NSBT Japan https://nsbt-japan.com/ 安全保障ビジネスの情報サイト。国内外の厳選した安全保障に関するニュースや、映像コンテンツ、ビジネスマッチングの機会を提供します。 NSBT Japan https://nsbt-japan.com/ https://nsbt-japan.com/images/logo.gif 【企業情報(契約)】コングスベルグ社、米海軍・海兵隊にNSM納入 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fncg2s3fa 2024-11-21T10:00:00+09:00
発射されたNSM(Naval Strike Missile)
【画像出典】KONGSBERG社:
https://www.kongsberg.com/kda/news/news-archive/2024/kongsberg-awarded-contract-to-deliver-naval-strike-missile-to-us-navy-and-marine-corps-valued-up-to-nok-12-billion/

スウェーデンのコングスベルグ・ディフェンス・アンド・エアロスペース(KONGSBERG:Kongsberg Defence & Aerospace)社は11月12日、米海軍と海兵隊に5年間にわたって最大で120億ノルウェークローネ(約1,680億円)相当のNSM(Naval Strike Missile)[1]を納入すると発表した。
 
コングスベルグ社のNSM納入は米海軍で進められるOTH-WS(Over-The-Horizo​​n Weapon System)計画の一環である。OTH-WSはコンステレーション級フリゲート艦
[2]等に搭載される兵器システムで、長距離の水上攻撃能力を向上させる。また、海軍海兵隊遠征船舶阻止システム(NMESIS:The Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)[3]を構成する主要なミサイルとして米海兵隊にも納入するという。
 
NSMの需要が増加したことを踏まえ、コングスベルグ社は米国バージニア州ジェームズシティに、NSMの生産・維持管理・改修などを行える新たな製造拠点を建設する予定だ。この施設は海軍の主要施設の近くに位置し、米国内での生産能力を高め、海軍等への供給力も向上する。
 
同社の社長エイリック・リー(Eirik Lie)氏は声明の中で「この契約はNATOや同盟国全体の攻撃ミサイルに対するニーズが大きいことの表れであり、当社が今年、ノルウェーにミサイル工場を新設し、オーストラリアと米国に2つの施設を建設すると発表した理由でもある。また、今回の複数年にわたる契約はコングスベルグ社と関連する企業にサプライチェーン全体と労働力の安定化につながる」と述べた。
 
※1ノルウェークローネ=14円換算

 
【注】
[1]NSM(Naval Strike Missile): コングスベルグ社の開発した対艦ミサイルで、高いステルス性能が特徴。現在、ノルウェー海軍のフリゲート艦やコルベット艦に搭載されるほか、米国をはじめとする各国が採用している。
[2]フリゲート艦:軍艦の艦種の一つ。艦種の大きさによって分類された等級であり、「ミリタリー・バランス」によると満載排水量1,500t~4,500tと定義されている。上記にあるコルベット艦は更に小さく、満載排水量500t~1,500tと定義されている。
[3]海軍海兵隊遠征船舶阻止システム(NMESIS):米国の軍用車メーカーオシュコシュ・ディフェンス(Oshkosh Defense)社によって開発された、海上及び陸上の目標を攻撃するためのミサイルランチャーシステム。「NSM」を使用する無人のミサイルランチャー車両で、沖縄に拠点を置く海兵隊第3沿岸連隊に配備が進んでいるとされる。

 

【出典】
https://www.kongsberg.com/kda/news/news-archive/2024/kongsberg-awarded-contract-to-deliver-naval-strike-missile-to-us-navy-and-marine-corps-valued-up-to-nok-12-billion/
 
https://www.navsea.navy.mil/Media/News/Article-View/Article/3962873/navy-makes-significant-investment-in-munitions-capability-awards-kongsberg-defe/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnhefigh8 2024-11-21T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 AUSA2024企業レポート(その2):360度赤外線監視システムで躍進する「HGH」 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fne73s5pg 2024-11-20T16:00:00+09:00
AUSA 2024での仏HGH社のブース
艦船、重要施設などを360度監視できる「SPYNEL」シリーズをメインに展示とデモを行っていた
【出典】NSBT Japan撮影
 
<HGH社について>
NSBT Japanは去る10月14日から16日にかけて米ワシントンD.C.にて開催された米陸軍協会の年次総会および展示会である「AUSA 2024」を視察した。多くの企業ブースも取材してきた中で、今回はフランスのHGH Infrared Systems社を取り上げたい。
 
HGH Infrared Systems社(以下、HGH社)は1982年に設立され、防衛、セキュリティ、産業用途向けの高度な赤外線(IR)および電気光学技術を専門とするメーカーである。同社の赤外線監視システムは、重要インフラや防衛施設などを360度監視できる独自の技術を備えている。
 
HGH社はまた、ロータリーキルン(工業用窯炉)の温度を安全に管理する監視システムと電気光学赤外線(EO/IR)カメラ校正のための試験装置も開発している。

米国をはじめ世界各地にオフィスを展開するHGH社は、その革新的な赤外線技術が高く評価され、数々の世界的な技術賞を受賞した。今回出展されたSPYNELシリーズも、フランス軍をはじめとする世界中の軍や法執行機関に採用されている。
 
<画期的なIRシステムSPYNEL-X>
HGH社は2020年10月、あらゆる水上艦船を効果的に防護するための「SPYNEL-X」を発表した。このシステムは、高感度のパッシブ赤外線技術を用いており、艦船の全周囲360度をカバーして、空中や水上からの小型ドローンを含む複数の脅威を自動的に検出、分類、追跡できる。また、陸上に設置することも可能だ。

 

セールス部長のマルシェバウト氏(右)からSPYNEL-Xの説明を受けるNSBT Japan アナリスト辻一平(左)
【出典】NSBT Japan撮影

 
SPYNEL-Xは、オプションとしてジャイロスタビライゼーションシステム(CM1)を搭載でき、荒天時でも海上で完全なパノラマ3Dデータを生成することが可能である。このデータは、船のマストの両側や船首・船尾に設置された2基のSPYNEL-Xが検出する。脅威とされる目標情報は HGH社のソフトウェア(CYCLOPE Hypervisor)が分析し、戦闘管理システム(BMS)に送信される。
 
SPYNEL-X はすでにいくつかの海軍に採用されている。複数の艦船が搭載しており、その高い性能が実際に証明されているとのことであった。
 
<SPYNEL-Xの種類>
SPYNEL-Xは、艦船だけでなく地上でも使用できるIR捜索システムである。このシステムは、作戦地域でのセキュリティを確保するだけでなく、ゲリラ対処などの非対称型の脅威に対しても有効であることが、導入した軍関係者や企業から報告されている。
 
SPYNEL-Xは適切に配置すれば、1台で約90台のデジタル及びIRカメラに匹敵する監視能力を持つという。また作戦や部隊の運用に応じ、様々なバージョンを選ぶことが可能だ。
 
SPYNELシリーズの主要ラインナップは以下の通りである。
SPYNEL-X8000       
人員探知距離:9km       
車両、小型ボート探知距離:12.5km   
水平視野角:360°       
垂直視野角:5°        
解像度:92,000×1,280      
センサー方式:回転及び追跡式   
重量:40kg以下 
SPYNEL-X6000       
人員探知距離:最大5km      
車両、小型ボート探知距離:9km    
水平視野角:360°       
垂直視野角:10°       
解像度:46,000×1,280     
センサー方式:回転及び追跡式 
重量:40kg以下   
SPYNEL-X3500         
人員探知距離:最大2.5km        
車両、小型ボート探知距離:5km    
水平視野角:360°        
垂直視野角:20°         
解像度:23,000×1,280       
センサー方式:回転及び追跡式  
重量:40kg以下      
SPYNEL-M600M        
(歩兵、特殊部隊用)       
人員探知距離:最大700m        
車両、小型ボート探知距離:1.5km      
水平視野角:360°         
垂直視野角:20°          
解像度:5.2M pixels          
センサー方式:固定式   
重量:1.8kg以下   
    
SPYNELシリーズ主要製品
【出典】HGH社:
https://hgh-infrared.com/was/product/spynel-x/
https://hgh-infrared.com/was/product/spynel-m/


HGH社は、特に軍用赤外線システムの分野で高い評価を得ているとのことであった。最新のIR技術において常に先行し、世界的に注目されている。同社の360度赤外線捜索追尾システム(IRST)は、同盟国の防衛力強化にも大きく貢献しており、世界中の軍事関係者から信頼されている。現在も同社のIRST技術の進化は続いており、さらなる躍進が期待される。



 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】インバリアント社、対UASシステム開発で海兵隊と2億ドルの契約 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnu3s46o4 2024-11-20T13:00:00+09:00
対無人航空機交戦システムを搭載した統合軽戦術車両(JLTV)
【画像出典】Invariant Corporation:
https://www.invariant-corp.com/post/invariant-corporation-awarded-200m-marine-corps-contract-to-develop-advanced-counter-uas-solution

米防衛テクノロジー企業インバリアント(Invariant)社は11月14日、新型の対無人航空機システム(C-UAS:Counter-Unmanned Aerial Systems)を開発するため、米海兵隊システム司令部(MCSC:Marine Corps Systems Command)から2億ドル(約310億円)の大型契約を受注したと発表した。
 
契約は固定価格・原価加算固定料金・無期限納品/無制限数量(IDIQ:Indefinite-Delivery/Indefinite-Quantity)方式で、最先端の無人航空機迎撃システム(CES:Counter-unmanned aerial system Engagement System)の設計、開発、納入を目的としている。
 
インバリアント社によると、CESは、既存の海兵隊防空統合システム(MADIS:Marine Air Defense Integrated System)に統合され、統合軽戦術車両(JLTV:Joint Light Tactical Vehicle)
[1]のトレーラーに搭載される。グループ2(重量21~55Kg)およびグループ3(重量1,320Kg以下)の無人航空機システムの脅威に対応するよう設計されており、高い柔軟性と機動性を備えた能力を有するという。
 
インバリアント社の技術運用管理部長、ダニエル・レビス(Daniel Levis)氏は「インバリアント創業以来最大規模の契約獲得により、国防における当社の役割を拡大できることを誇りに思う」と述べ、「C-UAS開発で10年以上の実績を持つ当社は、今回の契約獲得により、刻一刻と変化する無人航空機の脅威に対応するため、先端技術を駆使したシステムを今後も提供し続けることができる」と語った。
 
インバリアント社の対無人航空機交戦システムには、同社が独自に開発した「多目的発射電子装置(MULE:Multi-Use Launch Electronics)」や光学・赤外線監視(OSIRIS:Optical Surveillance Infrared)画像処理システムが組み込まれている。
 
※1ドル=155円で換算

 
【注】
[1]統合軽戦術車両(JLTV:Joint Light Tactical Vehicle):米軍(陸軍、海兵隊、特殊作戦軍)によって進められている、汎用軍用車両"ハンヴィー"(HMMWV, High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle, 高機動多用途装輪車両)シリーズの後継車種の選定プログラムの名称。また、その後継車両そのものも指す。 


【出典】
https://www.invariant-corp.com/post/invariant-corporation-awarded-200m-marine-corps-contract-to-develop-advanced-counter-uas-solution
 
https://www.militaryaerospace.com/uncrewed/article/55242244/counter-uav-software-hardware-and-electromagnetic-warfare

 
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クライシスインテリジェンス管理者
AUSA 2024企業レポート(その1): ハイテクカメラ分野のリーダー「ラプターフォトニクス」 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnnf25yv6 2024-11-19T19:00:00+09:00
AUSA 2024での英ラプターフォトニクス社のブース
半導体(CMOS)と短波赤外線(SWIR)センサーを組み合わせた高性能の装備を多数展示していた
【出典】NSBT Japan撮影
 
<ラプターフォトニクス社とは>
NSBT Japanは10月14日から16日、米ワシントンD.C.で開催された米陸軍協会の年次総会および展示会である「AUSA 2024」を視察した。多くの企業ブースも取材してきた中から、今回は英ラプターフォトニクス(Raptor Photonics)社を取り上げたい。
 
同社は2006年に英国、北アイルランドで設立された高性能カメラメーカーである。同社が製造する高性能デジタルカメラやアナログカメラ、また監視装置は非常に堅牢でミルスペック(MILSPEC)対応であり、この分野においては世界的リーダーとされている。同社の専門は、光を捉えて電気信号に変換するCMOSセンサーおよび短波長赤外線帯域から光を取り込むSWIRセンサーを用いた技術開発とカメラ製造である。手持ち式、三脚式、レールマウント式など様々な用途に対応し、赤外線(IR)およびレーザー機能を備えた統合カメラの生産も行う。
 
<ラプターフォトニクス社の強みとは>
ラプターフォトニクス社のユーザーは、政府機関や特殊部隊、大手企業などがメインであり、主に、航空宇宙分野(Space)、戦場や国境等での監視(Surveillance)、学術分野(Scientific)で展開されている。それ以外に、特殊部隊などでも実際に採用されており、高い評価を得ているとのことであった。
 
とくに同社のカメラは、夜間のような超低照度の環境下でも優れた視認性と解像度を有している。また、EMC(電磁ノイズ)や衝撃、振動に耐えるように堅牢に設計されており、高温から極寒まであらゆる環境で安定的に動作する。
 
さらに、広範囲をカバーする監視システムは重要なエリアのセキュリティ対策に最適である。近年の軍事技術では、歩兵システムの進化や複雑な戦闘システム、ドローンの脅威などに対処するため、カメラによる監視能力が重要視されている。
 
同社が力を入れているSWIRセンサーにも注目したい。光の波長には、目に見える可視領域から赤外線・紫外線領域がある。その中で赤外線領域は短波長赤外線帯域(SWIR)、中波赤外線帯域(MWIR)、長波赤外線帯域(LWIR)に分けられる。SWIRセンサーを使うことで、短波長赤外線帯域からも光を取り込むことができ、これにより肉眼では見えない対象物を映し出すことが可能となる。
 
そのため、同社のSWIR一体型のカメラシステムは、通常の可視カメラと比べて霧や雨および障害物を「見通す」ことができ、より高いコントラストで目標を捉えられるとのことだ。SWIRは、レーザー目標指示装置やシースポット装置で使用される1,064nmと1,550nmレーザーを確認するのに最適な波長帯である。

実際に、ラプターフォトニクス社製のカメラ「Owl 640」と、これにSWIRセンサーを加えた場合との見え方を比較した下図をみればその違いがよくわかる。
 

視界ゼロ(左)の状況下における効果の違い
ラプターフォトニクス社製高感度カメラ「Owl 640」による画像(中央)と、短波赤外線増強装置(MR5400)を加えた鮮明な画像(右) 【出典】Raptor Photonics公式YouTube:https://youtu.be/GmTO5L36y2k?t=31 
 
すでに同社は学術分野を中心に我が国にも進出しているとのことで、今後はさらに多くの分野での展開にも意欲を示しているという。
 

ラプターフォトニクス社が開発したSWIR機能搭載の単眼鏡(軍用)
【出典】NSBT Japan撮影


様々なカスタマイズが可能なラプターフォトニクス社製品

【出典】NSBT Japan撮影


Owl 640Ⅱを含む各種の超低消費電力、コンパクト、VIS-SWIRカメラ

【出典】NSBT Japan撮影



 

 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fndjizigb 2024-11-19T16:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】BAEシステムズ、蘭・ベルギー向け艦載砲システムの供給契約を締結 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnvo2gsct 2024-11-19T10:00:00+09:00
艦砲システム「Bofors 40Mk4」
【画像出典】BAE Systems:
https://www.baesystems.com/en/article/the-netherlands-and-belgium-jointly-award-bae-systems-a-contract-for-40mk4-naval-gun-systems

英国の防衛大手BAEシステムズ(BAE Systems)社は11月1日、オランダ海軍およびベルギー海軍向けに8基の「ボフォース(Bofors)40Mk4」艦砲システムを供給する契約をオランダ国防省資材・IT司令部(Dutch Materiel and IT Command)と締結したと発表した。
 
この契約は、オランダとベルギーの両海軍による共同事業「対潜戦フリゲート(ASWF:Anti-Submarine Warfare Frigates)計画」の一環で、BAEシステムズ社の子会社であるBAEシステムズ・ボフォース(BAE Systems Bofors)社が、オランダおよびベルギーの対潜フリゲート各2隻に副兵装として艦砲システムを、フリゲート艦
[1]1隻につき2基ずつ提供するものだ。
 
BAEシステムズ・ボフォース社の営業部長、ステファン・ロフストロム(Stefan Löfström)氏は声明で、「この艦砲システムの導入によって、当社の先進的な3P弾
[2]が運用可能となり、新型フリゲート艦が必要とする最先端の能力を確保できる」と述べ、「BAEシステムズは、欧州の安全保障に資する高度な装備を提供することで、北大西洋条約機構(NATO)同盟国を支援し続けている」と強調した。
 
この契約には、設置、訓練、関連資料、スペアパーツおよび関連工具が含まれており、BAEシステムズ社のプログラム可能な3P弾や訓練用艦砲のオプションも提供される。最初の艦砲は2026年に納入予定だ。
 
ボフォース40Mk4は、対空・対水上・対地戦向けに設計されたコンパクトで軽量な艦砲システムで、弾薬の種類をシームレスに切り替えることができるため、陸・海・空からのさまざまな脅威に対応したターゲティングが可能だ。プログラム可能な3P弾は、6つの異なる機能モードを設定して効果を最適化できるため、艦砲システムに高い戦闘能力を提供する。BAEシステムズ・ボフォース社の実績ある40mm砲と最新の弾薬技術を組み合わせたこのシステムは、予期せぬ事態にも対応可能だ。
 

【注】
[1]フリゲート艦:軍艦の艦種の一つ。艦種の大きさによって分類された等級であり、「ミリタリー・バランス」では満載排水量1,500t~4,500tと定義している。代表的なフリゲートは海上自衛隊の「もがみ」級、中国のジャンカイ(江凱)級など。
[2]3P(Pre-fragmented, Programmable, Proximity- fused)弾: BAEシステムズ・ボフォース社製の弾薬。命中する前に破裂させる(Pre-Fragmented)ことができ、状況に応じてプログラムすることが可能(Programmable)で、目標を感知して破裂する近接信管(Proximity- fused)の機能を有するとしている。また、6つのモード設定が可能で、陸・海・空のあらゆる目標に対して最適な効果を発揮する。これにより、兵器システムは最大限の戦闘柔軟性を実現する。 


【出典】
https://www.baesystems.com/en/article/the-netherlands-and-belgium-jointly-award-bae-systems-a-contract-for-40mk4-naval-gun-systems
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/weapons/euronaval-2024-bae-systems-signs-contract-for-dutch-and-belgian-40-mk4-naval-gun-systems
 
https://www.baesystems.com/en/product/fuze-3p-ammunition

 
 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnweu4pnx 2024-11-18T15:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】チェス・ダイナミクス社、新型火器管制レーダーシステムSea Eagle FCROを発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnh5u7yp2 2024-11-18T14:00:00+09:00
火器管制レーダー「シーイーグル(Sea Eagle)FCRO」
【画像出典】Chess Dynamics:https://www.chess-dynamics.com/news


 
英国に拠点を置くチェス・ダイナミクス(Chess Dynamics)社は、11月4日から7日までフランス・パリで開催された海軍防衛展示会「ユーロナバル(Euronaval)2024」において、火器管制レーダー[1]および電子光学(EO:Electro-Optical)システムを統合した次世代型「シーイーグル(Sea Eagle) FCRO」を発表した。
 
このシステムは最新鋭の射撃統制レーダーと高性能な電子光学センサーを統合したものであり、コンパクトで手ごろな価格に抑えられている。また、現在就役中の艦艇のあらゆる口径の艦砲に高精度の射撃管制
[2]を提供することが可能であり、他の兵器にも適用できる。
 
さらに空中、水上及び陸上目標の地理座標をリアルタイムで提供するように設計されており、最大30kmの範囲で陸・海・空の目標に対する艦砲やその他の兵器の精密な照準を実現する。
 
チェス・ダイナミクス社の事業開発部長、マーク・バイフィールド(Mark Byfield)氏は「私たちは海軍のエンドユーザーの声を聞き、艦砲の口径30mmから127mmの目標範囲に対応可能で、よりコンパクトで手頃な価格の次世代レーダー・電子光学火器管制システムに対する真のニーズを認識した」とし、「次世代FCROは、実証された性能と世界最高水準の革新的技術を融合させたもので、当社の製品群のエンドユーザーにこれまでに提供してきた高性能かつ信頼性の高い設計戦略を取り入れている」と述べた。


