NSBT Japan https://nsbt-japan.com/ 安全保障ビジネスの情報サイト。国内外の厳選した安全保障に関するニュースや、映像コンテンツ、ビジネスマッチングの機会を提供します。 ja https://nsbt-japan.com/images/logo.gif NSBT Japan https://nsbt-japan.com/ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnxhubrzs 2025-01-17T18:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 SynQor 三相1500W PFC(力率改善)モジュール https://nsbt-japan.com/u/kkdna236xi/a3gmmz1eyi3ez3 2025-01-17T15:00:00+09:00


SynQorのMPFC-115-3PH-270-FPは、三相入力でAC-DC変換機能を持つ、フルブリック・サイズのPFC(力率改善)モジュールで、SynQorの1/2ブリック・サイズのACラインフィルタ(MACF 115 3PH UNV HT)および出力保持用コンデンサ、SynQorの高効率Mil COTS DC-DCコンバータと一緒に使用することにより、三相AC電源からほぼ完全で平衡な正弦波電流(力率>0.99)を入力することが可能です。
完全なケース入りで耐久性のあるパッケージングを持ち、使用温度範囲が広く、防衛や航空機産業でみられる過酷な環境下での使用に適しています。

【準拠規格】
■MIL-STD-704 (A-F) (進み力率) (SynQor製三相MACFフィルタ使用時)
■MIL-STD-461 (C,D,E,F) (SynQor製三相MACFフィルタ使用時)
■MIL-STD-1399 (200Vrms L-L時) ) (SynQor製三相MACFフィルタ使用時)
■MIL-STD-810G

基本情報SynQor 三相1500W PFC(力率改善)モジュール
■入力条件:三相、AC85~140V L-N (AC147~242V L-L)、45~65Hz/360~800Hz
■出力容量:1500W(連続)および2000W(ピーク)
■出力電圧(主出力/+VOUTピン):DC270V (セミ・レギュレーテッド)、効率:94%
■出力電圧(中間バス出力/+MIDBUSピン):DC205V (ルースリー・レギュレーテッド)、効率:95%

このモジュールは、単相のPFC(力率改善)モジュールを3つ連動させるものではなく、真の三相PFC(力率改善)モジュールです。 
ベースプレート温度が-55 °C ~ +100 °C間でフル出力可能で、多くの防衛や航空機産業アプリケーションでみられる過酷な環境下での使用に完全に適合しており、特にSWaP-C2要求を満たすのに有効です。 
特筆すべき特徴の一つは、重要用途(mission critical applications)において、特定の保護機能を無効にし、出力を優先する緊急モード(Battle Short provision)を備えていることです。

用途/実績例  軍事・防衛向け航空機・船舶搭載電源

お問い合わせ先
株式会社アルテックス
https://www.altexcorp.co.jp/ja/product-info/synqor 

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田坂優羽
Monthly Night Vision Report No.15 ~赤外線イメージングの基礎知識6~ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn8o2wrg7 2025-01-17T14:00:00+09:00 NSBT Japan アナリスト 難波 久男
 
今回は、赤外線イメージングの軍用用途について説明します。
 
1.アプリケーション
赤外線イメージングの主な軍用用途には、警戒監視、ミサイルシーカー、ミサイル警戒装置の3つがあります。


1)警戒監視(射撃照準を含む)
警戒監視用の赤外線イメージングは、船舶、航空機、車両、兵士など幅広いプラットフォームで使用されています。赤外線イメージングの利点は、以下の4点が挙げられます: 

a) 軍用目標は、船舶、車両、航空機など強力な熱源を持ったものが多く、可視カメラと比較して圧倒的な視認性能を持っている。
b) 可視カメラが昼間や照明下で機能を発揮するのに対して、赤外線イメージング装置は昼夜ともに機能する。
c) 可視カメラと比較して、霧や煙幕に対する透過性が高い。
d) アクティブセンサーであるレーダーに対して、赤外線イメージングはパッシブセンサーであるため秘匿性が高い。 

