後には、技術や様々なノウハウの移転を申し出る用意があるという。
【参考】
https://www.defensenews.com/global/europe/2023/10/27/italy-readies-quick-sale-of-patrol-ships-to-indonesia-amid-china-fears/
https://www.occar.int/programmes/ppa
https://www.fincantieri.com/globalassets/prodotti-servizi/navi-militari/scheda_ppa-multipurpose_offshore_patrol_vessels.pdf
https://www.naval-technology.com/news/fincantieri-launches-italys-sixth-ppa-offshore-patrol-vessel/?cf-view