【注】
[1]火器管制レーダー(FCR:Fire-Control Radar): 射撃統制システムで用いられるレーダー。米海軍では、軍用の追尾レーダーのほとんどが火器管制レーダーであるとして、この両者を同義として扱っている。 
[2]射撃管制(FC:Fire Control):目標に対し効果的な射撃を行うため、観測具、照準具、測定具などの器材を用いて、目標の捜索・探知・捕捉・追尾から弾丸発射にいたるまで、人員及び火器を含めた器材の一連の動作をまとめること。 
 

【出典】
https://www.chess-dynamics.com/news/chess-dynamics-launches-fire-control-radar-and-electro-optical-system-optimised-for-the-control-of-naval-guns
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/sea/euronaval-2024-chess-dynamics-launches-new-fire-control-radar-and-electro-optical-system

 
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】PAC-3、新型レーダー試験で標的撃破 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn4hky6ix 2024-11-15T15:00:00+09:00
発射されたPAC-3のイメージ図
【画像出典】Lockheed Martin社:
https://news.lockheedmartin.com/2024-11-04-pac-3-engages-advanced-target-in-flight-test-supporting-u-s-army-modernization-strategy#assets_all

米国のロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社は11月4日、レイセオン(Raytheon)社の防空レーダー「LTAMDS(Lower Tier Air and Missile Defense Sensor)」[1]と統合運用した地対空ミサイル「PAC-3(Patriot Advanced Capability -3)」により、戦術弾道ミサイル[2]の撃破に成功したと発表した。
 
今回の試験は米陸軍の「統合戦闘指揮システム(IBCS: Integrated Battle Command System)」とLTAMDS、PAC-3の統合を実証するテストの一環である。IBCSは戦場におけるあらゆるセンサーと火器をリンクさせることが可能な実戦配備されたシステムで、米陸軍の将来のミサイル防衛システムの中核を成すと位置づけられている。
 
レイセオン社のLTAMDSは従来のPAC-3のレーダーと異なり、360°の探知・防御が可能だ。LTAMDSの成功を受け、米陸軍は新型レーダーの早期配備を検討している。

 
 
【注】
[1]LTAMDS(Lower Tier Air and Missile Defense Sensor):レイセオン・ミサイルズ&ディフェンス(Raytheon Missiles & Defense)社が米陸軍向けに開発している低層防空ミサイル防衛センサー(LTAMDS)を搭載したレーダー。極超音速兵器(秒速1マイル(1.6km)以上の速さで飛翔する兵器)などを撃墜するために設計された。
 
[2]戦術弾道ミサイル(TBM:Tactical Ballistic Missile):射程が短く(300km未満)、軍事目標を攻撃する用途で用いられる弾道ミサイルのこと。ロシアによるウクライナ侵攻の報道などで度々話題となっているロシアの「イスカンデル」や米国の「ATACMS(エイタクムス)」がこれにあたる。
 

【出典】
https://news.lockheedmartin.com/2024-11-04-pac-3-engages-advanced-target-in-flight-test-supporting-u-s-army-modernization-strategy#assets_all
 
https://www.defensenews.com/land/2024/11/06/patriot-missile-knocks-out-threat-target-in-test-with-new-radar/
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】セルベール社、仏海軍の新型哨戒艦に対ドローン探知システム納入 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnyc89sdd 2024-11-15T10:00:00+09:00
【出典】Naval Group: 
https://www.naval-group.com/fr/naval-group-acheve-la-conception-des-futurs-patrouilleurs-hauturiers-de-la-marine-nationale-et

フランスの対ドローン防衛専門企業セルベール(CERBAIR)社は11月5日、2023年にフランス装備総局(DGA)[1]が同海軍向けに発注した7隻の新たな外洋型哨戒艦に、同社の電波探知装置の海軍バージョンを納入すると発表した。
 
このプロジェクトは、ドローンの脅威に対する艦船の防衛を強化することを目的としている。
 
電波探知装置であるHYDRA システムは、高度な電波スペクトル分析により、ドローンとその操縦手の両方を探知し、艦船に対する脅威のプレゼンスやその接近に対処できるようにする。
 
システムの形状はアンテナ型で、革新的なモジュール構造
[2]を導入。センサーを新型艦艇に統合できる一方、旧型艦艇への後付けも可能だ。
 
セルベール社の信号処理アルゴリズムを備えたこの電波探知装置は、パッシブ型で探知しづらいため、効果的な防衛能力を提供する。これは、外洋型哨戒艦
の自衛において重要な役割を果たす。
 
【注】
[1] 装備総局(Direction générale de l'Armement,DGA):フランス国防省下に置かれるフランス軍全体の装備体系の設計・評価および調達を担当する機関。
 
[2] モジュール構造:製品やシステムを構成する部品や機能を独立した単位(モジュール)に分割して、個々のモジュールを独立して開発、テスト、製造できるようにした構造。
 
 
【出典】
https://www.navalnews.com/event-news/euronaval-2024/2024/11/cerbair-equips-the-french-navys-new-offshore-patrol-vessels-with-anti-drone-systems/
 
https://www.cerbair.com/articles/cerbair-equipe-les-nouveaux-patrouilleurs-hauturiers#
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(発表)】GA-ASI社と米海軍、MQ-20の制御試験に成功 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn29gbman 2024-11-14T16:00:00+09:00
無人航空機システム「MQ-20アベンジャー(Avenger)」
【画像出典】GA-ASI社:
https://www.ga-asi.com/ga-asi-and-us-navy-fly-mq-20-avenger-using-md-5-gcs-to-perform-commanded-autonomy-maneuvers


米国の無人航空機メーカー、ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI:General Atomics Aeronautical Systems)社は11月7日、米海軍との実証実験の一環として、無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)「MQ-20アベンジャー(Avenger)」[1]を使用し、自律制御による操縦を実施したと発表した。
 
米海軍は、ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社の自律システム「MDCX™(Multi-Domain Combat System)」を搭載したMD-5地上管制ステーション(GCS:Ground Control Station)
[2]を用いて、ジェットエンジン搭載のMQ-20を指揮・制御した。GA-ASIチームは、米海軍およびロッキード・マーティン社と協力し、多数展開低軌道(PLEO:Proliferated Low Earth Orbit)データリンクを利用した飛行実証に成功。
 
米海軍の無人艦載機運用計画局(Unmanned Carrier Aviation Program Office)PMA-268は、GA-ASI社のMQ-20を、将来配備予定の新型UAS「MQ-25スティングレイ(Stingray)」などの代替機として使用した。今回の実験成功は、無人艦載機運用管制ステーション(UMCS:Unmanned Carrier Aviation Mission Control Station)が、さまざまな無人機を指揮できることを実証している。
 
MD-5地上管制ステーションは、米メリーランド州のパタクセント・リバー海軍航空基地を拠点に運用され、MQ-20は米カリフォルニア州エルミラージュにあるGA-ASI社の「デザート・ホライズン(Desert Horizon)」飛行運用施設から飛行した。
 
今回の飛行は、GA-ASI社の無人航空機が自律的に動作しながら、UMCSの運用コードを用いて双方向通信を行った初めての事例である。
 
GA-ASI社のデビッド・R・アレクサンダー(David R. Alexander)社長は「今回の取り組みは、業界パートナーと政府機関が協力して重要な新技術を実証した代表例である」と強調し、「当社のチームは、管制ステーションから効率的かつ安全に航空機の飛行制御を実証した」と述べた。
 
米海軍は将来、MQ-25など多様な無人航空機を空母で運用することを計画している。今回のMQ-20の実証実験は実際のUASを用い、UMCSによる指揮・制御が可能かどうかを確かめるために行われた。


【注】
[1]MQ-20 アベンジャー(Avenger): GA-ASI社が開発した無人戦闘攻撃機。通称プレデターC(Predator C)とも呼ばれる。最高速度は時速740km、機体内のウェポンベイにAGM-114ヘルファイアミサイル、GBU-31 JDAMなど1,600kgを搭載可能という。
[2]地上管制ステーション(Ground Control Station:GCS) MD-5:人間が無人航空機を制御するための陸上あるいは海上のコントロールセンターの中核となるシステム。米海軍では無人艦載機運用管制ステーション(Unmanned Carrier Aviation Mission Control System : UMCS)として一体的に運用し、各種実証試験を行っている。 
 

【出典】
https://www.ga-asi.com/ga-asi-and-us-navy-fly-mq-20-avenger-using-md-5-gcs-to-perform-commanded-autonomy-maneuvers
 
https://www.navair.navy.mil/news/US-NAVY-GENERAL-ATOMICS-AND-LOCKHEED-MARTIN-COMPLETE-UNMANNED-AVIATION-CONTROL-STATION-FLIGHT
 
https://www.twz.com/air/mq-20-avenger-first-drone-flown-using-navys-carrier-based-control-system

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】HGH社、USV向け赤外線監視システムを発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnbewbena 2024-11-14T12:00:00+09:00
赤外線監視システム「スパイネル(Spynel)-F」
【画像出典】HGH社:
https://hgh-infrared.com/hgh-unveils-spynel-f-and-usv-based-surveillance-solutions-for-enhanced-situational-awareness-at-euronaval-2024/

フランスの赤外線機材メーカーHGH(HGH Infrared Systems)社は11月4日、無人水上艦(USV:Unmanned Surface Vehicle)への搭載を目的とした新型のパノラマ赤外線監視システム「スパイネル(Spynel)-F」をフランス・パリで開催された海軍防衛展示会「ユーロナバル(Euronaval)2024」で発表した。
 
HGH社によると、各軍事活動で無人水上艦の重要性が増す一方で、航行と状況認識の点で大きな課題に直面している。作戦行動中の混沌とした海上で運用される無人水上艦は、大型船や岩礁、浮遊物、高速で移動する小型舟艇との衝突を避けるため、精密な航行プロトコルを用いた自動操船が行われなければならない。
 
こうした課題に対処するため、HGH社はスパイネル-Fを開発した。同システムは常に180°の視界を確保することが可能で、10Hzのフレームレート
[1]やデジタル安定化機能を備えている。加えて、各センサーのヘッドには長波長非冷却式の焦点面アレイ(FPA:Focal Plane Array)を使用した5台のカメラが搭載されていて、同社のソフトウェア「CYCLOPE」および人工知能(AI)自動分類ツール「GAIA」と互換性がある。
 
HGH社の営業部長であるシリル・マルシュブー(Cyril Marchebout)氏は「スパイネル-Fの仕様は衝突回避、空中および水上目標の即時追跡と分類に最適だ」と述べ、「運用範囲を広げるため、2台のスパイネル-Fを組み合わせて360°全方位の監視システムを構築することもできる」と付け加えた。
 
HGH社はスパイネル-Fの初期テストを2024年初めに完了しており、2025年中頃の初回製造品納入を目指している。
 
【注】
[1]フレームレート(Frame rate): 動画において、単位時間あたりに処理させるフレームすなわち「コマ」の数(静止画像数)を示す頻度の数値。10Hzの場合、1秒間に10枚の画像が撮影される。 
 

【出典】
https://hgh-infrared.com/hgh-unveils-spynel-f-and-usv-based-surveillance-solutions-for-enhanced-situational-awareness-at-euronaval-2024/
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/c4isr/euronaval-2024-hgh-unveils-spynel-f-infrared-surveillance-for-usvs

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnwk7afya 2024-11-14T10:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 米中の宇宙覇権争いと日本の将来 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnnx7skrv 2024-11-13T16:00:00+09:00
【画像出典】ChatGPT


米国は急ピッチで宇宙の利用を強化している。米宇宙軍は軍事作戦を支援するために商業衛星とデータ分析の活用を決め、既存の全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)ネットワークの増強を目指し、新たなGPS衛星コンセプトを開発する企業4社を選定した。
 
一方で、以前から中国による対衛星兵器の開発が着々と進んでいる。あらためて中国のこれまでの動向を振り返りつつ、令和7年度の概算要求から日本の宇宙安全保障について見ていく。
 
<米国の衛星関連ニュース>
1 商業用衛星の活用
世界の宇宙産業に関連する企業、機関、技術に関するニュースサイト「スペースニュース(SPACENEWS)」によると、2024年9月17日、「2024 Global Air and Space Chiefs Conference」において、米宇宙軍宇宙作戦本部長のチャンス・サルツマン(Chance Saltzman)大将は「戦術的監視・偵察・追跡(TacSRT:Tactical Surveillance, Reconnaissance, and Tracking)プログラム」を2月から試験運用し、米軍がアフリカ・ニジェールのアガデス基地から撤退する際、数週間にわたって監視を続けたことを明かした。
 
これは商業用衛星画像とデータ分析を活用するもので、米軍はアガデス基地の半径5km以内を監視し続けた。この際、衛星で収集した情報を地上の治安部隊に送信するまでにかかっていた所要時間を、平均3時間半から最終的には1時間半にまで短縮することに成功したということだった。詳細は不明だが、少なくとも衛星による情報収集から現地の部隊に情報がわたるまでの所要時間は平均72時間で、森林伐採の監視から違法な資源採掘、部隊の移動まで、様々な任務をカバーしているという。
 
2 レジリエントGPS
同じくスペースニュースによると2024年9月23日、「米宇宙軍は『レジリエントGPS(Resilient GPS)』衛星の設計に4社と契約した」と報じた。
 
既存の全地球測位システム(GPS)コンステレーションが軍事から民間まで幅広く活用されている一方で、妨害や欺騙の影響を受けやすく、意図的に信号を妨害したり、偽の測位情報によって別の場所に誘導されてしまったりする懸念がある。
 
そこで既存のGPSを補強するために、より小型で低コストの衛星を使用してネットワークの増強を目指しているのが、「レジリエントGPSプログラム」だ。具体的な金額などは明らかにされていないが、契約企業はアストラニス(Astranis)社、アクシエント(Axient)社、L3ハリス(L3Harris)社、シエラスペース(Sierra Space)社の4社。2028年までに打ち上げ可能な衛星を最大8機製造するための最初の段階だという。
 
3 ヴィクタス・ヘイズ(Victus Haze)ミッション
2024年10月24日、トゥルーアノマリー(True Anomaly)社はファイアフライ・エアロスペース(Firefly Aerospace)社と提携し、米宇宙軍のヴィクタス・ヘイズミッションに向けた自律軌道宇宙船を打ち上げると発表した。
 
この「ヴィクタス・ヘイズミッション」とは、米宇宙軍が短時間で衛星軌道上の脅威に迅速に対応するための即応打ち上げ能力の実証試験を行うミッションと言われている。現在は打ち上げ指示から24時間以内に衛星を打ち上げることが目標である。
 
<戦場の新たな領域「宇宙」>
ここ数年、宇宙やサイバー空間が戦場として認識されている。2017年、米国は「マルチドメインオペレーション(MDO:Multi Domain Operations)」
[1]という宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を加えた軍事コンセプトを開発した。我が国の自衛隊においても2018年に閣議決定された「防衛計画の大綱」において「領域横断作戦」[2]が盛り込まれ、同じく陸・海・空の領域のほかに、宇宙・サイバー・電磁波を含めることとしている。2022年の「国家防衛戦略」では、防衛力の抜本的な強化の中で、重視する7つの能力の一つに掲げられているものだ。
 
MDOのためにはこれまでの軍種ごとに構築されてきた情報通信ネットワークの互換性を持たせるとともに、より速く、各軍種の装備にまで共有しなければならない。つまり、これまでのGPSコンステレーションだけでなく、早期警戒衛星、通信衛星なども含めた「各種衛星が健在でなければならない」ことを意味する。

では、中国はどうであろうか。ここでは中国の宇宙空間に対する軍事的な取り組み、人工衛星への攻撃に関することについて焦点を当てて述べたい。
 
意外なことに、人工衛星に対する攻撃手段の研究・開発は偵察衛星が実用化された1950年代に始まっている。中国はこれに遅れること約50年、2003年ごろから弾道ミサイルを転用したASATの実験を進めていたとみられている。その後、防衛省が2020年12月にまとめた「防衛省の宇宙分野における取り組み」によると、2005年車両搭載型の化学レーザーによる低軌道衛星
[3]の光学センサの無力化実験に成功したのを皮切りにレーザー照射、対衛星ミサイルの発射、低軌道衛星同士の近接、静止軌道衛星[4]同士の近接、通信衛星へのジャミングなどを進めてきた。
 

【出典】「防衛省の宇宙分野における取組み」令和2年12月:
 
特に2007年の実験では、中距離弾道ミサイルDF-21(東風21号)をベースにした固体ロケットSC-19(米国側の呼称)を打ち上げ、高度約850~860kmの軌道にあった同国の気象観測衛星「風雲(Fengyun)1C」に命中、破壊したことが知られていて、今もこの時のデブリが浮遊しているという。そのためか、その後、対衛星ミサイルの発射実験は衛星を破壊しない形で行われている。
 
また、同資料では画像衛星の光学センサを無力化するレーザーや衛星本体に物理的な損傷を与えるレーザーを開発しているとの記述もあるが、これらの件については今後も追っていきたい。
 
<日本の宇宙における安全保障>
逆説的に米国の宇宙分野における一連の強化策から、遡って中国の対衛星攻撃に関する動向を見てきた。では、我が国の宇宙分野における安全保障はどうであろうか。
 
日本は宇宙を「平和」にのみ利用するとしてきた。それは悪いことではなかったのだろうが、宇宙に国境はなく、かつては米ソの、現在は米中の覇権争いの場となっている。それはMDOや領域横断作戦において重要な分野であり、宇宙での敗北もまた、陸・海・空域での敗北につながることになる。そして、日本もまた傍観者ではいられないのは事実だ。


                    【日本と主要国の軍事衛星・全衛星数の比較】
  日本 米国 中国 ロシア 英国 フランス インド
軍事衛星 2 247 157 110 6 17 9
全衛星数 88 5,176 623 181 653 50 62

    【出典】世界人口レビューから作成
      https://worldpopulationreview.com/country-rankings/military-satellite-by-country

しかし、現状は上記の表のとおりだ。日本の宇宙分野における進出状況は米国、中国、ロシアはおろか英国にも大きく後れを取っている。安全保障分野は周回遅れとも言い難い。
 
だが、何も手をこまねいて見ているわけではない。「防衛力抜本的強化の進捗と予算 令和7年度概算要求の概要」(防衛省)によると、宇宙領域における能力強化に約2,265億円、他分野の関連も含めると5,974億円を計上している。その内容は「衛星通信網の整備」に約1,380億円、「宇宙領域を活用した情報収集能力等の強化」に約3,677億円、「宇宙領域把握(SDA)の強化」に約28億円となっている。


                      【宇宙領域にける能力強化に関する令和7年度の概算要求】

区分 金額(億円)
衛星通信網の整備 多国間衛星通信帯共有枠組み対応器材の整備 21
次期防衛通信衛星等の整備 1,353
商用低軌道衛星通信器材等の整備 6
宇宙領域を活用した
情報収集能力等の強化
戦術AI衛星実証衛星の試作 53
次世代防衛技術実証衛星の開発 97
HGV対処に関する技術の向上を企図した技術検討 31
衛星コンステレーションの構築 3,232
画像解析用データの取得 264
宇宙領域把握(SDA)の強化 衛星妨害状況把握装置の整備 28
    【出典】「防衛力抜本的強化の進捗と予算 令和7年度概算要求の概要」をもとに作成
      https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2024/yosan_20240830.pdf


例えば宇宙領域を活用した情報収集能力等の構築で大きなウエイトを占める「衛星コンステレーションの構築」がある。これは、PFI方式、つまり公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う契約をもって推進するものであり、令和7年度に公募、契約の予定だ。衛星コンステレーションはスタンド・オフ防衛能力[5]に必要な目標の探知・追尾能力を確保するために不可欠であり、日本の防衛に欠かせない内容の一つである。
 
また、現在運用中のXバンド防衛通信衛星(きらめき2号機)の後継機として、通信能力等を向上させた次期防衛通信衛星等の整備についても衛星や地上器材の設計・製造に約1,353億円を計上している。
 