これらの特徴から警戒監視の領域において有効なイメージング装置として使用されてきました。
 
以下に主な利用例を示します。
 

・長距離監視:軍用車両や航空機、艦船に搭載され、可視光照明を必要とせずに長距離での監視を行います。これにより、敵の動きや潜在的な脅威を早期に発見することが可能です。
・ターゲティング:対戦車ミサイル等の精密誘導兵器の構成要素として目標を探知、認識、識別するために使用されます。また、艦艇や戦車、ヘリコプターの砲と連接して目標への射撃照準に使用されます。
・捜索救助活動:特に夜間や視界が悪い状況での捜索救助活動において、人間や物体の熱信号を検出するために非常に有用です。これにより、行方不明者の発見や救助が迅速に行えます。
・パイロットの視覚強化:ヘリコプターや固定翼航空機に搭載され、夜間や悪天候時のパイロットの視覚を強化します。これにより、安全な飛行が可能となります。
・戦場認識の向上:視界の悪い環境での部隊の移動や作戦の遂行を支援し、周辺状況認識を強化します。 
 

2)ミサイルシーカー
ミサイルシーカーとは、ミサイルに搭載し目標を探知追跡するセンサーのことです。赤外線シーカーでは、軍用目標のエンジン等の高温部から放射される赤外線を探知追尾するセンサーとして赤外線イメージング装置が使用されています。FIM-92スティンガーの携帯型対空ミサイルやAIM-9サイドワインダーの初期型は、単素子の赤外線センサーを使用していましたが、近年のミサイルには目標識別性能の向上を狙って多素子のイメージングセンサーが使用される例が増えています。また、レーダーを利用したシーカーと比較して、敵に対して発見されにくく、秘匿性が高いという利点があります。さらに、目標を画像としてとらえるため、短距離および中距離のミサイルにおいて高い精度を発揮します。 

3)ミサイル警戒装置
赤外線センサーを使用したミサイル警戒システムは、主にミサイルの発射を早期に探知し、警告を発するための技術です。これらのシステムは、航空機や地上車両に搭載され、接近するミサイルの熱を感知することで、迅速な対応を可能にします。また、衛星に赤外線センサーを搭載し、弾道ミサイルの発射を探知するシステムも開発・運用されています。
 

2. 警戒監視の例
1) MTS-A
MTS-Aは、米国レイセオン社が開発したFLIR(Forward Looking Infrared)で、マルチスペクトルターゲティングシステム(MTS)シリーズの一つです。主にUAVやヘリコプター等の航空機に搭載される高性能なセンサーシステムです。このシステムは、長距離監視、目標捕捉、追尾、レーザー指示・照準などの機能を統合しており、軍事および民間のミッションにおいて重要な役割を果たしています。
 

2) TADS/PNVS
TADS/PNVS(Targeting Acquisition Designation Sight/Pilot Night Vision Sensor)は、米国ロッキードマーティン社が開発した米陸軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターに搭載される高度なセンサーシステムです。このシステムは、目標捕捉、追尾、照準を行います。
 
TADSは、赤外線センサーとレーザー目標指示器を統合しており、敵の目標を高精度で捕捉し、攻撃を指示することができます。これにより、攻撃ヘリコプターは敵の位置を正確に把握し、効果的な攻撃を行うことが可能です。

PNVSは、パイロットが夜間や視界不良の条件下でも安全に飛行できるようにするための赤外線イメージング装置です。陸上背景での運用が前提のため、感度波長帯は8-12μ帯です。これにより、パイロットは周囲の状況を把握しやすくなります。

 

3. ミサイルシーカーの例
1) AIM-9X
AIM-9Xは、米国レイセオン社で開発された短距離空対空ミサイルです。このミサイルは、AIM-9サイドワインダーシリーズの最新バージョンであり、主に米国空軍および海軍の戦闘機に搭載されています。AIM-9Xは、InSb(インジウム・アンチモン)を利用した128×128画素の赤外線センサーを使用しており、敵機の熱を探知することで目標を捕捉します。AIM-9Xでは、スターリング機関を用いた小型の循環冷却器が搭載されており、これによりセンサーを極低温に冷却することが可能です。この方式は、電力供給のみで冷却を行うため、運用時に冷却時間の制約を受けることがありません。

 

2) AAM-5
AAM-5(04式空対空誘導弾)は、日本の航空自衛隊向けに三菱重工業が開発した短距離空対空ミサイルです。AAM-5の赤外線センサーは、フォーカル・プレーン・アレイ(FPA)方式の多素子シーカーを使用しており、これにより目標の形状を識別する能力が向上しています。AAM-5B型では、スターリング機関を用いた小型の循環冷却器が搭載されており、これによりセンサーの冷却時間が延長されています。
 