宇宙安全保障の分野は早急に整備していかなければならない分野のひとつだ。そこにはきっと、プライム企業だけでは及ばない、中小企業が蓄積してきた技術、あるいは現在も開発中の新しい技術が必要だろう。岐路に立っている安全保障の分野により多くの企業が参入し、追い越すとはいかずとも「侮れない」存在として日本の安全保障に寄与することが期待される。

 

【注】
[1]マルチドメインオペレーション(MDO:Multi Domain Operations):米国と同等の軍事力をもつ敵との戦闘を想定し、従来の陸・海・空の3領域に宇宙、サイバー、電磁波と言った新たな領域を加えた軍事コンセプト。2000年代から検討・研究が開始され、2017年には米陸軍の教範に盛り込まれた。
[2]領域横断作戦:2018年の「防衛計画の大綱」にもりこまれた自衛隊の作戦構想。陸・海・空に加えて宇宙、サイバー、電磁波を跨いで戦うことを想定している。上述のMDOと同義語とも言われている。
[3]低軌道衛星:地上からおよそ1,000km上空を起動する衛星のこと。周回し、地表を撮影することから偵察衛星、情報収集衛星と呼ばれるものはこれに分類される。調査・研究用に地表を撮影する商用衛星もある。同じく周回する衛星で、高度約20,000kmに位置する衛星は「中高度軌道衛星」と言われ、GPSのような位置情報を測位する「測位衛星」が一般的。
[4]静止軌道衛星:地球に対して静止している状態にある衛星。地表からの高度は約36,000kmになる。弾道ミサイルの発射を早期に探知する「早期警戒衛星」や「通信衛星」がある。
[5]スタンド・オフ防衛能力:敵のレーダーや対空・対艦ミサイルの射程外(スタンド・オフ)から攻撃して、自衛隊員の安全を確保しつつ、我が国への攻撃を阻止すること。また、その能力。

 
 
【参考】
https://spacenews.com/space-force-taps-four-companies-to-design-resilient-gps-satellites/
 
https://spacenews.com/u-s-space-force-chief-endorses-commercial-satellite-data-program/
 
https://breakingdefense.com/2024/08/ai-gold-mine-nga-aims-to-exploit-archive-of-satellite-images-expert-analysis/
 
https://theaviationist.com/2024/10/10/aerobraking-to-change-x-37b-orbit/
 
https://spacenews.com/space-force-defends-plan-to-buy-smaller-cheaper-satellites-to-reinforce-gps/
 
https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/strategy/pdf/strategy_outline.pdf



 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnavivtrk 2024-11-13T11:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】テルマ社とSEA社、艦艇用複合型防護システムを発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fns2gxkvo 2024-11-13T10:00:00+09:00
複合型防護システム「シーガード(C-Guard)MK II」
【画像出典】Terma社:
https://www.terma.com/news-events/news/latest-news/terma-and-sea-to-develop-combined-countermeasures-capability/


デンマークのテルマ(Terma)社と英国のSEA(Systems Engineering & Assessment)社は11月4日、海軍艦艇用の複合的な防護システムの開発を発表した。発表は11月4日から7日まで、フランス・パリで開催されていた海軍防衛展示会「ユーロナバル(Euronaval)2024」で行われた。
 
両社によると、同システムはSEA社の旋回式デコイ(おとり)
[1]発射システム「アンシリア(Ancilia)」と、テルマ社の防護システム「シーガード(C-Guard)MKII」の脅威評価技術や迅速な対応能力により、複数のミサイルや魚雷への防御力を強化する。
 
アンシリアの旋回性能により、脅威から回避するための操艦が必要なくなり、また小型で軽量なため、さまざまな海上装備に設置できる。デコイのタイプに依存しないオープン・アーキテクチャを採用しており、NATO標準の130mmデコイやその他の口径も発射できるほか、既存のシステムへの後付けが可能だ。
 
シーガードMK IIとアンシリアは合計4つの発射オプションを提供する。同システム搭載艦艇はこの柔軟性により、固定式と旋回式発射装置の両方を組み合わせ、防御力を高めることができる。
 
SEA社のリチャード・フリットン(Richard Flitton)社長は「多様な脅威が急速に進化する中で、アンシリアとシーガード MK IIは、最先端技術を旧式の艦船に提供するために、2つの先進的な防護能力をもたらした」とし、「この統合された技術により、古い技術に依存している艦艇にも次世代型の防御力を提供できる」と述べた。

 

[1]デコイ(Decoy): 敵を欺瞞して本物の目標と誤認させる目的で展開する装備の総称。電波によるもの、音波によるもの、赤外線によるものなどがあり、使い捨てタイプや曳航式のタイプ、デコイが自律的に行動するタイプなど様々。 



【出典】
https://www.terma.com/news-events/news/latest-news/terma-and-sea-to-develop-combined-countermeasures-capability/
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/c4isr/euronaval-2024-terma-sea-team-up-on-c-guard-mk-ii-soft-kill-decoy-launch-system
 
https://www.terma.com/products/maritime/c-guard/
 
https://www.sea.co.uk/news/sea-launches-high-performance-countermeasures-system-ancilia-for-protection-against-modern-threats-to-surface-platforms
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】MBDA社、伊軍向け新型対艦ミサイル試射成功 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnwo664jt 2024-11-12T15:00:00+09:00
新型の対艦ミサイル・システム「テセオ(Teseo)MK2/E」
【画像出典】MBDA社:https://www.mbda-systems.com/press-releases/successful-first-launch-teseo-mk2e/


 
欧州ミサイル大手のMBDA社は 11月4日、イタリア海軍向けの長期開発プログラムの一環として10月14日に初めて新型「テセオ(Teseo)MK2/E」ミサイル・システムの試射を行い、成功したと発表した。テセオ MK2/Eは、海外では「オトマート(OTOMAT)」[1]として知られるテセオミサイル系列の対艦能力向上型の次世代ミサイルだ。
 
MBDA社によると、イタリア海軍との協力のもと実施された今回の発射試験では、ミサイルの新たな部品の設計検証が行われ、新たな空力性能に関する風洞試験の結果が確認された。これにより、来年予定されている新型機体および新型推進システムの認証に向けた準備が整った。
 
テセオ MK2/Eミサイル・システムには、新型のアクティブ電子走査アレイ(AESA:Active Electronically Scanned Array)無線周波数(RF:Radio Frequency)シーカーを搭載。反応時間の短縮化、衛星データリンクを介した飛行中のミサイル制御を含む高度なミッション・プランニングなどが特徴だという。
 
これらの機能により、従来のシステムと比べて長距離の海上および地上の目標を効果的に攻撃できる。延長された射程距離は、作戦中の乗員の安全性を高め、固定型または移動型のターゲットを無力化するための遠隔攻撃を可能にする。
 
同システムは新型多目的哨戒艦、次世代駆逐艦などに搭載するために開発された。従来のMK2/A型ミサイル・システムとともに、多任務フリゲート艦「フレム(FREMM)」
[2]やフランス、イタリアが共同開発したホライズン級ミサイル駆逐艦にも搭載される予定だ。また、テセオMK2/Eは、次期フレム・エボ(FREMM EVO)フリゲート艦にも搭載される見通しで、海外顧客のニーズにも対応できるという。
 
【注】 
[1]オトマート(OTOMAT): イタリアのオート・メラーラ社とフランスのマトラ社によって開発された対艦ミサイル。現在はMBDA社によって製造されている。
[2]FREMM(FRégates Européennes MultiMissions):マルチミッションフリゲートの略。フランス海軍とイタリア海軍は、共同で汎用フリゲート開発計画を進めており、一連の建造計画をFREMM計画と呼ぶ。なお後継計画で建造される艦艇をFREMM EVOフリゲート艦と呼ぶ。 


【出典】
https://www.mbda-systems.com/press-releases/successful-first-launch-teseo-mk2e/
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ロッキード社SEWIPブロック2、米海軍と日本政府が合同調達 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnyv95tjr 2024-11-12T10:00:00+09:00
【画像出典】Lockheed Martin社:
https://www.lockheedmartin.com/en-us/capabilities/electronic-warfare/surface-ew.html

 
ロッキード ・マーティン(Lockheed Martin) 社は、 水上艦電子戦装置改良計画(Surface Electronic Warfare Improvement Program:SEWIP)ブロック2のAN/SLQ-32[1](V)6およびAN/SLQ-32C(V)6電子戦システムのフルレート生産(Full Rate Production: FRP)契約を1億1,300万ドル(約172億円)で米海軍海洋システム・コマンドより受託したと発表した。
 
契約は対外有償軍事援助(FMS)制度下での米海軍と日本政府による合同調達で、同最新鋭電子戦装置の米国以外での調達は初めてという。
 
また同契約は、以前に締結したSEWIPのFRP契約の修正版であり、これにより必要に応じた追加生産が可能となった。
 
SEWIPブロック2は、2016年9月に開発段階からFRP生産に移行した。ブロック2では水上艦の対艦ミサイルの早期探知・分析、脅威の判定が可能である。ミサイルが発する目に見えない無線信号を基に、状況認識能力を高め、艦船をミサイルから保護することができる。
 
現在SEWIPは、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦数十隻に配備されているが、最終的には沿海域戦闘艦(LCS)
[2]の両クラスを含む、ほぼすべての米海軍の水上艦に装備される予定だ。
 
SEWIPは従来の電子戦装置と比べ、拡張可能なオープンアーキテクチャとなっている。周波数帯域の拡大、感度の向上、電磁波干渉保護の強化、ライフサイクルコストの低減など、将来的に艦船の保護能力を著しく進化させる余地があることが特徴だ。
 
ロッキード社は今回の契約について、「調達先となる日本は、米国の西太平洋地域における重要な同盟国であり、日本の艦船にSEWIPを導入することで、米海軍が脅威の探知・識別に使用している最先端のシステムと同じ能力が備わることになる」と述べた。そのうえで、今回の合同調達で「日本の艦船の能力強化および米海軍との相互運用性の向上も実現する」とコメントした。
 

※1ドル=約152円で換算 

【注】
[1]AN/SLQ-32:もとはレイセオン(Raytheon)社が開発した電子戦装置。電子戦支援(ESM)機能のみのモデルと、電子攻撃(ECM)機能を有するモデルがあり、米海軍および米沿岸警備隊の艦船に広く搭載されている。
[2]沿岸海域戦闘艦(Littoral Combat Ship):米海軍の水上戦闘艦艇の一種。小型・高速のステルス艦にモジュール化した装備を交換することで様々な任務に対応することを目指して開発された。「フリーダム級」と「インディペンデンス級」があり、満載排水量は約3,100~3,300t、全長約120~130m。
 

【出典】
https://news.lockheedmartin.com/2024-10-29-Lockheed-Martin-Makes-First-International-SEWIP-Sale-to-Japan
 
https://www.navalnews.com/naval-news/2024/10/lockheed-martin-to-provide-sewip-block-2-to-japan/
 
https://www.naval-technology.com/news/lockheed-martin-sewip-block-2-contract/


 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngyfnsbh 2024-11-12T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】ラファエルAPS搭載レオパルド2運用開始 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnc7bu7pw 2024-11-11T17:00:00+09:00
「トロフィー」を搭載したレオパルド2
【画像出典】イスラエル国防省公式Facebook:
https://www.facebook.com/IsraelMOD/posts/pfbid02V7XKMGgjgtSQMSCdS2J47FpqSPgMMP6n3YCH8oeDS6Z9FBwXAunJ5y2YfdRV6ra1l


イスラエルの大手防衛関連企業ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ(Rafael Advanced Defense Systems)社は10月29日、自社のアクティブ防護システム(APS:Active Protection System)[1]である「トロフィー(TROPHY)」を搭載したレオパルド2(Leopard 2)戦車の運用がドイツで開始されたと発表した。
 
今回のトロフィー導入は2020年にイスラエル・ドイツ政府間で締結された協定に基づくもので、イスラエル国防省の研究開発部門が主導。2021年に運用試験が実施されていた。
 
トロフィーはイスラエル国防省とラファエル社が共同で開発したシステムである。2011年から運用が開始され、イスラエルのメルカバ(Merkava)戦車やナメル(Namer)装甲兵員輸送車に搭載されている。イスラエル以外では米軍のエイブラムス(Abrams)戦車、英軍のチャレンジャー(Challenger)戦車にも搭載実績があるほか、ノルウェーのレオパルド2戦車にも搭載される予定だ。

 
 
【注】
[1]アクティブ防護システム(APS:Active Protection System):搭載車両に対して発射された対戦車ミサイルやロケット弾などを検知し、迎撃弾を発射して撃墜したり、ジャミングなどでミサイルの誘導システムを混乱させ無力化したりするシステム。トロフィーは飛来したミサイルやロケットを散弾銃に似た弾幕で迎撃、破壊する。
 
 
【出典】
https://www.rafael.co.il/news/historic-ceremony-in-germany-marks-the-launch-of-the-1st-leopard-tank-equipped-with-trophy-aps/
 
https://www.rafael.co.il/system/trophy-aps/
 
https://breakingdefense.com/2024/10/first-german-leopard-2-tank-gets-israeli-trophy-active-protection-system/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn2yghvfh 2024-11-11T16:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(契約)】ラファエル社、「アイアンビーム」量産へ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnieoc7we 2024-11-11T10:00:00+09:00
「アイアンビーム」運用中の様子
【画像出典】Rafael社:https://www.rafael.co.il/system/iron-beam/


 
イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ(Rafael Advanced Defense Systems)社は10月28日、レーザー兵器システム「アイアンビーム(Iron Beam)」量産のため、エルビット・システムズ(Elbit Systems)社と共に約20億新シェケル(約800億円)の契約をイスラエル国防省と締結した。
 
「アイアンビーム」はラファエル社が中心となって開発したイスラエル初の国産レーザー兵器システム
[1]である。ロケットや迫撃砲、無人航空機(UAV)、巡航ミサイルへの対処を目的に開発され、数百mから数kmの範囲にある目標を迎撃できる。またレーザー兵器であるため使用にあたり弾薬を消費することはなく、迎撃にかかるコストが著しく低いことも特徴だ。
 
今回の契約で調達が進む「アイアンビーム」は、現在イスラエルが有する「アイアンドーム(Iron Dome)」
[2]を補完する役割が期待されている。なお、「アイアンビーム」は1年以内に運用が開始される見込みだという。
 
※1新シェケル=40円で計算
 
  

【注】
[1]レーザー兵器システム:指向性エネルギー兵器の一種。アイアンビームは電力で発生させたレーザーを目標に照射し、熱で目標を破壊する。
 
[2]アイアンドーム(Iron Dome):ラファエル社が開発した防空システム。ロケット弾や155mm砲弾、ドローンなどを迎撃して部隊や施設、都市などを防護する。その迎撃の成功率は90パーセントを越えるという。
 

【出典】
https://www.rafael.co.il/news/major-milestone-in-rafaeals-high-power-laser-intercept-system-development/
 
https://www.rafael.co.il/system/iron-dome/
 
https://breakingdefense.com/2024/10/israel-signs-500-million-deal-to-expand-iron-beam-laser-air-defenses/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
イスラエルは何を目指しているのか? https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn5i9g6b2 2024-11-08T21:00:00+09:00 イスラエルは何を目指しているのか?  
NSBT Japanストラテジスト/拓殖大学教授
佐藤 丙午
 
イスラエルの安全保障問題を考える>
2023年10月7日にハマスがイスラエルへ攻撃を仕掛け、音楽フェスティバルの会場から民間人を拉致する事件を契機に始まった、イスラエルのガザ侵攻および、その後の中東地域の動乱が最終的にどのような形で解決するかは不明である。この問題では、多くの民間人が犠牲になった。特にパレスチナ側の犠牲者が膨大な数に上り、国連関係組織等も攻撃を受けるなど、付帯被害は人道問題として取り上げるべき事態になっている。

イスラエルはガザ地区のハマスの壊滅/弱体化を目指して大規模な攻撃を行い、一応の目処が立った後にレバノンやシリアにまで戦線を拡大している。イスラエルが何を目指し、戦争終結の条件をどのように考えているか、現時点で検証可能な議論は不可能である。

しかし、2023年までに至るイスラエルの安全保障政策を検討することで、その謎の一部は解けるかもしれない。さらに、それにより、パレスチナ勢力が、そもそもなぜイスラエルを襲撃したのか、という疑問に迫る事もできるのではないかと考える。

その鍵となるのは2006年の南レバノンに対するイスラエルの軍事侵攻から読み解ける、イスラエルの国土防衛の戦略、そしてそこに深く関係するイランの動向である。そこには、イスラエルが直面してきた「三正面作戦」への対応がある。
 
イスラエルの大戦略について>
イスラエルの防衛政策の基本は、現在の領土の安全であり、少なくとも現時点で領土拡大は志向していない(これを生存権の確保と呼ぶ)。これは2024年のレバノン空爆に際しても明言している。

したがって、2023年10月までイスラエルは地域の「平和」を求めており、テロへの対処と中東和平の推進が、政策の基本であった。実際、トランプ政権のもとで2020年9月にUAE、バーレーンと外交関係を樹立し、その後スーダンとモロッコの間で国交樹立の合意がなされた。バイデン政権のもとでは、サウジアラビアとの平和条約の締結までも展望できる状態にあった。つまり、少なくとも中東地域におけるイスラエルの生存権は、大幅に向上していたのである。

このため、入植問題を別にすると、イスラエルの安全保障上の懸念は、パレスチナとの関係と、レバノンやイエメンのテロ勢力の背後でも蠢くイランの動向、ということになっていた。パレスチナ問題は複雑で、その問題の専門家でないと、正確な分析は困難である。それを承知の上で、安全保障上の観点から言及すると、この問題の背景には国連などが進める「二国解決論」と、イスラエルが求めている(ように見える)「一国解決論」がある。パレスチナの実力組織がガザ地区のハマスとレバノンを実質的に支配するヒズボラに分かれ、パレスチナ自治政府がガバナンスを喪失している事態において、イスラエルがパレスチナ自治政府の信頼性の欠如に懸念を持つのは当然のようには見える。

イスラエルの生存権確保への道筋が見えている状態において、あえて自国に対する脅威を高める可能性がある「二国解決論」を進める理由はない。むしろ周辺国との関係を改善し、パレスチナ勢力に対する周辺国の支援を弱体化させ、独立した政治勢力としての立場を無効化する方が合理的となる。したがって、イスラエルはイランの大量破壊兵器問題を利用する形で、自国に対する国際社会の圧力をかわし(NPTの中東会議問題も、本会議と分離することに成功した)、パレスチナ勢力の国際的な孤立化に向けて政策を進めてきた。将来的にはテロ勢力を殲滅し、パレスチナの国家としての成立を不可能にすることを目指していたのだろう。

この大戦略には二つ問題点があった。一つはパレスチナのハマスとヒズボラの軍事的能力の撃滅が可能かどうか、そしてもう一つは域内の問題に対するイランの関与をイスラエル自身がどれだけ拒否できるか、である。実際、この二つの問題は連動しており、イスラエルは複雑な対応をとる必要があった。
 
イスラエルの「三正面戦争」>
イスラエルは2006年にレバノン南部に侵攻し、ヒズボラの撃滅を目指した。一部作戦は成功したが、山岳部における作戦の展開に限界があり、ヒズボラは住民を犠牲にしながらイスラエルの攻撃をかわし、地下施設や市街地に隠れ戦力を温存した。このため、イスラエルは撤退後、防衛手段の拡充を進めることになる。

イスラエルはレバノンを支配下に置く困難さを自覚し、基本的には自衛手段の充実を進めた。その中核は、ミサイル等の攻撃に対する防衛手段の充実と、反撃や相手の軍事拠点に対する打撃力の向上である。特に前者はアイアン・ドームにつながり、後者はハロップやハーピーなどの無人機の開発に代表される。これらに加え、ハマスやヒズボラに対する圧倒的な軍事優位を確保し、彼らからの攻撃があったとしても、それに徹底的かつ効果的に反撃することで、相手による攻撃の政治的および軍事的な意義の無効化を目指した。

そして、ハマスやパレスチナの戦闘員の特定を進め(位置や組織上の役割等)、人工知能を駆使して攻撃計画を詳細に組み立ててきた。2023年のガザ戦争において注目された「ラベンダー」は、その一部となる。民間人や民間施設の中に紛れるハマスやヒズボラの戦闘員、あるいはガザ地区やレバノンの地下に張り巡らされた地下施設を効果的に攻撃する上で、戦闘方法の効率化も重要な意味を持った。