3) SM-3
SM-3ブロックIIAは、米国と日本が共同開発した弾道ミサイル防衛用の迎撃ミサイルで、主に中距離および弾道ミサイルを迎撃するために設計されています。SM-3ブロックIIAは、2波長赤外線シーカーを搭載しており、これにより目標の識別能力が向上しています。このシーカーは、背景の熱信号を識別し、目標を正確に追尾することが可能です。

 
 
4. ミサイル/航空機探知の例 
1) IRST(PIRATE)
PIRATE(Passive InfraRed Airborne Track Equipment)は、ユーロファイター・タイフーン戦闘機に搭載される赤外線捜索追尾システム(IRST)です。PIRATEは、赤外線を利用して周囲の航空機やその他の熱源を探知し、追尾する能力を持っています。特にステルス機に対する探知能力が向上します。

 

2) 弾道ミサイル警戒
SBIRS(Space-Based Infrared System)は、米国の弾道ミサイル早期警戒衛星システムであり、主に敵国の弾道ミサイル発射を早期に探知するために設計されています。このシステムは、静止軌道(GEO)および長楕円軌道(HEO)に配置された衛星と、低軌道(LEO)に配置された衛星から構成されており、ミサイル防衛計画の一環として、戦略的および戦術的なミサイル警戒能力を提供します。
 
SBIRSは、赤外線センサーを使用してミサイルの発射時に発生する熱を検知します。これにより、ミサイルの発射を迅速に察知し、追尾することが可能です。また、従来のDSP(Defense Support Program)衛星よりも高度な赤外線技術を使用しており、より高い感度と柔軟性を提供します。
 
SBIRSとDSP衛星は、短波および中波赤外線センサーを搭載しています。これにより、ミサイルの発射時に発生する熱を高感度で検知することが可能です。SBIRSは、DSP衛星の機能を引き継ぎつつ、より先進的な技術を用いています。現在、米空軍はSBIRSを主力のミサイル警戒システムとして運用しており、DSP衛星は段階的に退役していますが、依然として一部のミッションにおいては運用されています。

 

【出典】
[1] https://www.rtx.com/raytheon/what-we-do/air/mts
[2] https://www.armedconflicts.com/AN-DAS-1-MTS-B-Multi-Spectral-Targeting-System-t147035#valka_group
[3] https://www.lockheedmartin.com/en-us/products/gen3dsa.html
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/McDonnell_Douglas_F/A-18_Hornet
[5] https://en.defenceua.com/industries/raytheon_awarded_contract_for_aim_9x_missiles_including_foreign_sales-6920.html
[6] https://weaponsystems.net/system/217-Mitsubishi+AAM-5
[7] https://thaimilitaryandasianregion.wordpress.com/2015/12/22/2-35b-to-raytheon-for-sm-3s/
[8] https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10151400892392823&id=74281347822&set=a.249644752822&locale=ca_ES
[9] https://electronics.leonardo.com/documents/16277707/18299402/Pirate+IRST+%28mm07797%29_HQ.pdf?t=1674469620931
[10] https://electronics.leonardo.com/en/products/pirate_irst
[11] https://ja.wikipedia.org/wiki/SBIRS
[12] https://ja.wikipedia.org/wiki/DSP%E8%A1%9B%E6%98%9F

 
Monthly Night Vision Report No.14はこちら
 

難波久男(なんば ひさお)

暗視装置(Night Vision Goggle、赤外線暗視装置等)に関連した技術全般の専門家として、同分野の分析・評価等を担当している。大手防衛電機メーカーにおいて赤外線映像装置及び赤外線デバイスの研究開発に従事し、主に防衛省に暗視装置及び赤外線デバイスを納入した。

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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ラインメタル社、M107榴弾を数万発受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnjoan2cf 2025-01-17T10:00:00+09:00
M107榴弾のイメージ
【出典】Rheinmetall社:
https://www.rheinmetall.com/en/media/news-watch/news/2025/01/2025-01-13-artillery-ammunition-for-international-customers