ただし、このような対応はイスラエルの安全保障に対する脅威そのものを除去するものにはならず、同時にハマスやヒズボラに準備する時間を与えるものになった。イスラエルは2023年に至るまでの間、レバノンやシリアを爆撃し、敵対勢力の軍事拠点を撃破していった。2023年の戦争に至るまでの間、イランからの継続的な武器支援は着実に「彼ら」を強化していた。このため、この間のイランの努力を無効化する対応を進めているのである。

ここで「彼ら」とするには理由がある。実はイランが支援したのは国家ではなく、テロリストや反政府勢力など、それぞれの国家内部で宗教的、あるいは政治的にイランに同調する勢力である。そのような勢力は、ガザ、レバノン、イエメン(フーシ派)、シリアのアサド政権(シリア全土を掌握しているわけではない)など数多く、イスラエルにすると、国家ではないこれら勢力に対処する方策に苦労していた。

すでに述べたように、2006年のレバノン侵攻以降、イスラエルは防衛能力の拡充と、攻撃された際の戦争準備を進めた。しかし、実際にイスラエルが直面していたのは、イランに支援され、ガザ、レバノン、シリアに存在する非政府武装集団だった。この三正面作戦に対処する上で、イスラエルは新たな戦略を考案する必要があった。
 
「戦争の合間の作戦(Campaign between Wars: CBW)」と2023年以降の状況>
イスラエルが直面する安全保障上の課題に対処するための戦略を考案したのは、ネタニヤフ戦時政権で要職を務めるガンツ氏であるとされるCBWはイスラエルによる上記の二つの対応(本土防衛と攻撃手段の充実)と同時に進められてきた。この戦略では、①相手勢力の軍事力の拡充を弱体化させ、戦争の機会を遅らせる、②相手国の国際法違反などを理由にしたイスラエルの軍事力行使を正当化する、③イスラエル軍の勝利の条件を整える、の三つが主要な目的とされる。

イスラエルがこの戦略(CBWという名称で。過去同様の戦略を採用してきたが、その際には「影の戦争」などと呼ばれてきた)を公表したのは2019年である。イスラエルがCBWを構想したのは2006年後であり、2010年代後半にはイスラエル国防軍(IDF)が戦略の発動を求めたとの記事が見られる。この戦略は防御的防衛(日本の専守防衛と実質的には同じコンセプト)の限界をふまえたものである。
その意味でCBWは単独の政策ではなく、暗殺などの実力行使や、認知戦、あるいは外交努力(周辺国との関係改善)を含めた包括的な政策手段の総称と理解すべきである。防御的防衛は、相手国の軍事力の構築を抑制する手段がないという根本的な欠点を持つが、CBWでは、紛争や対立が全面戦争にエスカレートしないように管理することが可能であれば、相手が国家ではない分、イスラエルの実質的な安全は向上する。

ただこの戦略には大きな課題が存在する。イスラエルの敵対勢力がイスラエルを挑発しながら戦力の温存を図ることが可能な場合、イランの支援がある分、その安全は中長期的に減退する。さらに、イスラエルの敵対勢力に対するイランの軍事的支援を阻止するためには、イスラエルはイラン問題に正面から取り組む必要がある。この取り組みには、本格的な軍事作戦の実施から、イランの革命防衛隊の活動の完全制圧まで含む。

2023年以降のイスラエルの軍事作戦を見ていると、イスラエルの目的は、ガザとレバノンの占領統治や併合ではなく、破壊と「テロリスト」の根絶、そして再軍事化の阻止にあることが伺える。イスラエルは、安全保障の問題だけを考えるとすれば、これら地域の再建によりパレスチナの軍事組織が再構築されることは利益に反すると考えるだろう。ハマスとヒズボラの指導部はほぼ殺害したと報じられているが、これにより彼らの組織再構築は数十年遅れることになる。その間、イスラエルが得る安全保障上のマージンは大きい。

もっとも、たとえイスラエルがマージンを得たとしても、これを敵対勢力の完全な壊滅ではないため、今後の展開を見てゆく必要がある。
 
イラン問題と残された謎>
これらを総合的に考えると、2024年現在のイスラエルをめぐる問題の焦点は、イランとの関係ということになる。2024年10月末までの時点で、両国は限定的な軍事力の応酬を行なっており、これが今後どのような事態に発展するか注目される。イスラエルはこれまで実施してきたCBWに基づく、周辺国への軍事行動は継続するだろう。そしてガザとレバノンでは、少なくともいくつかの軍事拠点を破壊し、地下トンネル等の破壊も進めている。

実はここにハマスによる2023年の襲撃と、民間人人質の確保の謎の一部があるのではないかと考える。もちろん証拠はないが、ハマスにすると、地下に構築した拠点に人質を置くことで、イスラエルの地下施設に対する攻撃を抑制できると考えたのではないだろうか。イスラエルが逮捕拘禁しているハマスの戦闘員との人質交換目的というのは、理解できるようで納得できない説明であった。

イランにすると、イスラエルのCBWをかわして、ハマス、ヒズボラ、シリアなどの軍事力構築を進めるとこまでは計算通りだろう。実際、イスラエルは、防御システムを含め、その軍事的優越は相手側による限界攻撃に耐えきれないとの評価もあった。ただ問題は、イランはイスラエルの軍事的優越を中立化した先に何を目標としていたのかと、イスラエル国家の殲滅を目指すとすれば、三正面作戦を同時に仕掛けてイスラエルを消耗させなければならなかったのに、ハマスの拙速な行動が発生して以降、チグハグな対応をとっているのはなぜか、である。

現時点でこれら問題への答えを考えるとすれば、まず、イランの外交政策上の最優先課題は、孤立状態の解消であり、イスラエルの壊滅は、必ずしも優先順位の高い問題ではない(そもそも実現困難であり、米国の支援がある中で達成は困難)ことを前提とする必要がある。これを踏まえると、2023年以降の「戦争」は、イスラエルによるCBW実施の一段面に過ぎないとの理解、それともイランやその支援勢力による戦術的ミスによる偶発的事態の中で、イスラエルが軍事的な機会を得たものとする分析、あるいは、イランとイスラエルの全面衝突に向けたプレリュードを見ているとの判断など、さまざまな可能性を検討することが可能になる。

いずれにせよ、多くの民間人の死傷者が発生し、全面戦争のリスクも存在する中で、国際社会は緊張感を持って対応しなければいけない状況が続いているのは確かなようである。
 
以上
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クライシスインテリジェンス管理者
経済安全保障の軍事的視点: 海外からの投資の監視審査制度をどう考えるのか https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn4uhnxzg 2024-11-08T20:30:00+09:00 経済安全保障の軍事的視点:海外からの投資の監視審査制度をどう考えるのか
 
中曽根平和研究所 研究顧問
長島 純
 
米中対立に見られる国際情勢の複雑化、人口動態の変動や産業構造の高度化などの社会経済構造の変化は、安全保障における経済分野の重要性を浮き彫りにしました。それは、安全保障の視点で経済施策を進める経済安全保障
[1]として、日本だけでなく、国際社会全体が直面する問題そのものです。果たして、経済上の共通のリスクに対しては情報共有や規制基準の調整を協調的に行なうことを通じて、グローバルな経済安全保障を実現し、日本の安全保障上の利益を図ることが避けられません。

その中でも、安全保障の視点に立った貿易管理の取り組みに注目が集まっています。軍事利用可能な機微技術の流出管理の失敗が、軍事力の優越性に直接影響を及ぼすことになれば、それは安全保障上の最大のリスクとなるでしょう。特に新興・破壊的技術(EDTs)と呼ばれる人工知能(AI)、ビッグデータ、自律性、宇宙、量子、極超音速、バイオテクロノジー、新材料などの機微技術は社会発展の機会に加えて、軍事力の進化の原動力となることから、その輸出や投資の管理は国の安全保障に直接関係する可能性が大きいです。

 
経済安全保障と投資の監視審査
2014年10月、フランス(シャンティリ)においてCELIS研究所主催の経済安全保障フォーラムCFIS 24が開催されました
[2]。今回の本フォーラムには、欧米諸国、日本、シンガポール、インドから政治家、法律家、投資家など幅広い分野の専門家が集まり、軍事部門における対内投資の監視及び審査制度(以下、対内投資審査制度)を焦点とする討論パネルが開催されました。
 

【出典】CELIS Institute:
https://www.celis.institute/events/celis-events/home-celis-2024/
 
このフォーラム開催の背景には、①軍民融合戦略を進める中国のデュアルユース技術への軍事目的での多額投資に対して、自由主義国家の技術的及び運用上の優位性が損なわれ、自由で開かれた国際秩序が不安定に陥りかねないとする懸念が高まっていること、②EDTsが、単独でイノベーションには結びつくことは難しいが、物理的(リアル)、情報的(サイバー)、人間的(バイオ、認知)空間が融合する新領域において相互作用することで未知なる軍事イノベーションを引き起こす可能性を有すること、③軍事的な直接投資審査の厳格化は必要ではあるものの、その過度な対応は国家的な経済成長を損ないかねないという様々な課題や懸案等があります。この安全保障と経済成長のバランスをいかに適正に取り、その持続可能性を維持してゆくのか、その難しい問題に世界が直面していることが実感されます。
 

日本における対内投資審査制度
日本は、新たな国家安全保障戦略
[3]で示されたように「外国為替および外国貿易法(FEFTA)」の改正(2019年)や「経済安全保障促進法」の制定(2022年)を通じて、経済安全保障施策の推進を急いでいます。具体的には、重要な防衛分野への外国投資に対する規制を強化し[4]、防衛、航空宇宙、核技術等の機微分野において、外国投資家が企業の1%以上の株式を取得する場合には事前届出を義務化することによって、安全保障面で守るべき産業や技術が、不適切に国外に流出することを防ごうとしています。また、重要な商品やサービスの安定供給を確保し、先端技術における官民協力を促進するための新しいシステムの導入を図りながら、経済安全保障に不可欠とみなされる分野における外国からの直接投資を審査し、規制する行政能力が強化されています。2023年には半導体や蓄電池などの9つの技術分野を事前通知が求められる政府リストに追加され、国としての技術面からの規制が強まっています。

このような投資審査制度の強化を通じて、軍事的なイノベーションにつながるEDTsを保護し、軍事的優位性の確保を図ることは、日本の安全保障を強化する上で不可欠です。しかし、その結果、経済成長と安全保障という2つのバランスが崩れ、有益な海外からの直接投資が減少することは、日本の持続的な経済発展という観点からは望ましいことではありません。事実、日本経済にとって外国投資は重要な成長エンジンです。2022年には対日直接投資が前年比13.5%増の46.2兆円と過去最高を記録し、製造業やIT分野を中心に新技術や資本の流入をもたらしています。更に、2030年までにそれを100兆円とする目標を掲げています。高水準の投資は、急速な技術開発を推進し、高価値・高付加価値産業の発展、高い生産性・技能・学力による労働力の育成に結びついているのです。今回のフォーラムを通じて、国益上のバランスを図りながら、適正な対内投資審査制度を展開する上で国際的なパートナーシップと官民産学の連携が欠かせないことが改めて確認されました。
 

国際的なパートナーシップ
共通の価値観や戦略的な利益を共有する国家間の協力は、投資審査制度においても、各々の規制を調和し、共有する技術を保護することに結びつき、防衛力における共通の技術力や相互運用性を確保する上で非常に重要です。国際公共財としてのサイバー空間や宇宙空間における安全保障や軍事サプライチェーンの確保という課題が国境を越え、グローバル化しつつある中で、国際的な協力枠組みや対話の重要性が一層高まっていることが追い風になっています。

現在、対内投資審査制度の導入は世界的な広がりを見せており、30カ国以上がこの制度を採用しています
[5]。米国ではCFIUSの権限強化やFIRRMA法による審査監視対象の拡大が行われ、欧州ではEU対内直接投資審査規則の施行により、加盟国間の情報共有と協力が進んでいます。このような対内投資審査の強化は、一部の国々との間で緊張や摩擦を生む可能性があるものの、基本的に、投資審査は特定の国家を標的とする対立的なものではなく、安全保障上のリスク低減を図ることが基本原則です。そして、同盟国や価値観を共有するパートナーとの緊密な協力は、共有技術を保護し、軍事的な相互運用性を維持する点で、投資規制の調整が不可欠という共通認識を生みつつあります。その結果として、国際的な枠組みや対話への積極的な参加は、業界標準を共有し、規制基準を調整し、軍事分野への外国投資に関連するリスクに共同で対処する具体的な方向性が浮き上がりつつあります[6]
 

【出典】UNCTAD投資政策モニターをもとに筆者作成
 
日本の投資審査制度は、安全保障上の観点から他国と同様のアプローチを前提としており、国際的な標準化や協調に関しては、各国が情報共有や成功事例の交換を通じて改善が図られています。今後とも、日本は国際的な調整の会議や対話に積極的に参加して、規制の調整やリスク評価の手法にかかる情報共有を図り、国際的なパートナーシップを醸成しつつ、経済的な成長と国際的な投資環境の適正化を進めることに尽力してゆくでしょう。
 

官民産学の連携
民間セクターは、投資審査プロセスにおいて重要な利害関係者です。特に、過去20年間、政府資金が減少する一方、商業的・社会的ニーズが新たな能力を生み出す原動力となりつつあり、国防や安全保障分野でも、民間分野における研究開発や投資の増大の顕著な伸びが、その能力拡大を支える一助になっていることは注目すべきです
[7]

日本は、安全保障を最優先しながら、経済的な繁栄やイノベーションを阻害しないという観点から、投資審査プロセスの透明性を高め、適正な海外投資家との信頼関係を強化することを進めてきました。それは、規制内容や審査基準を明確にすると共に、現実的で効果的な規制を実現して、企業の予見可能性を高め、ビジネス環境の改善を図ることに結びつくことを意味します。政府は、企業からの意見や実務上の課題を収集し、審査政策の作成に反映すべく、パブリックコメントや業界団体との対話を通じて、企業や外国投資家からの指摘や評価を積極的に取り入れています。このような官民産の枠を超えた協力関係が、投資審査制度の信頼性と実行性を高めてゆくことは間違いありません。

中長期的には、投資審査はより柔軟で先進的なものに進化することが望まれます。特に、技術の指数関数的な進化の中で、そのための規制や審査方法の対応を最善のものに維持してゆくことが求められています。日本は、専門知識の強化や先進技術の活用により、迅速かつ的確なリスク評価を行える体制整備を図り、国際的な協力や情報共有を通じて最新動向を把握し、それに対応し得る官民産学の体制を構築すべきではないでしょうか。
 

結論
今後も、日本は急速な技術進歩や新興脅威に対応するため、投資審査メカニズムの改善とその適応を続けてゆく必要があります。それは、対内投資審査を遵法精神に基づく法的規制の枠組みだけで処理するのではなく、国としての繁栄につながる積極的な行動誘因に導いてゆくことを意味します。そして、継続的な対話や適切なガバナンスに基づく共同研究開発の促進や、税制上の優遇措置などを通じて、軍民双方のイノベーションを促進し総合的な安全保障政策を強化してゆくのです。

 

【出典】筆者作成
 
また、日本の国益確保という戦略的視点から、日本も同盟国や価値観を共有する国々との間で、直接投資審査制度における主導的な役割を図るべきです。それらは、国際的なパートナーシップ、官民産学協力による審査の透明性、説明責任を確保しつつ、EDTsや製造のレジリエンス(強靭化)を高めてゆくことに結びつきます。

最後に、今後とも防衛省・自衛隊は対内投資審査制度に強い関心をもち、その管理に積極的に関与すべきであると考えます。将来的に、サイバー領域、宇宙空間を含む新領域作戦やEDTsを取り入れた統合軍事作戦が重視される流れにおいて、対内投資審査に安全保障上の予見性と持続可能性を確保し、同制度の国際的な健全な発展を約束することは、軍事面でも大きな意味を有することになるからです。

 

【注】
[1] 経済安全保障は「我が国の独立と生存及び繁栄を経済面から確保すること」と定義され、その手段として「戦略的自律性の確保」、すなわち日本の社会経済活動の維持に重要な基盤を強化し、他国に過度に依存しない状態を作ることと、「戦略的不可欠性の維持・強化・獲得」、すなわち日本の存在が国際社会にとって不可欠である分野を拡大していく、という2つの方針が示されている(Strategic Headquarters on the Creation of a New International Order Policy Research Council, Liberal Democratic Party of Japan,” Recommendations Toward Developing Japan’s “Economic Security Strategy,”” December 16, 2020, https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/201021_5.pdf. )。
[2] https://www.celis.institute/events/celis-events/home-celis-2024/.
[3] 国家安全保障戦略においては、戦略的なアプローチの一つとして、経済安全保障政策の促進が盛り込まれ、我が国の自律性の向上、技術等に関する我が国の優位性、不可欠性の確保等に向けた必要な経済施策を講じていくとされている(Cabinet Secretariat, “National Security Strategy of Japan,” December 16, 2022.
[4] 今回改正において、国の安全等を損なうおそれのある投資への適切な対応を行うため、対内直接投資制度における指定業種の上場株式の取得に関する事前届出の閾値が10%から1%に引き下げられることになった。
[5] UNCTAD,” The Evolution of FDI Screening Mechanisms – Key Trends and Features,” Investment Policy Monitor, February 2023, https://unctad.org/system/files/official-document/diaepcbinf2023d2_en.pdf.
[6] Simon Sharghi-Erdmosa,” CFIS 24: Paris Insights – Preserving the Battlefield Gap in the Area of Technology: Between Export Control and Outbound Investment Screening,” CELIS-Blog, October 14,2024, https://www.celis.institute/celis-blog/cfis-24-paris-insights-preserving-the-battlefield-gap-in-the-area-of-technology/.  
[7] Sargent, J. F. “U.S. Research and Development Funding and Performance: Fact Sheet. CRS Report R44307,” Congressional Research Service, Washington, D.C. (2020), https://fas.org/sgp/crs/misc/R44307.pdf.