ドイツの防衛関連大手ラインメタル(Rheinmetall)社は1月13日、2,100万ユーロ(約34億円)でM107榴弾[1]数万発を受注したと発表した。購入国名、明確な受注弾数は非公表で、納入は2025年前半に開始されるという。
 
弾薬は、スペインに拠点を置く同社の完全子会社ラインメタル・エクスパル・ミュニションズ(Rheinmetall Expal Munitions)社が製造する。M107は数十年にわたりNATO諸国で使用されており、現在でも世界で最も広く使用されている砲弾のひとつだ。さまざまな155mm兵器システムで運用可能な点も、その汎用性の高さを示している。
 
ラインメタルは、世界有数の大口径弾薬メーカーである。同社グループは、ウクライナへの直接供給に加え、同国に砲弾、ロケット弾、迫撃砲を供給した国々の備蓄を補充するといった需要の増大に対応するため、近年、生産能力を大幅に増強してきた。同社は2027年までに、年間最大110万発の155mm砲弾を生産する目標を掲げている。
 
同社の武器および弾薬システムの幅広い製品ラインナップは、歩兵戦闘車両や対空砲用の中口径弾薬から、戦車や大砲用の弾薬、航空機の武装、高エネルギーレーザーシステムに至るまで多岐にわたる。
 
※1ユーロ=161円で換算

 
【注】
[1]M107榴弾:米国で開発された155mm口径の榴弾。着弾すると広範囲に弾殻の破片を飛散させるとともに衝撃波などを発生させ、人員や非装甲車両に対してダメージを与えるように設計されている。
 

【出典】
https://www.rheinmetall.com/en/media/news-watch/news/2025/01/2025-01-13-artillery-ammunition-for-international-customers
 
https://www.shephardmedia.com/news/landwarfareintl/rheinmetall-awarded-m107-ammunition-contract/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
ウクライナ軍、米国V-BATドローンを戦場でテスト中か https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnuzsac2d 2025-01-16T16:00:00+09:00
 V-BATドローン
ウクライナの戦場に投入され、電子戦影響下においてロシア軍のミサイル貯蔵庫を発見したという
 【出典】X:https://x.com/WarNewsPL1/status/1853049183881580678/photo/1

 
米国に拠点を置くシールドAI(Shield AI)社の共同設立者、ブランドン・ツェン(Brandon Tseng)氏によると、同社が開発した「V-BATドローン」がウクライナの戦場に送られ、ロシアの電子戦(EW)システムの影響下で運用評価試験が行われているという。
 
同社は、V-BATドローン(以下、V-BAT)の最初のバッチが2024年6月にウクライナに到着し、あわせて実戦テストのため米国の開発者が同行したことを明らかにした。このドローンは垂直離着陸が可能で、狭いエリアでも運用できるため、さまざまな地形に適応可能だ。
 
ウクライナの軍事研究所の報告書には、同国でテストされているV-BATの映像が確認できるが、詳細は公開されていない。しかし「電子戦攻撃に対する耐性が高く、強い電子妨害がある空域でも運用できる」と報告されている。
 
ツェン氏が紹介したエピソードによると、V-BATはウクライナ特殊部隊が先導する形で、ロシア支配下のヘルソンにおいて、前線から100km以上後方にあるロシアのミサイル貯蔵庫を発見した。この情報をもとにHIMARSのロケット攻撃を行い、貯蔵庫は壊滅したという。

 
米陸軍の偵察用無人機「RQ-7 シャドウ」(写真)の後継選定には4機種がエントリーしている。実戦での能力が証明されたV-BATは最有力候補と言われている。
【出典】米陸軍:
  https://www.army.mil/article/137609/rq_7b_shadow_tactical_unmanned_aircraft_system_tuas

 
・飛行時間:10時間
・最大離陸重量:56.5kg
・最大積載量:11kg
・主な機能:中赤外線(MWIR)センサーと高精細カメラを併用
・搭載AIによって標的の発見・識別
・4×4mのプラットフォームに垂直着陸可能

V-BATは偵察任務に特化したドローンとみられている。

ツェン氏は、ウクライナの戦闘環境で行われたV-BATの能力試験について、NATOや米国の当局者が懐疑的だったことを明らかにした。「彼らは、どのドローンも戦場での実証試験はクリアできないだろうと考えており、V-BATも例外ではないと決めつけていたようだ」と語った。
 
現在、V-BAT は、米国防総省が進める「将来戦術無人航空機システム (FTUAS) 」計画の候補の一つに挙げられている。この計画は、現行の無人偵察機「RQ-7 シャドウ」の後継機の選定を目的としており、V-BAT はテキストロンシステムズ(Textron Systems)社、L3ハリス・テクノロジーズ(L3Harris Technologies)社、エアロバイロンメント(AeroVironment)社が提案する機体と競っている。

ウクライナでは現在、ドローンだけではなく西側のいくつかの装備もテストされているという。仮にV-BATの性能が戦場で証明されれば、米軍の次期装備の選定において大きなアドバンテージとなるのは間違いない。
 
今回ウクライナで行われたV-BATの実証試験の評価、「ロシアの電子戦状況下における運用」は、2025年に予定されている最終決定において、米国防総省が最も重要視する判断材料となる可能性が高い。


【参考】
https://united24media.com/latest-news/us-experimental-v-bat-drones-undergoing-secret-testing-with-ukrainian-armed-forces-3464

https://en.defence-ua.com/weapon_and_tech/ukraine_forces_secretly_use_v_bat_experimental_drones_testing_them_for_usa-12387.html


 
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クライシスインテリジェンス管理者
SynQor 防衛・航空機向け絶縁型PFC(力率改善)モジュール https://nsbt-japan.com/u/kkdna236xi/a3gmmz1emuyjv4 2025-01-16T15:00:00+09:00

SynQor社のMPFCQorシリーズはPFC(力率改善)機能を持つAC-DCコンバータで、絶縁された電圧を出力できるMIL規格準拠のPFC(力率改善)モジュールです。
絶縁型MPFCQorは、SynQorのACラインフィルタおよび高効率DC-DCコンバータ、出力保持用コンデンサと一緒に使用することにより、AC電源からほぼ完全な正弦波電流(力率>0.99)を入力することが可能です。
絶縁型MPFCQorは、完全なケース入りで耐久性のあるパッケージングを持ち、使用温度範囲が広く、小型化や広い使用温度範囲が要求される防衛や航空機産業アプリケーションでみられる過酷な環境下での使用に適しています。

【準拠規格】
■MIL-STD-461(A-F) (SynQor製MACFフィルタ使用時)
■MIL-STD-1399 (SynQor製MACFフィルタ使用時)
■MIL-STD-704-2、 -704-4、 -704-6 (SynQor製MACFフィルタ使用時)

基本情報
■基本性能
・正弦波電流入力 (力率>0.99)
・突入電流制限
・補助回路用10V電源
・並列運転 (ドループ制御)
・入出力とベースプレート間絶縁
・入出力間強化絶縁

■保護機能
・入力電流制限及び短絡保護 (自動復帰)
・低入力電圧・過入力電圧保護 (自動復帰)
・出力過電圧保護 (自動復帰)
・過熱保護 (自動復帰)

■制御機能
・PFCイネーブル
・AC入力正常信号
・DC出力正常信号

用途/実績例 軍事・防衛向け航空機・船舶搭載電源


お問い合わせ先
株式会社アルテックス
https://www.altexcorp.co.jp/ja/product-info/synqor 

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田坂優羽
【企業情報(契約)】米海軍、F-15E/EXへのLRASM搭載に向けロッキードと契約交渉 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngr3x7wr 2025-01-16T14:00:00+09:00
AGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)
【出典】Lockheed Martin社:
https://www.lockheedmartin.com/en-us/products/long-range-anti-ship-missile.html

 
米海軍の海軍航空システム司令部(NAVAIR)は1月9日、AGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)をF-15E[1]と派生型のEXに統合するため、開発を担うロッキード・マーティン(Lockheed Martin)社と、調達契約を交渉する意向を発表した。
 
LRASMは空中発射型の対艦巡航ミサイルである。AGM-158B 統合空対地スタンドオフミサイル (JASSM) から派生した LRASM はステルス機能を有し、目標への誘導にはジャミング耐性を持つGPS 、慣性誘導
[2]、AIに支援された自律的なルートプランニング機能を用いる。
 