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn2e4hp9a 2024-11-08T16:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(発表)】フォトニス社イメージ増幅管搭載暗視装置、仏軍が受領 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fntg3zj2n 2024-11-08T15:00:00+09:00
フォトニス社の「PHOTONIS 4Gイメージ増幅管」(画像右下)
【画像出典:フォトニス社提供】


 
フランス陸軍は10月、 フォトニス(PHOTONIS) 社製「PHOTONIS 4Gイメージ増幅管」を搭載した Bi-NYX 暗視ゴーグル 300 個を受領した。同陸軍は夜間戦闘力の強化の一環として、従来型の「O-NYX」暗視ゴーグルをフランス電機大手タレス(THALES)社が開発した「Bi-NYX」に転換中だ。フランス軍事装備総局(DGA) は2023年12月、Bi-NYX 2,000セットをタレス社に一括注文していたが、今回同陸軍が受領した300個はこの第一陣となる。
 
フォトニス社は、「Bi-NYX の最大の特徴は PHOTONIS 4Gの技術が適用されていることだ」と強調する。同技術により、夜間などほとんど光が無い状況においても高解像度の画像によって、優れた視認性が得られる。探知、認識、識別の各能力が大幅に向上し、視野も拡大されるので、兵士は夜間作戦において著しい戦術的優位性を獲得できるという。
 
フォトニス社はプレスリリースで 「NATO(北大西洋条約機構)の信頼できるパートナーとして、フランス陸軍の任務における安全性の向上および効率化に貢献し、現代の防衛用途における重要な役割を果たし続けたい」とコメントしている。



【出典】
https://www.thalesgroup.com/en/worldwide/defence-and-security/press_release/thales-makes-first-shipment-300-night-vision-goggles

https://defence-industry.eu/thales-delivers-first-300-bi-nyx-night-vision-goggles-to-french-army/

https://www.photonisdefense.com/Digital-Vision



【関連記事】
【企業情報(発表)】タレス社、フランス軍向け暗視ゴーグルを出荷

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnhs9m6ub 2024-11-08T10:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】パトリア社、新型の迫撃砲システムを発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn9yhns6y 2024-11-08T10:00:00+09:00
新型の迫撃砲システム「トレモス(TREMOS)」
【画像出典】Patria社:
https://www.patriagroup.com/newsroom/news/2024/patria-unveils-a-new-modular-mortar-system-patria-tremos

 
フィンランドの防衛・航空宇宙関連企業パトリア(Patria)社は10月29日、英国ロンドンで開催された国際会議「次世代迫撃砲システム(FMS:Future Mortar Systems)2024」で、新型の迫撃砲システム「トレモス(TREMOS)」を発表した。
 
パトリア社によると、トレモスは先進的な反動制御技術により従来の迫撃砲を近代化。さまざまな車両への搭載を可能にし、高い機動性、火力、精度で将来の危機管理のニーズに応えるという。既存の砲身と閉鎖機を装備でき、120mm、81mmの滑腔砲弾すべてに対応していて、装薬
[1]、弾道計算表の使用も可能なため、訓練と運用が容易だ。
 
従来の迫撃砲に機動性と最新技術を付加したことで、迅速な展開と正確な初弾命中、素早い撤収を実現する。射撃位置に到着後、60秒以内に射撃を開始でき、最後の射撃後、即時にその場を離れることができる。これにより、部隊の生存性がかつてないレベルにまで向上し、歩兵の火力支援におけるすべての射撃任務に使用可能だ。総じて、費用対効果の高い高火力と重要な射撃即離脱(Shoot-and-scoot)
[2]機能を兼ね備えることになった。
 
また同システムは、接続インターフェイスを備えた統合モジュールにより、システムを迅速かつ容易に統合し、車両間で移動させることもできる。統合モジュールにより、四輪駆動車や六輪駆動車、八輪駆動車、軽装甲車両など、さまざまな車両にシステムを搭載し運用することが可能だ。弾薬庫用のシステムも開発されており、装填や信管の準備を簡単かつ安全に行える。
 
パトリア社の武器システム部門ディレクター、ラウリ・パウニアホ(Lauri Pauniaho)氏は「私たちはフィンランド国防軍と緊密に協力してこの新しい迫撃砲システムを開発した。原案が承認された後、実証実験用の試作品を製造するまでわずか1年だった。最大の目的は、既存の迫撃砲装備の機動性を大幅に向上させることだった。昨今の情勢により、戦場と脅威が多様化する中で、機動性の重要さが浮き彫りになっている」と語った。

 
【注】
[1]装薬:弾丸を発射するために装填する火薬のこと。迫撃砲やりゅう弾砲は、銃弾、戦車砲弾などと異なり、弾頭部分と火薬が分かれており、砲身の角度と火薬量で射撃距離を調整して射撃する。
[2]射撃即離脱(Shoot-and-scoot): 射撃後、迅速に移動することで敵の反撃を回避する戦法。 


【出典】
https://www.patriagroup.com/newsroom/news/2024/patria-unveils-a-new-modular-mortar-system-patria-tremos
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/land/fms-2024-patria-unveils-tremos-mortar-system
 
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn7ywrjfd 2024-11-07T17:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業特集】スペシャルワン株式会社 安全保障ビジネスに参入 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnftufmrt 2024-11-07T14:00:00+09:00 NSBT Japan アナリスト 中條剛
 

スペシャルワン株式会社代表 田村謙征氏
【画像出典】NSBT Japan撮影

 
<概要>
2021年スペシャルワン株式会社は安全保障ビジネスに参入している大手企業からの問い合わせを受け、急遽、陸上自衛隊某駐屯地に出向くことになる。そこには錆付き、傷んでしまった重車両が並び、中には触ると崩れ落ちる部分が発生していたものもあったという。
 
視察に同行してほどなく施工すると、そのあまりの速さに自衛隊も大手企業も驚いたそうで、各駐屯地をまわって次々と施工を完了した。しかし翌2022年、「予算がつかない」との理由で、施工依頼は「ゼロ」になった。この安全保障ビジネスへの参入は、ひと時の夢だったのか。NSBT Japanは重防錆施工に実績を持つ中小企業、スペシャルワン株式会社の取り組みを追った。
 
<大手防衛関連企業からの問い合わせ、現地視察で見たものとは>
2021年4月30日、ゴールデンウィークの只中、横浜市に本社を構える「スペシャルワン株式会社」に一本の電話が掛かってきた。先方は安全保障ビジネスに参入している大手企業で、「御社のホームページを見て連絡した。車両に発生した錆に困っている。一度、詳しい話を聞かせてほしい」とのことだった。
 
ゴールデンウィークも終わりに近づいた5月7日、スペシャルワン株式会社の田村謙征代表は大手企業担当者と初めて対面し、防錆加工のサンプルパネル、各種データ、サンプル材料等を提示して話をした。対象は大手企業が陸上自衛隊に納入している重特殊車両で、聞けばスペシャルワン株式会社の競合他社にも訪問し、面談しているという。担当者は状況が困難であり、「今から話を進めても実際の施工は3年後に開始できるかどうか」と考えていたところ、スペシャルワン株式会社が持つ仙台の支店に興味を持ったようだった。
 
同年10月、大手企業の別の担当者が仙台支店の見学に訪れることになった。営業所はスペシャルワン株式会社の小型・大型車の施工を手がけるテクニカルセンターだ。ほどなく、実際に錆びた車両を確認することになり、大手企業とともに陸上自衛隊某駐屯地の重特殊車両の視察ツアーに同行することになった。
 
田村代表と技術者は現地視察団に加わり、陸上自衛隊の九州にある駐屯地を訪問。2日間にわたって2種類の車両を確認すると、場所によっては指で穴が空くほど脆くなっているところもあった。
 
陸上自衛隊は車両を使用する都度整備する。また、4半期や1年に1回というように段階を設けて定期的に整備しているのだが、どうやらそれでは手に負えない部分もあるらしい。特に九州や南西地域に所在する部隊は潮風が、北海道や東北の部隊にとっては積雪が、錆の発生にとって最高の条件となる。
 
田村代表は、大手企業に提出した「視察報告書」の中で、錆の程度を5段階(1:「錆なし」、5:「強度に著しく影響」)で判定し、総合的には「2段階:錆が発生し腐食が始まっている」としながらも、部分的には「4段階:錆の発生部分がミルフィーユ状になり、触ると崩れ落ちる」と指摘した。
 
さらに困難を極めたのは、車両そのものは一般的なものであるが、防衛装備品特有の特殊なパーツや設備は防錆加工において十分に注意しなければならないことだった。
 
ホースジョイント、ジョイントのゴム、ワイヤーパーツ、ラバーカップ等は全てマスキング、「足踏禁止」となっている個所は当然、施工時に足を架けてはいけない。自衛隊側に予め取り外してもらわなければならない部品もあった。
 
同年11月4日には、大手企業側より見積依頼があり、スケジュールが確定した。錆を落とす「下処理」と施工のために取り外す必要がある「パーツの取り外し」は自衛隊側でやることになった。
 
そして最初の電話から約半年となった11月15日には1回目の重防錆施工を実施。これには「当初、施工開始まで3年はかかる」と予想していた大手企業担当者も、現場の隊員たちも、関係者全員が驚いたという。施工は順調に進み、九州、南西諸島の各駐屯地で次々と防錆加工は実施されていった。
 
<予算ゼロの衝撃>
それまで順調であったにもかかわらず、突如、大手企業担当者から「継続してお願いすることができなくなった」と連絡が入ったという。「自衛隊側に2022年度の予算がつかなかった」というのだ。田村代表は笑顔で当時を振り返っていたが、それまで20両ほどの車両を施工してきたところから一転、「ゼロ」という衝撃はかなりのものだっただろう。何にしても2022年は2021年に決まっていた施工以外はなくなり、安全保障ビジネスに参入できたことは「一夜の夢」のようであったのではないだろうか。
 
施工後1年経ち、経過を確認する視察団に田村代表らは参加したが、各駐屯地の結果が良好だったことが唯一の救いだった。
 
<陸上自衛隊からの依頼>
2023年1月、再び突然田村代表に一本の電話が入る。相手先は陸上自衛隊補給統制本部である。陸上自衛隊に必要なものを企業から購入、倉庫に保管、部隊からの要求に応じて補給、装備の整備を司る機関であり、取扱うものは火器、車両、航空機、弾薬、通信や衛生の器材等様々だ。
 
内容は「『全省庁統一資格』
[1]を取得してくれないか」ということだった。
 
スペシャルワン株式会社はこれまで、大手企業の下請けとして参加していた。逆に言うとそれは「大手企業の納入した車両以外に施工はできない」ということになる。自衛隊側としては重車両以外の車両にも「防錆加工」は必要不可欠なものであり、これを拡充する必要、つまり「ニーズ」があったのだ。
 
陸上自衛隊では、様々な車両が運用されている。装輪、つまりタイヤを履いているだけでも、先の重車両のほかに小型車、中型車、大型車、特大型車、高機動車、装甲車に、砲塔付きのタイヤを履く戦車「高機動戦闘車」まである。さらには、高機動車の荷台部分に特殊な装備を積載している車両もあるのだ。「錆びやすい」地域が限定されていても、その種類、数量ともに膨大であり、錆の問題は重車両で終わりの案件ではなかった。
 
言われるままに資格を取得したスペシャルワン株式会社は、「大手企業抜きで、直接契約する」ことを打診され、検討に入った。そして、2023年8月に見事「重防錆施工」を落札した。今回は大手企業の納品車両ではない「高機動車」が対象だった。
 
<独立して入札することの厳しさ>
これまでは契約に必要な書類等は全て大手企業が準備してくれたため、「下請け」として施工を受けていれば良かったのだが、これからは全て自社で揃えなければならない。ここがまた中小企業にとっては高いハードルなのではないだろうか。
 
「収入の面も変わってくる」と田村代表は語る。「これまでは施工する駐屯地までの経費も大枠で支払って頂いたが、直接契約となると実費分しか頂けない」のだという。手間がかかる割に、報酬は下がってしまう。
 
何より落札して納品した商品については全ての責任を負うこととなる。当然のことなのだが、契約が大きければ大きいほど、不具合があった場合の補償も大きくなり、中小企業では耐えられないことも起こり得る。これまでは大手企業が盾になってくれていただけに、中小企業単独の取引はデメリットも大きい。
 
また、複数年契約であることから施工費用の支払いが年度ごと、全てが終わってからとなったりしていて、当面の費用は全て自社負担した上での施工であり、会社の資金力が無ければ厳しい状況ではないだろうか。事実、「下請け」であった時は大手企業から毎月の入金が見込めた。
 
もちろん、契約の内容による。今回のようなケースは大口であり、年度予算を積み上げた上での契約なので、複数年契約となるが、単発で小口の契約もある。年度末執行等がそれで、筆者が現役のころは教育訓練用の経費が降りてきたときにあれこれ部隊が購入していた。文具、掃除用品、作業用の手袋のような小さなものから射撃用の的まで、ここぞとばかりに買い溜めするのがパターンだったが、当時、画期的だと思ったのはPCのデータ管理に関するセキュリティのオンライン講習だった。
 
自衛隊では部隊の権限である程度の買い物ができるし、融通も利くのだが、如何せん金額は定まっていない。そして単発の契約となるのは、企業側としてもローリスクな分、リターンも少ない。しかし、この様な契約もあることは承知しておいてほしい。そこに我々NSBT Japanがお手伝いさせていただきたい中小の企業様のチャンスは十分にある。
 
話が少しそれてしまったが、その後単独で陸上自衛隊と契約したスペシャルワン株式会社は2023年10月、手始めに「ライセンス講習」を始めた。これは端的に言うとスペシャルワン株式会社の重防錆施工に使用する「ラストムーン®」の品質を維持するためのものである。
 
この件については後ほど詳細を述べることとして、翌11月には入札による「重防錆加工」を実施することになった。また、嬉しいことに今年3月には多くの駐屯地からの発注を受けて「メンテナンスキット」を販売したが、これは10月の「ライセンス講習」の成果と言えるのかもしれない。
 
そして今年8月には2024年〜25年の高機動車~大型車両38台分の「重防錆施工」を単独で落札したほか、大手企業が落札した重装輪23台も下請けとして受注することになった。この61台の契約は11月から施工が開始される。

 


 
スペシャルワン株式会社 オリジナルブランド ラストムーン商標
【画像出典】スペシャルワン株式会社 HP:https://specialoneinc.co.jp/

 
<なぜ、スペシャルワン株式会社は防衛産業に参入し得たのか?>
これまでの話を読まれた読者のみなさんはどんな感想をお持ちだろうか。「たまたま連絡が来た、棚ぼた的な話」と思われた方もいるかもしれない。「大きくない会社でも、独自の技術を持っていれば花開くこともある」と考えられた方もいるだろう。
 
そこで遅ればせながら、スペシャルワン株式会社についてお話ししたい。
 
米タフコートダイノール社の出資で1976年に「タフコートダイノールジャパン」が設立され、日本本部として運営を開始したのがスペシャルワン株式会社の始まりである。1983年に先代の田村幸雄氏が会社を引き継ぎ、「T・K・J Inc(株式会社テイ・ケイ・ジエ)」を設立した。途中、商号の変更などを経て、2008年に株式会社タフコートジャパンを設立し、田村謙征現代表が代表取締役に就任してT・K・J Incよりタフコート部門を引き継いだのもこの時である。
 
2017年にT・K・J Incを吸収合併して「スペシャルワン株式会社」を設立したが、ドイツに拠点を置くDINOL社が関連会社の世界会議を開催した折、これまで取り扱っていた商品「タフコート」の打ち切りを言われたという。そこから自社製品の開発に努め、防錆塗料「ナノポリテクト®」、ポリウレア保護塗料「タフライナー」という自社ブランドを商標登録、販売開始した。
 
今回の一連の陸上自衛隊車両に使用された重防錆ブランド「ラストムーン®」は2021年に商標登録、販売を開始したばかりである。
 
スペシャルワン株式会社は防錆の自社ブランドの開発だけでなく、移動式の大型リフトも取扱っていることにも触れておきたい。田村代表は米留学の経験から、ドイツで2年に1回開催されている車関連のアフターマーケットの展示会「オートメカニカ」に参加している。自身の勉強や業界の動向を探る情報収集のためだという。日本国内の展示会にも足を運んでいるそうだが、残念ながらここ何年も「新しいもの」は出てきていない。そんな中、海外展示場で見つけたオランダのスターティルコニ(Stertil-KONI)社の大型車両用移動式のリフトが、自社の防錆加工において車両の下で作業するのに最適であるとして採用。今では代理店として日本国内での代理店契約を結んでいる。
 
ここで改めて、「なぜスペシャルワン株式会社は防衛産業に参入できたのか」を考えたい。
 
冒頭の大手企業が防錆加工できる企業を探しているときに最も重視したのは「施工」の実績で、それがホームページで確認できたことから声をかけたそうである。そしてその大手企業が採用するに足るだけの品質があると「信頼」をよせたのは間違いない。また、1年後に補給統制本部から入札資格の取得を打診されたことは筆者も初めて聞いた話だが、これは陸上自衛隊の重車両整備を統括する部門が信頼のある製品・施工であると評価したことの証である。何より施工開始まで3年かかると見積もっていたところを、わずか半年で施工したその対応の早さにも評価されるものがあったと思う。
 
ドイツの本社がこれまで取り扱っていた商品「タフコート」の取り扱いをやめると発表した時、他の企業と提携することもあり得たのかもしれない。しかし、これまでのノウハウを結集して「独自ブランド」を立ち上げることにしたのは、決断は容易だったのかもしれないが、実を結ぶまでに大変な苦労があったのではないだろうか。
 
田村代表からはホームページ(HP)の更新についてもお話いただいた。「こまめな更新」は当たり前で、スペシャルワン株式会社のHPの最後の更新が、1年も2年も前のものだとしたら、大手企業の眼にとまることは無かっただろう。
 
独自のノウハウをコツコツと地道に積み上げて、自社ブランドの商品と施工に至るまでの「自己完結」を持つことが今回の防衛産業参入のカギだったのかもしれない。
 
話が少しそれるかもしれないが、もう2つ付け加えておく必要があると思う。まず、大手企業の担当者が非常に熱心に動いてくれたそうだ。「防衛省」と各自衛隊の事業に参入するのは、ハードルが高い。参入するためには「まず、誰に話をしていいのかわからない」という声はNSBT Japanに多く寄せられる話のひとつだ。今回はこの陸上自衛隊とスペシャルワン株式会社の間を取り持って、必要な手続きを大企業側で行い、施工にまで至っただけではなく、スペシャルワン株式会社の単独入札のサポートまでしてくれたとのこと。また、品質を維持するためにライセンス制度を設けることを提案したのも、この大手企業の担当者だという。
 
もう一つ付け加えておきたいのは、官側の担当者の話である。車両の防錆加工について危機感を持ち、大手企業の納入した車両だけでなく、他のメーカー車両の防錆加工も必要だからと考えたからこそ、スペシャルワン株式会社に「全省庁統一資格」取得の話を持ちかけ、中小企業にとっては厳しい「複数年契約」や「単独入札」を制度の範囲の中で可能な限り腐心してくれたそうである。
 
個人の経験で申し訳ないが、自衛隊は中央に近づくほどに忙しい。もう10年ほど前になるが、防衛省や陸幕がある市ヶ谷で勤務しているとき、そこは不夜城だった。担当一人ひとりがとても忙しく、職場に寝泊まりする中で、「新規の案件」を抱えることになったり、担当自ら何か考えを巡らせて、これまでにない「やり方」を実現したりするのはとても骨が折れる。そんな暇がないのだ。それ故、この防錆に関するお話を伺った時、少し誇らしくもあった。残念なのは、自衛隊はその組織の特性上、担当者としては2~3年が一般的だ。稀に7年という方もいたが、外部の、特に企業様と関係を持つ部署はどうしても短くしなければならない。こんな担当者がもっと増えてほしいものだ。
 
<品質管理の難しさとライセンス制度>
筆者自身の反省と今後、部隊が良くなっていってほしい思いからあえて申し上げると、陸上自衛隊において、何かを継続してマニュアルのとおりに使用し続けることは難しい。責任者や担当者が2~3年で交代し、現場の作業員もいつまでも同じ駐屯地、同じ部隊で勤務することはできない。2016年度から陸曹クラスにも全国異動が求められることになった。この制度の是非はここで述べることではないので割愛するが、このことによって何が起きるかと言えば「前任者の頃から使っていたから使う」ということだ。要するに「趣旨」や「目的」、「本当に重要なこと」がだんだんとボヤけていってしまう。
 
例えば、「塗料Aを使って建物を毎年塗り替える」としよう。本当ならこの塗料Aは「50%に薄めなければいけない」、可能な限り「天気の安定している日が3日間続くときに乾燥させなければいけない」、「あらかじめ汚れは十分に落としたうえで塗装する」ということが必要なのだが、担当者が変わり、引き継いだ者が理解不十分なままに「大雑把に薄めて使う」、そのうち他の業務の都合で、「天気が不安定な時期」にやることになり、さらに担当者が交代して、挙句は汚れたまま塗装を...というのは、実は「あるある」なのだ。筆者も何とか「マニュアル作成して共有する」とか、「繰り返しになっても何度も説明する」など、いろいろと手を尽くしてみたが、結局うまくいかなかった。
 
これは前述の大手企業担当者も懸念していたことらしく、ただ商品を納品するだけでは同じことを繰り返してしまい、積み上げてきた品質を保証できない。そこで今回、「ライセンス制度」を陸上自衛隊に導入することにした。これは「ラストムーン®」で重防錆施工を施した車両を、この先各駐屯地で自衛官が適切に保守作業を実施して長く車両を使用できる状態にすることを目的とする。
 
簡単に説明するとスペシャルワン株式会社から直接講習を受けた隊員を「キーマン」とし、このキーマンが部隊の中で教育して他の隊員を「準キーマン」とすることができる。そしてそのどちらかが所属する部隊だけが「ラストムーン®」を用いて重防錆加工を施した車両をメンテナンスするとともに、メンテナンスキットをスペシャルワン株式会社から購入することができる制度だ。
 
2024年10月15日現在で陸上自衛隊に「キーマン」18人、「準キーマン」59人の計77人で、昨年に比べて順調に増えていると伺った。先の隊員の異動の話もあり、同じ部隊での継承も大変なことと思うが、異動先でも「ラストムーン®」が話題となり、更に全国的に広がっていってほしい。まだまだ防錆処理が必要な車両を多くの部隊が使っているのは間違いないのだから。
 
<最後に>
今回はスペシャルワン株式会社という、決して大きくはない企業の防衛産業への参入について、取材をさせていただいた。代表の田村謙征氏は我々の取材を快諾し、事前に「これまでの経緯」を丁寧にまとめ、我々のいろいろな質問にも気軽に応えてくださった。取材時間は2時間を超えた。大手企業からの問い合わせは偶然だったかもしれないが、そのチャンスをものにする技術を地道に培っていたのだと、お話を伺いながらひしひしと感じた。
 
全国には、同じように地道に努力を重ねながら独自の技術を磨いておられる中小企業がたくさんあると思う。そして、「表に出ていない」、表に「出したいのに出せていない」技術が無数にあり、「どこかで役に立つことがあるのではないか」と考えている企業の方々が多いのではないかと日々感じている。
 
自衛隊側も装備だけに限らず、訓練に使用する機材、駐屯地や基地、艦艇などの生活の場で、「こんなものがあるといいのにな」と漠然と考えてはいるものの、そんなものが世に存在するのか知らない。知る機会もない。せいぜい大手メーカーの商品やコマーシャル商品を知っている程度だ。
 
NSBT Japanはそんな中小企業の方々と陸・海・空を含めた自衛隊、さらには警察や消防、海上保安庁のような防衛以外に係わる方々とをネットワークとしてつなぎ、企業様の技術や商品を安全保障にかかわる組織と結び付けるお手伝いをしている。
 
今回の陸上自衛隊とスペシャルワン株式会社との間を取り持った大手企業の代わりに仲立ちすることもできるし、海外の展示会情報を収集して提供することも可能なので、ぜひNSBT Japan を利用していただければと思う。


【注】
[1]全省庁統一資格:各省庁における物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)の入札参加資格。防衛省だけでなく、衆参議院、国立国会図書館、最高裁判所なども含む各省各庁とその外局・付属機関、地方支分部局の入札にも参加できる。
【出典】調達ポータル:https://www.p-portal.go.jp/pps-web-biz/geps-chotatujoho/resources/app/html/shikaku.html
 
 
【参考】
https://specialoneinc.co.jp/
https://specialoneinc.co.jp/news/2022/0930.html

 

中條 剛(ちゅうじょう たけし)

陸上自衛隊出身。普通科連隊などでの部隊勤務を経て、情報科に職種を変換。その後、情報本部統合情報部で情報専門官、情報学校「幹部地誌課程」の教官職などを経て2024年に退官し、現職。

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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(提携)】C2ロボティクス社とタレス・オーストラリア社、LUUVで提携 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnk4nk862 2024-11-07T10:00:00+09:00
大型無人潜水艇「スピアトゥース(Speartooth)」のイメージ
【画像出典】C2 Robotics社:https://c2robotics.com.au/products/speartooth/


 
オーストラリアの無人潜水艇メーカー、C2ロボティクス(C2 Robotics)社と仏防衛・電子機器大手タレス社のオーストラリア部門、タレス・オーストラリア(Thales Australia)社は10月28日、タレス・オーストラリア社独自のセンサー技術をC2ロボティクス社製大型無人潜水艇(LUUV:Large Uncrewed Underwater Vehicle)[1]「スピアトゥース(Speartooth)」に適合するための提携を発表した。
 
タレス・オーストラリア社によると、同社が現地で設計・開発したソナーセンサー
[2]と処理技術は、スピアトゥースの長距離自律航行能力を強化し、より高いレベルの安全性や信頼性、精度の向上を実現する。遂行可能な任務の範囲も拡大することが期待される。
 
また、タレス社の広範な産業拠点と専門的な独自技術により、スピアトゥースに搭載されるソナーセンサーの性能とコストを適切に調整することが可能になる。その結果、C2ロボティクス社はオーストラリア国内で大規模生産可能な、手ごろな価格の長距離無人潜水艇を提供するという目標を達成できる。
 
C2ロボティクス社の最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)、トム・ラヴァード(Tom Loveard)博士は「ソナーと音響装置の分野で世界的に高い評価を得ているタレス社との提携は、豪英米(AUKUS)協定の枠組みの中で、スピアトゥースの能力を高め、同機体の影響力を強める可能性を秘めている。特に重要なのは、この契約においてスピアトゥースに適合されるすべてのセンサーと電子機器は、シドニーのライダルミアにあるタレス社の音響技術開発センター(Acoustics Centre of Excellence)で設計され、現地で生産されるということだ」と強調した。
 
タレス・オーストラリア社の水中システム担当副社長、トロイ・スティーブン(Troy Stephen)氏は「この画期的な提携は、オーストラリアにおける先進的な中小企業の専門知識を活用することで、同国独自の海洋無人機を発展させる絶好の機会だ。C2ロボティクス社は、数年にわたり海軍とスピアトゥースに関する共同研究を行い、同機の成熟度を実証してきた」と語った。


【注】
[1]LUUV(Large Uncrewed Underwater Vehicle):軍用の「無人潜水艇」を「UUV」(Unmanned Underwater Vehicle) もしくは「AUV」(Autonomous Underwater Vehicle) と呼ぶ。ここでは、大型のUUVを特にLUUVとしている。いずれも外見は魚雷型をしていることが多い。
[2]ソナーセンサー: 音波を発することで水中の物体を検出するセンサーのこと。距離測定、3Dマッピング、物体識別、水中環境の監視などの目的で使用される。



【出典】
https://www.thalesgroup.com/en/countries-asia-pacific/australia/news/future-made-australia-c2-robotics-and-thales-australia
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/c4isr/c2-robotics-thales-australia-partner-to-enhance-speartooth-luuv-capabilities

 
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クライシスインテリジェンス管理者
コーンズ テクノロジーとPteroDynamicsで総代理店契約を締結し日本市場に参入 https://nsbt-japan.com/u/cornes/tsi7rcaezks2h9 2024-11-07T09:47:00+09:00

PteroDynamics Transwing®は、固定翼機の速度・航続距離・耐久性とVTOL性能を融合させることにより、他のVTOL設計が持つ限界を克服するように造られた画期的なVTOL航空機システムです。この航空機は翼を折り畳む機能を持ち、垂直飛行と水平飛行をシームレスに移行します。滑走路を必要とせず、同程度の翼幅を持つ他のVTOL航空機に比べ、地上占有面積が3分の1以下です。Transwingのユニークな性能は、防衛および民間のお客様に、ロジスティクスの補用品や滑走路のない遠隔地へのミッションのために、より費用対効果の高い自律的な代替手段を提供します。

▽EIN Presswire記事
 URL

▼PteroDynamicsのコメント

日本は、PteroDynamicsの可変翼技術 (PteroDynamics Transwing®) にとって大きなニーズと成長の可能性を秘めた重要な市場であり、PteroDynamicsは日本の航空・防衛分野で長年の実績を持つ代表的な企業様と協働していく必要があると考えています。Transwingのユニークで革新的な機能を日本市場に提供するために協力できることを嬉しく思います。
 

▼コーンズ テクノロジーのコメント

PteroDynamicsの革新的なTranswing技術は、様々な運用環境において高い性能と汎用性を提供します。日本政府がドローンを防衛および商業用途に導入しているニーズを考慮すると、PteroDynamicsには大きなチャンスがあると考えます。PteroDynamicsの最先端技術は、日本の防衛・商業分野の進化するニーズに適しており、堅牢で将来性のあるソリューションを提供できると確信しています。
 

【PteroDynamics社について】

PteroDynamicsは、自律型垂直離着陸(VTOL)無人航空機システム(UAS)のイノベーションリーダーである。Transwingは、固定翼航空機の速度・航続距離・耐久性と高度なVTOL能力を無人航空機システム(UAS)プラットフォームとして組み合わせ、他のVTOLシステムの速度・距離・ペイロードの制限を克服しています。高度な能力を持つTranswingは、海上物流輸送支援、滑走路のない遠隔地への輸送、偵察・監視などに適しており、滑走路のない厳しい条件下や時間的制約のある輸送の自動化に理想的です。詳細は、www.pterodynamics.com をご覧ください。
 

【コーンズ テクノロジー株式会社について】

コーンズ テクノロジー株式会社は産業、防衛、通信、研究機関などといった様々なお客様向けに、先進的な電子システムおよびデバイスを日本全国のお客様に輸入・販売する専門商社です。コーンズ テクノロジーは、世界各国のサプライヤの販売促進、マーケティング、販売における長年の経験により、日本のお客様が革新的なテクノロジーを導入するサポートをご提供します。詳細は、https://cornestech.co.jp/ をご覧ください。

当プレスリリースに関するお問い合わせ先:コーンズ テクノロジー株式会社 特機部 03-5427-7565 (メールアドレス: ctl-sp-defense@cornes.jp) 

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シリウス200
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngzr4zfm 2024-11-06T17:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(契約)】エンブラエル社、チェコにC-390輸送機納入へ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnayrr7nj 2024-11-06T11:00:00+09:00
多目的軍用輸送機C-390「ミレニアム(Millennium)」
【画像出典】Embraer社:
https://embraer.com/global/en/news?slug=1207471-czech-republic-orders-two-embraer-c-390-millennium-multi-mission-aircraft


ブラジルの航空機大手エンブラエル(Embraer)社は10月25日、チェコ国防省に同社の多目的軍用輸送機C-390「ミレニアム(Millennium)」[1]2機を納入する契約を締結したと発表した。NATO(北大西洋条約機構)加盟国で同機を発注したのはチェコで計5カ国となった。
 
エンブラエル社によると、チェコ国防省は今回発注された2機により空軍の作戦能力の近代化を図るという。C-390は部隊や車両、装備の戦術的輸送や医療避難、消火活動、災害管理、人道支援、空対空給油など、幅広い任務の遂行を可能にする。
 
同社は、同機の納入に加えて、チェコ空軍が機体を部隊に円滑に統合できるよう、包括的な訓練およびサポートサービスも提供する。
 
最先端の技術を備えるC-390は、最大積載量が26トン(26,000kg)、最高巡航速度が470ノット(約870km/h)である。強力なエンジン、後部ランプのある大型貨物室を備えているほか、頑丈な着陸装置により未舗装の滑走路上での離着陸も可能なため、厳しい任務にも対応できる。
 
現在、世界中で就航しているC-390は、15,000時間以上の飛行時間を記録しており、任務遂行率は93%、任務完了率は99%を超え、同機種において卓越した信頼性を実証している。
 
チェコのヤナ・チェルノホヴァ(Jana Černochová)国防大臣は声明で、「歴史が明確に示しているのは、軍隊はより重い物資や、人をこれまで以上に遠くまで輸送する必要があるということだ。アフガニスタンやスーダンからの退避がその明確な証明である。したがって、そのような任務を遂行できる航空機を空軍のために調達できたことを大変嬉しく思う」と語った。
 
エンブラエル社のディフェンス&セキュリティ部門のボスコ・ダ・コスタ・ジュニオール(Bosco Da Costa Junior)CEOは声明で、「今回の受注により、エンブラエルは、数十年にわたりその専門性と品質を高く評価されてきたチェコの航空宇宙産業との連携を強化する」と述べた。


【注】
[1]C-390(Embraer KC-390): ブラジルのエンブラエル社が開発したターボファンエンジン双発中型軍用空中給油/輸送機。空中給油と輸送の両方の機能を備える。愛称はミレニアム(Millennium)。装甲車などを含む23トンの貨物を輸送できる。機体のサイズは21.7トン積載のC-130 ハーキュリーズとほぼ同規模だが、貨物室の容積はやや広い。チェコのほか、オランダ、ハンガリー、ポルトガルといったNATO加盟国、さらにオーストリア、ブラジル、韓国でも採用されている。 


【出典】
https://embraer.com/global/en/news?slug=1207471-czech-republic-orders-two-embraer-c-390-millennium-multi-mission-aircraft
 
https://www.defensenews.com/global/europe/2024/10/28/czech-republic-picks-embraer-c-390-cargo-planes-for-its-air-force/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn4wudpuy 2024-11-05T18:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 DIMEレポート~2024年10月~ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnzi2rb96 2024-11-05T13:00:00+09:00
2024年10月31日
NSBT Japan エグゼクティブ・ストラテジスト
磯部 晃一

【10月の総括
10月のビッグ・ニュースは、なんといってもDIMEを統べる政治(P:Politics)の世界で起きた月末の「総選挙」結果である。自民・公明の与党は公示前の279議席から64減らし215議席にとどまり、定数465の過半数を割り込んだ。15年ぶりの出来事だ。11月上旬には、特別国会が開かれて首班指名が行われるが、いずれの政権になろうともその基盤は脆弱である。中国、ロシア、北朝鮮のDIMEを通じた挑発は継続するであろう。
 
先月9月のDIMEレポートを筆者は次のように締めくくった。「10月に入ると、衆議院解散、総選挙と続くので、日本の政治は選挙にかかりきりになる。その間にASEAN関連首脳会議も開催されるが、総理の出席は期待できないであろう。米大統領選挙も11月に控えている。日米両国の政治のリーダーシップに空白が生じれば、それは中ロなどの勢力の思うつぼである。秋から年初にかけて、中ロなどがとるであろうDIMEの活動に注視しておく必要がある」
 
ASEAN首脳会議への新首相の参加は選挙期間中でもあり難しいと予測した点を除き、10月はおおむね予期のとおりの経過をたどった。31日には、北朝鮮がこれまでにない大陸間弾道弾の発射実験を行って、米大統領選を目前にして日米韓をけん制した。
 

【露朝接近の波及:北朝鮮兵士のロシア派兵の今後】
露朝接近が鮮明になったのは今年6月である。プーチン大統領は24年ぶりに訪朝して、包括的戦略パートナーシップ条約(軍事同盟に匹敵)に署名した。これは有事における双方の軍事介入を規定する軍事同盟である。そういう観点で、露朝両国は名実ともに同盟関係になったと言える。
 
他方、この条文を詳細に読めば、一方が武力侵攻に直面したり、戦争状態に陥ったりした場合には「国連憲章51条とそれぞれの国の法律に従い」支援を提供するとなっていることから、1961年当時のソ朝友好協力相互援助条約のように自動的に参戦する仕組みにはなっていないのも事実である。
 
しかし、10月にかなりのまとまった規模の北朝鮮兵士がロシアに送られたことが明らかとなった。ウクライナの戦場に北朝鮮兵士が現われることが11月にも想定されることから、一気にNATOやEUで緊張が高まり、韓国でも北朝鮮に対する警戒感が以前にも増して高まっている。この北朝鮮兵士のロシア派兵問題は、今後いかなる影響が出てくるのか、考察してみよう。
 
まずは、これまでロシアが一方的にウクライナを軍事侵略しているという、二国間の戦争であった性格が、北朝鮮が参戦することによって、ロシアの同盟国が紛争当事国となる複雑な紛争になることである。ウクライナでの戦場が東アジアにも波及するおそれが出てくる。北朝鮮がロシアに兵士を送り、韓国がウクライナに砲弾や兵器を直接供与するようになれば、南北朝鮮がウクライナの戦場で軍事対立を繰り広げる構図となる。NATOのルッテ事務総長は、北朝鮮兵士のロシア派兵について、10月28日「重大なエスカレーションだ」と述べ、ロシアと北朝鮮を強く非難した。
 
次に、北朝鮮兵士の派兵規模に関して、韓国政府が言うように12,000名程度であるとすれば、ロシアにとって相当規模の援軍となる。部隊の規模で言えば、1個師団あるいは3個旅団相当であり、これら派兵部隊が前線に投入されれば、実戦経験皆無とは言えウクライナにとっては厳しい戦いになるのは必至である。これにより、ウクライナでの戦争が長期化する可能性が高まることになる。
 
特に、北朝鮮の特殊部隊は、多くのロシア兵が犠牲になっている最前線での波状肉弾攻撃に用いられるのではなく、おそらくウクライナ軍の後方地域に潜入して、指揮中枢や兵站施設、重要インフラの破壊などに運用されるのではないかと筆者は考える。ドローンが常態化した現在のウクライナの戦場で、北朝鮮軍が得意とする潜入破壊工作がどこまで通用するか、も注目すべきポイントである。
 
第3に、韓国はじめ東アジア域内国にとって憂慮されるのは、北朝鮮からの兵士の派兵に対して、ロシアがどのような見返りを北朝鮮に提供するかである。ロシアの核兵器弾頭の小型化、弾道ミサイルの精度の向上、原子力推進潜水艦に関する軍事技術などが提供されれば、北朝鮮が東アジア全域に及ぼす脅威は高まるばかりとなる。
 
最後に、北朝鮮兵士の今後である。メディアでは、戦争未体験の北朝鮮兵士はウクライナの戦場では、さしたる実力を発揮しえないだろうという見方が多い。前述したように北朝鮮の特殊部隊はドローンが飛び交う戦場では役に立たないかも知れない。しかし、その点は過早に判断すべきではない。
 
送られた兵士は、韓国侵攻を想定して育成した特殊部隊、第11軍団(暴風軍団)を含む精鋭部隊である。国外逃亡や投降のリスクが低く、思想面で金正恩体制に忠実な兵員が選抜されている模様だ。この派兵部隊が、仮にウクライナの戦場で多くの損亡を出した場合には、北朝鮮の虎の子の特殊部隊が減耗するので、朝鮮半島情勢にとってはプラスに働く。しかし、反対に派遣された多くの兵士が実戦経験を積み、ウクライナの最先端の戦場をかいくぐって帰国した暁には、韓国や日本にとって大きな脅威となることは間違いない。加えて、露朝の急接近を中国がどのように見ているかも注目するところである。
 
今後の北朝鮮兵士のロシア派遣の行く末は、朝鮮半島はじめ東アジアの安全保障にとっても極めて大きなインパクトがあるので、多角的に分析していく必要がありそうだ。


【2024年11月以降の主要予定
11月5日  米大統領選投開票日
初旬以降 特別国会で首班指名選挙
11月13~14日 APEC閣僚会議(ペルー)
11月15~16日 APEC首脳会議(ペルー)
11月18~19日 G20首脳会議(ブラジル)
11月 第2回ウクライナ平和会議?
12月 2024年度補正予算成立?
12月下旬 25年度政府予算案を決定
2025年1月 通常国会召集
2025年夏 東京都議選
2025年夏 参議院選挙


【10月の主要事象】
※冒頭の丸英字は、Ⓓ外交、Ⓘ情報、Ⓜ軍事、Ⓔ経済、Ⓣ技術、Ⓟ政治を意味する。
9月30日 ⒺⓂロシア政府、国防予算案提出。24年比で25%増の13兆5千億ルーブル(25兆8,000億円、為替変動大きく20兆円8,600億円との試算もある)。
1日 石破内閣発足
1日 ⓉⓂ革新的な装備品開発を担う防衛省の「防衛イノベーション科学技術研究所」が発足(恵比寿ガーデンプレイス内)。※1
1日 Ⓟオランダの元首相ルッテ氏、NATO事務総長に就任。
1日 Ⓜ韓国、北朝鮮の核・ミサイル攻撃への対応を担う韓国軍の「戦略司令部」が発足。
1日 イラン、イスラエルに対して弾道ミサイルによる大規模攻撃を実施。
この攻撃に対して米駆逐艦2隻が12発の迎撃ミサイルを発射。
2日 宮崎空港の誘導路で不発弾が爆発。80便以上が欠航。
2日 中国海警局の船舶が北極海の海域に到達。
3日 ⒹⓂレバノンに滞在する日本人の退避に備えて空自輸送機が出発。周辺国のヨルダンとギリシャで待機。 
7日 Ⓜラプランテ米国防次官と石川防衛装備庁長官で第2回日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)を実施(ハワイ)。
9日 Ⓜ自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を設置。※2
10日 Ⓓ石破首相、東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連首脳会議に出席(ビエンチャン)
Ⓓ石破首相、中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領とも会談(ビエンチャン)
11日 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、2024年のノーベル平和賞受賞。
11日 Ⓘ総務省、太平洋島しょ国など13カ国とサイバー防御演習を実施。
13日 Ⓜ日米共同演習「キーン・ソード」の一環で、米海兵隊のKC130輸送機が石垣空港に着陸し、高機動ロケット砲システム「ハイマース」1機を初めて搬入。
14日 Ⓜ中国軍、台湾包囲演習「連合利剣2024B」を実施。
15日 第50回衆院選が公示
15日 Ⓜロシア軍が北朝鮮人による特別部隊「特別ブリヤート大隊」(最大3,000人)を編成しているとの報道。
15~16日 上海協力機構(SCO)首脳会議開催(イスラマバード)。中国、ロシア、インドなどから首相、外相級が出席。
16~19日 ⒾⓂ2024国際航空宇宙展、23カ国などから600を超える企業・団体が参加(東京)。
17日 中谷防衛相、北大西洋条約機構(NATO)国防相会合に初参加。
19日 ⒹⓂG7として初めての国防相会合を開催(ナポリ)。共同宣言※3
19日 Ⓜ日英伊の次期戦闘機開発の合同管理機関「GIGO」のトップに岡真臣元防衛審議官。
20日  Ⓟインドネシア大統領、プラボウォ氏(73)が就任。大統領交代は10年ぶり。
21日 Ⓟベトナム国家主席、ルオン・クオン書記局常務(67)が就任。元軍人が就くのは1992年ぶり。
22~24日 BRICS首脳会議開催(ロシア西部カザン)。イラン、エジプト、UAE、エチオピアが加盟して初の会議。
プーチン・習会談でのプーチン氏発言「この75年間に露中関係は包括的パートナーシップと戦略的協力のレベルに達した。現代世界における国家間関係のあるべき姿のパラダイムになったと自信を持って断言できる」
習主席も「400年前、お茶を運ぶ両国間の道もこのカザンを通っていた。われわれは非同盟、非対立、不干渉という大原則の下、大国関係を構築する正しい道を歩んできた。両国はあらゆる分野における多面的な戦略的交流と実務協力を絶えず強化・拡大する」と応じた。
23~11月1日 Ⓜ日本周辺の海空域や基地などで最大規模の日米共同演習「キーン・ソード」を実施。日米部隊、約45,000人、艦艇約40隻、航空機約370機が参加。民間の空港・港湾も約30か所を活用。
23日 中国の習近平主席とインドのモディ首相が会談(ロシア西部カザン)。両首脳の正式会談は5年ぶり。国境係争地の安定管理について協議を加速することで合意。
23日 英国とドイツ、初の防衛協定を締結。長距離攻撃兵器やドローンを共同開発。ピストリウス独国防相は「米国はインド太平洋に重心を移し欧州への関与を減らすだろう。我々はより多くのことをしなければならない」と強調。
24日 Ⓜロシア下院、北朝鮮との「包括的戦略パートナーシップ条約」批准の前提となる法案を可決。
25日 Ⓜ第1回「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」を開催。
26日 イスラエル軍、イランのミサイル製造施設や機軍事施設に精緻な攻撃を実施
27日 総選挙与党は公示前の279議席から64減らし215議席にとどまり、定数465の過半数を割り込む。各党の獲得議席の内訳は自民191、立民148、日本維新の会38、国民民主党28、公明24、れいわ新選組9、共産党8、参政党3、社民党1、諸派3、無所属は12。
31日 ⓂⓉ北朝鮮、平壌近郊から弾道ミサイルを発射。飛翔時間86分と高度7,000㎞はいずれも過去最長で最高。
 
※1:防衛イノベーション科学技術研究所のホームページは次のとおり。
https://www.mod.go.jp/atla/disti.html#:~:text=%E6%A6%82%E8%A6%81.%20%E9%98%B2%E8%A1%9B%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC
※2:内閣総理大臣決済文書は次のとおり。
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/10/09b_01.pdf
※3:G7防衛共同宣言は次のとおり。
https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2024/1019_g7-j_b.html

9月のDIMEレポート その2はこちら

磯部晃一(いそべ こういち)

現在、戦略家として国内外で活動。川崎重工業㈱戦略コンサルタント、NSBT Japanエグゼクティブ・ストラテジスト、国際安全保障学会理事等に就任。
 

また、防衛省の統合幕僚学校等の招へい講師として統合運用、日米同盟、戦略等に関する講義を担任。ハーバード大学アジアセンター(2017~19年)及びアジアパシフィック・イニシアティブ(2017~21年)の上席研究員を歴任。

 

1980年防衛大学校(国際関係論専攻)卒業と同時に陸上自衛隊に入隊。ヘリコプター・パイロットとして勤務。その後、陸上幕僚監部防衛課長、中央即応集団副司令官、統合幕僚監部防衛計画部長、第7機甲師団長、統合幕僚副長などを歴任、2015年東部方面総監を最後に退官。


米海兵隊大学(1996年)で軍事学修士、米国防大学(2003年)で国家資源戦略修士を取得。著書として『トモダチ作戦の最前線:福島原発事故に見る日米同盟連携の教訓』(2019年、日本防衛学会猪木正道特別賞受賞)、『米国防大学に学ぶ国家安全保障戦略入門』(2023年9月)がある。



 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ディール・ディフェンス社とタイ軍、短距離ミサイル支援契約締結 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn3d7f3h3 2024-11-05T10:00:00+09:00
短距離空対空ミサイル「アイリスティー(IRIS-T)」
【画像出典】Diehl Defence社:https://www.diehl.com/defence/en/products/guided-missiles/


 
タイ空軍は、同空軍の戦闘機に搭載される短距離空対空ミサイル「アイリスティー(IRIS-T)」[1]の運用・利用能力を強化するため、ドイツの防衛関連企業ディール・ディフェンス(Diehl Defence)社と支援契約を締結した。
 
ディール・ディフェンス社が10月16日に発表した声明によると、タイ空軍は現在、グリペン(Gripen)、F-16、F-5
[2]戦闘機を運用しており、いずれも同社のアイリスティーを装備している。10月初めにドイツで署名された今回の契約は、タイ空軍が保有するすべての戦闘機におけるアイリスティーの運用能力向上を目的としており、統合支援、技術的な物流支援、実弾射撃支援が盛り込まれている。
 
同契約締結により、タイ空軍は、F-5 TH機へのアイリスティー統合に成功したことに続き、新たな兵器を既存戦闘機に適合させ、運用可能にすることを実証し、躍進を遂げることになる。一方、ディール・ディフェンス社にとっては、今回の合意はタイ空軍との長期的な協力関係を強化するとともに、アイリスティーを運用する機種のさらなる拡大を目指す重要な節目となる。
 
アイリスティーは第5世代の短距離空対空ミサイルで、ユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon)、グリペン、F-16、EF-18
[3]、F-5、トーネード(Tornado)で運用されている。また現在、韓国航空宇宙産業(KAI:Korea Aerospace Industries)社のKF-21(KF-21 Boramae)[4]戦闘機への適合も進められている。
 
ディール・ディフェンス社は契約の発表にあわせて、背景にKAI社の練習機T-50(T-50 Golden Eagle)を配置したアイリスティーの画像を公開した。タイ空軍は、訓練、捜索救助、護衛、軽攻撃任務のために設計されたT-50Tの改良型であるT-50THを8機運用している。

 
【注】
[1]アイリスティー(IRIS-T:InfraRed Imaging System Tail/Thrust Vector-Controlled):IRIS-Tは、赤外線画像システム・推力偏向制御の略。ドイツのディール・ディフェンス社、スウェーデンのSAAB社、イタリアのアレニア社によって開発された短距離全方位赤外線ホーミングミサイル。第3世代サイドワインダーの後継として開発された。 

[2]F-5:F-5は米ノースロップ社が1950年代に開発した戦闘機。愛称はA/B型がフリーダム・ファイター(Freedom Fighter)、改良型のE/F型はタイガーII(Tiger II)。F-5Tはイスラエルの協力で改修されたタイ空軍の近代化改修型F-5E。戦術データリンクの装備など更なる改修が行われ、F-5TH スーパーティグリス(Super Tigris)と呼ばれる。 

[3]EF-18:米マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した艦上戦闘攻撃機(マルチロール機)「F/A-18」のスペイン空軍機体。 

[4]KF-21(KF-21 Boramae):韓国とインドネシアが開発中の両国空軍向けの第4.5世代ジェット戦闘機。別称は「ポラメ(又はボラメ)」(若鷹の意)。
 
 

【出典】
https://www.diehl.com/defence/en/press-and-media/news/royal-thai-air-force-and-diehl-defence-strengthen-collaboration/
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/air/update-thailand-awards-iris-t-support-contract-to-diehl-defence

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnegkxsw8 2024-11-01T18:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(発表)】タレス社、フランス軍向け暗視ゴーグルを出荷 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnk8tenc3 2024-11-01T15:00:00+09:00
「タレス社の暗視ゴーグル」のイメージ画像
【画像出典】タレス社:
https://www.thalesgroup.com/en/worldwide-defence/land-forces/news/behind-scene-look-development-thaless-soldier-optronics


フランス軍事装備総局(DGA)がフランスの電機大手タレス(Thales)社に発注していたBi-NYX暗視ゴーグル300個を、フランス軍が受領した。2020年に締結された大きな契約の一部として、DGAは2023年12月、Bi-NYX2,000個をタレス社に発注していた。今回の300個はその出荷第一陣であり、残り1,700個は今年末までに発送される予定だ。
 
現在、フランス陸軍では旧式のO-NYX暗視ゴーグル12,960個を使用しており、Bi-NYXを配備することによって、それらを補強する。
 
Bi-NYXは2020年6月に公開された。重量460g未満と軽量で、最新の光学技術と光増幅技術
[1]を組み込み、47°の広視野と高解像度立体視を実現する。
 
2つの接眼レンズと2つの対物レンズを有する双眼式の暗視装置で、特に夜間や複雑な地形での活動に必要な立体視を最前線の部隊や車両運転手に提供可能だ。
 
Bi-NYXは、タレス社がフランス・サン=テアン(Saint-Héand)の拠点で自己資金により実施した開発プロジェクトの成果であり、サン=テアンでは月に250個以上を製造して供給する能力がある。

 
【注】
[1]光増幅技術:暗視装置の基本的な技術で、夜間または光が少ない状況で、わずかな星の光や夜光を増幅して視界を得る技術のこと。 



【出典】
https://www.thalesgroup.com/en/worldwide/defence-and-security/press_release/thales-makes-first-shipment-300-night-vision-goggles
 
https://defence-industry.eu/thales-delivers-first-300-bi-nyx-night-vision-goggles-to-french-army/
 
https://www.asdnews.com/news/defense/2024/10/18/thales-makes-1st-shipment-300-night-vision-goggles-french-army-under-binyx-contract
 
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クライシスインテリジェンス管理者
Monthly Night Vision Report No.13 ~NVGの基礎知識7:カタログ仕様の見方~ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnwtdn2go 2024-11-01T10:00:00+09:00 NSBT Japan アナリスト 難波 久男
 
1.NVGのカタログ仕様の見方
図1と図2は単眼のNVGにおけるカタログ中の仕様欄の例です。記載内容が各社で様々であり、今回は提示した例の各項目をたどりながら説明します。

 

図1 単眼NVGのカタログ仕様例 [1]  
 
図1は、単眼のNVGの仕様です。このNVGは、望遠レンズとなるADAPTERレンズを対物レンズに装着できる機能があります。
 
・Zoom(拡大倍率):望遠レンズを装着することで見える物体の大きさが変化します。1xは標準、3xは拡大倍率3倍、5xは拡大倍率5倍です。
・Field of Vision(視野角):一般にはField of Viewの表記です。40度は、標準的なNVGであるPVS-14と同じで、人間の肉眼での倍率に一致する視野角になります。11.5度は、拡大倍率3倍アダプターを装着した場合の視野角で、6.5度は5倍アダプターを装着した場合の視野角です。
・Focusing range of the lens(合焦点距離):焦点が合わせられる距離です。from 0.25m to ∞は、近くは0.25mから無限大まで焦点が合わせられることを示しています。
・Image intensifier type:イメージインテンシファイアの型です。XR5や4G INTENS16mmは、使用している特定メーカーの商品名でイメージインテンシファイアを指定しています。
・Diopter movement(視度調整範囲):各人の視力の違いを補正する機能で、近視の場合はマイナス方向に、遠視の場合はプラス方向に合わせます。
・Power:電源です。電池の場合が多く、AAは単三電池であり、CR123はカメラ等に使用する小型電池のことです。
・Operation Time(動作時間):この例では、リチウム単三電池で常温では40時間動作することを示しています。一般的には、20時間以上となっています。
・Operational temperature range(動作温度範囲):-35℃~+50℃
・Weight of the monocular(重量):NVGの重量です。ただし、NVG自体が小型軽量であるため、電池や取付金具の重量を含むかは、確認が必要です。

 

図2 単眼NVGのカタログ仕様例 [2]  
 
図2も同じく単眼のNVGです。このように機種やメーカー毎に表記項目及び表現が様々となっています。
 
・Weight(重量):NVGの重量です。
・Dimensions(寸法):NVGの外形寸法です。
・Field of View(視野角):NVGの視野角です。ここでは、40度の視野角を持つことを示しています。
・Battery(電池):使用電池の型式です。ここでは単三電池1本を使用します。
・Battery Life(電池寿命):一般には、連続使用による電池寿命を示します。
・Gain(ゲイン):明るさを調整するための「ゲイン」の調整方法です。Auto か Manualを選べます。
・Diopter Adjustment(視度調整):視度調整範囲のことです。
・Focus Range(合焦点距離):25cm以下~無限大まで焦点が合うことを示しています。
・Intensifier Tube(イメージ増強管):ここでは、イメージインテンシファイアチューブの世代のことです。一般には、世代でチューブ性能が決まるわけではないので、チューブ製品名やチューブ性能を示すFOM(Figure of Merit)値を指定する場合があります。
・Operational Temperature Range(動作温度範囲):動作温度範囲のことです。
・Magnification(拡大率):視野角40度の場合は、1倍となります。
 
2.注目すべき仕様項目
注目すべき仕様項目としては、重量寸法、視野角、使用電池、耐環境性、動作温度範囲、チューブ性能等があります。
 
重量寸法に関しては、小型軽量がのぞましいのですが、耐環境性と動作温度範囲が関わる項目でもあるので総合的な判断が必要です。
 
視野角に関しては、標準となるPVS-14が肉眼での見え方の一致を重視したことと、開口径18mmのイメージインテンシファイアチューブがほぼデファクトスタンダードなチューブ径であることから視野角40度がほぼ標準となっています。
 
この中で特に重要になるのがNVGの探知性能を決めるチューブ性能です。
 
チューブ性能を示す表現は様々で、チューブのS/N性能と分解能で規定されるFOMで示すか、特性のチューブのメーカー型式で示すことが多いです。ただし、メーカー型式で指定している場合でも、搭載するチューブのグレードによりFOM値が異なります。購入に際しては、メーカー型式とFOM値の両方の指定が必要です。
 
ここでチューブ性能に関して注意が必要な事項をいくつか挙げます。まず、チューブ性能がNVG性能と完全に一致しないということです。NVGは、対物レンズを経由してチューブに入射する光がチューブにより増幅され、接眼レンズを通して肉眼で入射させます。そのため、対物レンズと接眼レンズの性能でNVG性能が左右されることがあります。ただし、視野角40度のNVGについては、対物レンズや接眼レンズともにほぼ単レンズで構成されており、レンズ性能を規定する分解能と透過率が製品毎に大きく左右されないと考えられます。なお、ライフルサイト用の高倍率レンズを使用する場合には、考慮が必要です。
 
そのほか、入射光量に対する射出光量の倍率であるチューブゲインについては、大きな数字をメリットとするメーカーがありますが、大きければ良いわけではありません。これには2つの理由があります。ひとつは、ゲインとS/Nは無関係であり探知性能に影響しないためです。もうひとつは、ゲインが大きく明るい映像を出力するチューブは、実運用に際して問題が発生すると考えられるためです。暗闇の中、高いゲインでNVGを使用した場合、NVGを外して肉眼で周囲を観測すると明順応した肉眼が暗順応するまでに時間を要し、一時的に視力を失うことがあるのです。

 
【出典】
[1]”PCO product portfolio 2020”, PCO社資料
[2]”NiCAM14 Brochure English”,Thermoteknix社資料

 
Monthly Night Vision Report No.12はこちら
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】トルコSTM社、自社初のAUV発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnsy6jy3y 2024-10-31T17:00:00+09:00
STM社が開発するSTM NETA 300
【画像出典】STM:
https://www.stm.com.tr/en/media/news/autonomous-underwater-vehicle-depths-blue-homeland-stm-neta


 
トルコの防衛技術メーカー大手STM(Savunma Teknolojileri Mühendislik ve Ticaret A.Ş.)社は10月22日、自社開発の新型AUV (Autonomous Underwater Vehicle) [1]となる「STM NETA 300」を発表した。
 
STM NETA 300はSTM社初の独自開発となるAUVである。最大深度は300mで最大速度は5ノット(9.26㎞/h)、1回の充電で最大24時間動作可能だ。また合成開口ソナー
[2]を備え、広い探知範囲と高い解像度を有する。
 
さらにSTM NETA 300は、そのモジュール構造と高い自律性により、主用途である機雷の探知・破壊のほかに、監視・偵察任務やパイプライン等の調査任務など、軍民問わず幅広い任務への活用が可能である。
 
今後STM社はSTM NETA 300を皮切りに、トルコ軍及び友好国・同盟国向けのAUVとしてSTM NETAシリーズを拡充させる予定だ。STM NETA 300は浅瀬での航行が主となるが、STM社はさらなる深海での航行も可能な中・大型のAUVの開発に意欲を見せている。

 
【注】
[1]AUV(Autonomous Underwater Vehicle):自律型無人潜水機とも呼ばれる。無人で海底付近まで潜航し、調査を実施するロボットのこと。
[2]合成開口ソナー: 移動しながら発した音の跳ね返りを、コンピューターで合成処理するソナー。海底や物体の形や種類・状態を通常のソナーよりも詳細に把握できる。はね返ってきた音を受け取る部分(開口)をコンピューターで合体(合成)させ、大きなソナーをコンピューターの中に作成できることから、こう名付けられた。
 

【出典】
https://www.stm.com.tr/en/media/news/autonomous-underwater-vehicle-depths-blue-homeland-stm-neta
 
https://breakingdefense.com/2024/10/turkish-firm-stm-unveils-indigenous-unmanned-autonomous-underwater-vehicle/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ライドス社、ネットワーク近代化で米陸軍と契約 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnup8fam6 2024-10-31T10:00:00+09:00
米陸軍のネットワークの一端を担う衛星通信機器の性能試験の様子
【画像出典】米陸軍:
https://www.army.mil/article/245690/multi_orbit_satellite_comms_to_enhance_network_resiliency


 
米国のライドス(Leidos)社は10月21日、米陸軍とネットワーク機能の近代化に関する3億3,100万ドル(約496億5,000万円)の契約を締結したと発表した。従来、部門によって多数の異なるネットワークが用いられてきたが、それを単一のネットワークに置き換えることが目的だ。
 
今回の契約に基づき、ライドス社は「グローバル統合ネットワーク(Global Unified Network)」を米陸軍に導入。これは従来米陸軍で用いられてきたネットワークに代わるもので、アプリケーションやデータ、各種サービスの標準化や管理の自動化、相互運用性の向上を目指す。同ネットワークにはゼロトラストアーキテクチャ
[1]を採用する。
 
今回実施するネットワークの近代化は米陸軍が2021年に発表した「統合ネットワーク計画(Unified Network Plan)」に基づくものだ。本計画によれば、米陸軍は各部門で個別に構築されてきたネットワークを2027年までに単一のネットワークに統合する予定となっている。
 
※1ドル=150円で計算

 
【注】
[1]ゼロトラストアーキテクチャ(zero trust architecture):堅牢な防護を特徴とするネットワーク構造。クラウドサービス等に格納されるデータに遠隔地や組織外の端末からアクセスする場面が増加したことを踏まえ、「あらゆるデータや通信を信頼しない」という発想に立って、セキュリティ対策を構築するもの。
 

【出典】
https://www.leidos.com/insights/leidos-awarded-331-million-contract-modernize-armys-global-unified-network
 
https://breakingdefense.com/2024/10/army-awards-leidos-331-million-to-deploy-unified-network-capabilities-to-different-sites/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
SynQor 防衛用艦艇・航空機向け『三相→単相 電力変換装置』 https://nsbt-japan.com/u/kkdna236xi/a3gmmz1mbdp5r4 2024-10-31T10:00:00+09:00

防衛(軍事)用途向けで小型・軽量・高性能。三相交流負荷の不平衡問題を解決。戦艦、巡視船、空母などでの実績あり
三相交流負荷の不平衡問題を解決するSynQor社製『三相→単相 電力変換装置』のご紹介です。

この『三相→単相 電力変換装置』における概念的なアプローチは、入力の三相電源を直流の中間バスを介して出力の単相負荷から絶縁することです。
●先ず、AC-DCコンバータが三相交流電力を直流に変換して中間バスに電力を供給します。
●次に、インバータがその中間バスの直流を単相交流電力に変換します。

このアプローチにより、不平衡の原因となり、ノイズの多い単相負荷を、ノイズが少なく、波形の整った、高力率で平衡なMIL-STD-1399-300Bに準拠の仮想三相負荷として、入力の三相電源に接続することができます。

基本情報
【三相AC440V用「MAC-4000」】
■耐環境性・耐衝撃性に優れた密閉構造
■2ステージ・中間バス絶縁・トポロジ-
■入力電圧及び周波数: 三相AC400-480V (L-L)、47-65Hz
■使用温度(フル出力): -40 °C to +55 °C
■準拠規格
・MIL-STD-1399-300B(船舶用電源)
・MIL-STD-810G(耐環境性能)
・MIL-STD-461F(EMI)

【三相AC115又は230V用「MPS-4000」及び「MINV-4000」の組合せ】
■耐環境性・耐衝撃性に優れた密閉構造
■2ステージ・中間バス絶縁・トポロジ-
■入力電圧及び周波数: 三相AC80-265V (L-L)、47-800Hz
■入力電流不平衡率:<±3%
■使用温度(フル出力): -40 °C to +55 °C
■準拠規格
・MIL-STD-1399-300B(船舶用電源)
・MIL-STD-810G(耐環境性能)
・MIL-STD-461F(EMI)
・MIL-STD-704F(航空機用電源)
・MIL-STD-1275D(車両用電源)

用途/実績例 
防衛(軍事)用途向けの艦艇・航空機搭載電源装置

お問い合わせ先
株式会社アルテックス
https://www.altexcorp.co.jp/ja/product-info/synqor 
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田坂優羽
ロシアが宇宙空間に核兵器を配備か: 相次ぐ米高官の発言とその真意とは https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn7bxa3cb 2024-10-30T14:00:00+09:00
米国のマロリー・スチュワート国務次官補
【画像出典】米宇宙コマンド:https://www.spacecom.mil/MEDIA/IMAGERY/igphoto/2002993955/


 
ロシアが宇宙に核兵器を配備している可能性が指摘されており、特に今年に入ってからは、米国の政府、軍関係者から関連する発言が相次いでいる。宇宙における核兵器の使用は破壊的な結果をもたらす恐れがあり、配備の疑惑に対する懸念も強まりつつある。
 
ロシアが宇宙核兵器の開発、配備を進めていることは、これまで米国当局者を中心に何度も取り上げられてきた。今年2月には、米国のジョン・カービー(John Kirby)国家安全保障会議戦略広報調整官が、ロシアは「新たな能力」の開発を行っていると指摘した。ただしその際、同氏は、「核の配備はされておらず、差し迫った脅威ではない」と発言している
[1]。しかし4月にはマロリー・スチュワート(Mallory Stewart)国務次官補が、「ロシアが宇宙核兵器配備に向けて具体的に動いている」と発言し、警戒度が高いことを示唆した[2]。いずれの発言も、国家機密であるために詳細は明かされていない。
 
仮に宇宙空間で核兵器が使用された場合には、短期的、長期的に様々な形で軌道上を飛行する衛星に影響が及ぶ。短期的な影響としては、爆発の衝撃に加え電磁パルス(EMP: ElectroMagnetic Pulse)効果によって軌道上の衛星が使用不能になる
[3]。電子機器を破壊する電磁パルス効果は、核兵器の爆発やその衝撃波よりも広範囲に波及し、相当数の衛星に被害が及ぶとみられている。放射線対策が施された宇宙用部品であっても、宇宙空間の放射線量を大きく上回る核爆発による被曝は避けられない。また長期的にも、放射線帯や宇宙ゴミが滞留することで、付近を通過する衛星に損傷を引き起こす。特に宇宙ゴミは、大規模な爆発の場合には低軌道全体に破片が拡散し、より広範囲かつ長期間にわたり影響が続く可能性がある。
 
宇宙空間と核兵器をめぐる対立は、米ソ冷戦時代から続いている。当初は両国ともに宇宙での核実験を行っていたが、1963年の部分的核実験禁止条約、1967年の宇宙条約(OST: Outer Space Treaty)によって軌道上の核実験、核兵器の配備は禁止されている。宇宙空間での核配備を禁じた宇宙条約はロシアも批准しており、仮に核兵器が配備されているとすれば、同条約違反ということになる。
 
直近では、今年4月に日米主導で宇宙条約の内容を再確認する安保理決議案が提出されたが、ロシアが拒否権を行使し廃案とした。米国は「ルールに従っているのなら、再確認する決議案になぜ賛成しないのか」と批判。他方ロシアは「法的義務を順守している」として、安保理決議案には「隠された動機」があると主張した
[4]
 
衛星通信は軍事的なインテリジェンスに加え、産業や日常生活に必要なデータの取得、通信を担っており、安全保障上非常に重要な位置づけとなっている。しかしその安定性は脆く、核兵器はその機能を一度に破壊することが可能である。さらに米航空宇宙局(NASA)によると、2024年5月の時点で太陽活動が11年周期のうちで「極大期」に入ったとされる状況において、大規模な太陽フレアの発生とそれに伴う電磁障害も懸念されている。宇宙核兵器による意図的なEMP攻撃の他にも、太陽フレアによる不可避的な脅威が考えられる中、世界各国はそのリスクを認識し、レジリエンスの強化、通信網の分散といった対策を進め続けているが、効果的な手は打てていない。
 
冒頭述べた米高官による宇宙核兵器の配備に関する発言や上述の安保理決議は、宇宙条約の締結から60年経過した現在、宇宙の核を巡る米露の対立が再び高まっていることを反映している。そしてそれだけでなく電磁波障害という「見えない脅威」に対し、国家として総力を挙げ、速やかに取り組まなければならないという産業界へのSOSが送られているのかもしれない。

 
 
【注】
[1]https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2024/02/15/press-briefing-by-press-secretary-karine-jean-pierre-and-white-house-national-security-communications-advisor-john-kirby-3/

[2]https://www.csis.org/events/nuclear-option-deciphering-russias-new-space-threat

[3]電磁パルス(ElectroMagnetic Pulse)とは、核爆発によって生じたγ線が大気中の分子に衝突し、そのエネルギーによって電磁パルスという電磁波が生じる現象を指す。瞬間的な高電流、高電圧により、周囲にある電子機器に障害をもたらす。実証実験の事例は非常に少なく、実際に使用された場合の被害の程度は予測不能だが、相当な脅威となると考えられている。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/101901396/
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/092500129/092600001/

[4]https://www.bbc.com/japanese/articles/cmm3ve5qyvpo 

 
 
【参考】
https://www.twz.com/space/russias-anti-satellite-nuke-could-leave-lower-orbit-unusable-test-vehicle-may-already-be-deployed
 
https://nationalinterest.org/blog/buzz/russia-serious-threat-space-there%E2%80%99s-no-need-panic-209720
 
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79719
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】米宇宙軍、ミレニアム社にミサイル追跡・監視衛星の追加を発注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn9dektmc 2024-10-30T12:00:00+09:00
 ミレニアム社の衛星のイメージ図 
【画像出典】Millennium Space Systems:
https://www.millennium-space.com/media/millennium-space-systems-awarded-additional-missile-track-custody-plane

 
米宇宙軍は10月23日、中軌道(MEO)上でのミサイルの追跡・監視を行う衛星群を開発する取り組みにおいて、6機の衛星を追加開発する契約をミレニアム・スペース・システムズ(Millennium Space Systems)社と締結したと発表した。契約価格は3億8,600万ドル(約587億円)だという。
 
ボーイング社の子会社である同社は、米宇宙軍が推進するミサイル追跡管理(MTC)プログラム向けにすでに6機の衛星を納入する契約を結んでいる。今回の新規受注により、合計12機を納入することとなる。
 
米宇宙軍のMTCプログラムでは、中軌道(約2,000~36,000km)上にボーイング社の製造した電気光学/赤外線(EO/IR)センサーを搭載した衛星群を配備し、段階的に衛星を構築することになっている。衛星群各機の高解像度探知・追跡センサーと高度な情報処理能力を用いることで、リアルタイムでのデータ分析を行い脅威の探知から対処までの時間を短縮できる。今回新規発注される6機の衛星群は「エポック1(Epoch 1)」と呼ばれる12機で構成される衛星群の一部である。
 
エポック1のうち6機の配備は2026会計年度末(FY26)に予定されており、残りの6機は2028会計年度(FY28)初頭になる見込みだ。
 
これらの衛星は、ICBMミサイルから極超音速ミサイルまで、さまざまなミサイル脅威を探知・追跡し、ミサイル防衛システムとシームレスに統合するように設計されている。
 
現在、米国が保有するミサイルの追跡・監視を担う衛星は、静止軌道 (地上から約3万6,000km上空) または静止軌道を超える軌道上にある。また、米宇宙開発局(SDA)は赤道上空 1,200 マイル(約2,000km)未満の低軌道(LEO)に 100 基を超える衛星群を打ち上げている。
 
MTC プログラムでは衛星を地球上空 の1,200 マイル~2,200 マイル(約2,000km~3,500km)にある中軌道に打ち上げるため、センサーがより広範囲を捉えることができる。また米宇宙軍は衛星の技術をアップグレードし、追加の衛星として「エポック2(Epoch 2)」と呼ばれる衛星群を打ち上げる予定だ。
 
エポック2はエポック 1 の能力を基に構築され、今後数年以内に打ち上げられる見込みである。米宇宙軍は2029会計年度(FY29)前半に エポック2 の配備によって初期作戦能力を獲得できるとしている。
 
※1ドル=約152円で換算



【出典】
https://www.ssc.spaceforce.mil/Portals/3/SSC%20Press%20Release-SSC%20acquires%20second%20plane%20of%20Epoch%201%20satellites_Final%20v_3.pdf
 
https://www.defensenews.com/space/2024/10/23/space-force-orders-more-missile-tracking-satellites-from-millennium/
 
https://www.millennium-space.com/media/millennium-space-systems-awarded-additional-missile-track-custody-plane

 
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クライシスインテリジェンス管理者
SynQor 防衛(軍事)用途向け超軽量UPS(無停電電源装置) https://nsbt-japan.com/u/kkdna236xi/a3gmmz16e97m3y 2024-10-30T10:00:00+09:00

超軽量!ミリタリーグレードUPS(無停電電源装置)の同出力製品の中でも、最小・最軽量クラス!戦艦、巡視船、空母などでの実績あり
SynQor(シンコア)社のミリタリーグレードUPSは、防衛(軍事)用途で要求される過酷な環境条件や電気的条件に適合するよう設計されたUPSです。
フィールドで実証された自社の高効率で信頼性の高いコンバータ技術や堅牢なパッケ―ジング技術を採用しています。
幅広い入力電圧及び周波数を受け入れて、停電時も切れ目なく良好なコンディションの電力を供給します。

【製品特長】
■耐環境性・耐衝撃性に優れた防塵・防水構造
■常時インバータ・ダブルコンバージョン方式
■AC入力電圧範囲:AC80~265V、47~65Hz又は47~800Hz
■ワイドレンジAC入力周波数:47Hz~800Hz
■3相交流入力 85~140Vrmsl-N(147~242Vrmsl-L)
■出力電圧:正弦波、AC115/230V、50/60/400Hz
以下「※」はオプションです。

基本情報
■防衛(軍事)用途に適した堅牢なアルミダイキャストフレーム
■2種類の出力容量:1250W-1500VA、2500W-3000VA
■バッテリバックアップ時間:10分/最大負荷 (拡張バッテリで最大45分)
- UPS-1250/1500-H-1U >13.5分
- UPS-1250/1500-M-1U >16分、-40℃動作可能
■使用温度:-20℃~55℃ (浅型は上限50℃)
■保管温度:-20℃~65℃
■ホットスワップ可能なバッテリパック
■入力電源無しでのコールドスタート
■AC入力にPFC(力率改善)モジュール内蔵
※DC28V入力
※DC入力、DC出力、DC出力専用機種
※小型航空機やヘリコプタ、船舶への搭載性を向上した奥行346mmの浅型タイプ
※大容量や三相出力対応に最大3台までの連結運転
※DC12/15/24/28/40/50V出力
※船舶向け中性極フローティング
※フォールトトレラント性のN+1又はN+M冗長運転

同シリーズ電源装置には、本UPSの他、パワーコンディショナ、DC-ACインバータ、三相入力AC-DCコンバータもございます。

用途/実績例    【用途】
        ■防衛(軍事)向け航空機・船舶・車両搭載電源

       【実績例】
        ■航空機搭載テレメータ用電源(国内)
        ■航空機搭載試験装置用電源(国内)
        ■車両搭載サーバ用電源(国内)
        ■戦艦搭載レーダ用電源(海外)
        ■軍用トレーラ搭載通信機用電源(海外)

お問い合わせ先
株式会社アルテックス
https://www.altexcorp.co.jp/ja/product-info/synqor ]]>
田坂優羽
【企業情報(開発)】サロニック社、ハイブリッド艦隊向け自律型水上艦艇を発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnrbrmup6 2024-10-29T10:00:00+09:00
自律型水上艦艇「コルセア(Corsair)」
【画像出典】Saronic:https://www.saronic.com/newsroom


 
防衛技術の新興企業サロニック(Saronic)社は10月23日、同社の自律型水上艦艇(ASV:Autonomous Surface Vehicles)[1]シリーズの第3モデルとなる「コルセア(Corsair)」を正式に発表した。
 
サロニック社によると、全長24フィート(約7.3m)のコルセアは、同社の自律型水上艦艇シリーズの中で最大の艦艇だ。コルセアは、米海軍とその同盟国の緊急作戦要件に応え、敵を抑止し、戦力を増幅するよう設計されている。航続距離は1,000海里(1,852km)、搭載能力は1,000ポンド(約454kg)、最高速度は35ノット(時速65km)以上で、海域の状況認識、ミサイル・魚雷等の使用から電子戦に至るまで 、幅広く戦略的な洋上作戦を支援し、海軍の戦力を拡張しつつ、水兵を危険から守る。
 
国際情勢が悪化する中、他国からの攻撃を抑止するためには、従来の有人艦船を増強または置き換えることができる大量の安価な自律型攻撃能力を展開することが、米国にとって一層重要となっている。コルセアは搭載能力が大きく、多様な用途や任務に対応可能で、他の自律型水上艦艇よりも海上での優位性を維持するのに適している。ハードウェア、ソフトウェア、人工知能(AI)を垂直統合することで、サロニック社はコルセアを大規模に生産・製造できるよう設計し、コストを低減するとともに、艦船建造の遅延を解消することを目指している。
 
サロニック社のディノ・マブロカス(Dino Mavrookas)CEOは声明で、「コルセアは、信頼性や性能、能力において高い水準を維持しながら、数百から数千隻を戦闘に投入できる使い捨て可能な自律型システムを求める海軍の要望に応えるものだ」と強調し、「私たちはコルセアの供給を通じて、海軍が有人と無人システムのハイブリッド艦隊構想を実現するための支援ができる」と付け加えた。

 
【注】
[1]ASV(Autonomous Surface Vehicles):無人水上艦艇(USV:Unmanned Surface Vehicle)の中で、AIなどを用いた自律型無人水上艦艇を特にASVと呼ぶ。 



【出典】
https://medium.com/saronic-technologies/saronic-unveils-corsair-an-autonomous-surface-vessel-for-a-future-hybrid-fleet-93106b864e83
 
https://breakingdefense.com/2024/10/saronic-unveils-latest-largest-unmanned-vessel-with-eye-on-mass-production/
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn2ooxwoc 2024-10-29T10:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(開発)】ステディコプター社、新型の重攻撃型無人機を発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnubng4a2 2024-10-28T10:00:00+09:00
重攻撃型無人機「ゴールデン・イーグル HS」
【画像出典】Steadicopter:
https://steadicopter.com/ausa-2024-steadicopter-to-unveil-its-golden-eagle-heavy-strike-hs-rotary-unmanned-aerial-system-carrying-rafaels-renowned-spike-sr-and-lr2-missiles-2/


イスラエルに拠点を置くステディコプター(Steadicopter)社は10月14日、自社の回転翼無人航空機(UAV)「ゴールデン・イーグル(Golden Eagle)」[1]のミサイル搭載型を米首都ワシントンDCで開催された「米陸軍協会年次総会・展示会(AUSA Annual Meeting and Exposition)2024」で発表した。
 
ステディコプター社によると、回転翼無人航空機システム(RUAS:Rotary-wing Unmanned Aerial Systems)業界をリードする同社は、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ(Rafael Advanced Defense Systems)社と協力して、重攻撃能力を持つ回転翼無人航空システム「ゴールデン・イーグル ヘビー・ストライク(HS:Heavy Strike)」を開発した。これにより、ゴールデン・イーグルシリーズの能力が拡張し、新たな攻撃機能が追加され、システム運用の幅が広がる。
 
ゴールデン・イーグルHSは、ラファエル社が開発した高度な誘導精度と発射後誘導能力を備えた対戦車ミサイル「スパイク(SPIKE)」を搭載。国境警備や基地警備、市街戦、野戦での戦術作戦や近接航空支援
[2]任務における精密な重攻撃任務を実現し、戦場の優位性を確保するとともに、高い抑止力を維持する。
 
また、刻一刻と変化する複雑な戦闘環境下でも進化する高リスクの脅威に対して、脅威圏外(スタンド・オフ・レンジ)から迅速かつ精密な攻撃能力を提供する。機動性と任務効率を高めることで、地上部隊は昼夜を問わず安全な脅威圏外から静止目標および移動目標に対して作戦を行うことができる。同機に搭載された強力なスパイクミサイルは広範囲かつ長距離の対地攻撃を可能にし、火力を最大化するとともに、歩兵や海兵隊、特殊部隊、その他の戦術的地上部隊へのリスクを低減する。
 
さらに、ゴールデン・イーグルHSは小型かつ低シグネチャのシステムでありながら、広範な作戦地域を網羅し、突撃部隊の戦力、柔軟性、戦略的運用を拡大する。同システムは編隊飛行が可能で、各無人機がそれぞれのミサイルを搭載しているため、一部の部隊が危険にさらされても任務の継続性が確保される。このアプローチにより、目標を分散し、複数の目標に対する攻撃能力を維持することで、運用効率を高める。
 
最大離陸重量は50kgで、ラファエル社のスパイクSRミサイル(射程2.5km)およびLR2ミサイル(射程5.5km)を搭載でき、実戦任務における柔軟性とセンサー・トゥ・シューター(Sensor-to-Shooter)
[3]の能力を大幅に拡大する。
 
ステディコプター社のイタイ・トーレン(Itai Toren)CEOは声明で、「ミサイル技術で世界をリードするラファエル社との共同開発によるゴールデン・イーグルHSの導入は、兵員を危険から守り、巻き添え被害を引き起こすことなく、比類のない精度とスタンド・オフ攻撃能力で現代の厳しい作戦要求に応える最新の戦術的手段となるだろう」と述べた。


【注】
[1]ゴールデン・イーグル(Golden Eagle):ステディコプター社が開発した精密攻撃能力を備えた無人ヘリコプター。迅速な状況認識と複数目標の自律的な分類、追跡を実現するAIを実装。胴体下部にアサルトライフル、スナイパーライフルなどの武装を搭載し攻撃する能力がある。 

[2]近接航空支援(CAS:Close Air Support):味方地上部隊への火力支援目的に行われる航空作戦のことで、「地上部隊にごく近接した、航空攻撃による直接支援」の意味。

[3]センサー・トゥ・シューター(Sensor-to-Shooter):システムが目標を感知した際、即座に攻撃部隊に伝え、迅速に攻撃を行うプロセスを指す。 


【出典】
https://steadicopter.com/ausa-2024-steadicopter-to-unveil-its-golden-eagle-heavy-strike-hs-rotary-unmanned-aerial-system-carrying-rafaels-renowned-spike-sr-and-lr2-missiles-2/
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/defence/steadicopter-unveils-golden-eagle-heavy-strike-uav
 


 
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クライシスインテリジェンス管理者