また、戦術データリンク
[3]により飛行中でも目標に関する情報の更新が可能となるほか、他のLRASMと協力して協調的な攻撃も行える。
 
AGM-158C-1は現在、主に生産されているLRASMミサイルである。射程を延ばしたバージョンのAGM-158C-3も開発中であり、C-1と比較して約2倍の距離を飛行可能(C-1が300~480kmに対しC-3は約960km)だ。
 
現在、LRASM の発射プラットフォームとして利用されているのが米海軍の F/A-18E/F スーパーホーネットと米空軍の B-1 爆撃機である。また、米海軍の P-8 ポセイドン対潜哨戒機と、ステルス性の高いF-35統合打撃戦闘機のいくつかのバージョンに統合する作業もすでに進行中である。
 
これまでストライクイーグルやF-15派生型は、ステルス性がなく射程距離が短いハープーン対艦ミサイル(100~200km程度)を使用していた。
 
一方で近年、米空軍のストライクイーグルは、LRASMのプロトタイプであるAGM-158 統合空対地スタンドオフミサイル (JASSM) を搭載するためのプラットフォームとして選ばれた。また、EXも同様にJASSMを搭載する能力を実証している。
 
ストライクイーグルとEXの全体的なペイロードは大きいため、一度に相当数のAGM-158Cを搭載可能だ。実際に米空軍は過去に、LRASMの元となった5つのJASSMを1機のF-15Eに試験的に搭載した。これにより1機のF-15EまたはEXで、複数の海上目標に一斉射撃を行える。
 
ただ、AGM-158C-1をF-15EおよびEXに搭載する時期の正確な見通しは不明であり、ロッキード・マーティン社との契約がいつ締結されるかによっても左右されることとなる。

 
【注】
[1]F-15E: マクドネル・ダグラス社がF-111の後継機として開発した、F-15制空戦闘機の改良・派生型。機体構造、内部装置含め大幅な改善が施されている。
 
[2]戦術データリンク: 敵味方の位置確認・識別や、交戦状況・敵目標物の状態・装備などの情報交換を行うデータ通信システムのこと
 
[3]慣性誘導: ジャイロと加速度計によって慣性の加速度を測定して、速度、飛行距離を算出し、弾道の誤差を自動的に修正するもの。
 

【出典】
https://www.twz.com/air/f-15exs-and-f-15es-set-to-get-stealthy-agm-158c-long-range-anti-ship-missiles
 
https://www.navalnews.com/naval-news/2025/01/usaf-plans-lrasm-anti-ship-missile-integration-on-f-15e-f-15ex/
 
https://sam.gov/opp/a0a51242c0b44b4c86329e813976bcfb/view

 
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クライシスインテリジェンス管理者
安全保障分野における宇宙教育の必要性 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fno475rmc 2025-01-15T17:00:00+09:00 NSBT Japan アナリスト 小泉 吉功


【出典】Chat GPT作成
 
皆さんは、「宇宙教育」の重要性をどう考えているだろうか。学際的な意味合いで言及しているのではない。宇宙探査の分野では宇宙教育が必須であるのは当然のこととしてお分かりいただけると思う。しかし、安全保障分野においては、それがどこまで必要なのかと疑問を抱く人(もしそのような人々が多いとすれば)は今一度よく考えて欲しいのである。
 
国家安全保障宇宙とは、宇宙を装備化するというような単純な問題ではないのである。宇宙の利用は近年大変進展してきており、身近な存在になっているが、こと宇宙に関しては、まだまだ未知のことが多い。即ち、宇宙は未だに探査の分野であるとも言えるのである。もしも、この探査の分野が戦場になったらどうするのであろうか。安全保障分野に関わる多くの人達にとって、ここは未知の分野である。それゆえに、野心を抱く競合国家が、この探査の分野において、軍事的、科学的、且つ経済的に覇権を握ろうと注力する行為は決して不自然な流れではないのである。もちろん、膨大な知力に加えて資金力が要求されることは間違いない。ゆえに、某国などは、国家が大学や民間投資会社を使って、宇宙企業に技術や資金を与え能力の向上に取り組んでいるのである
[1]
 
地上と宇宙では多くのことが異なり、「宇宙」を知ることが、先ず、第一の優先事項になる。米国の航空宇宙局(NASA)は、当然、宇宙の専門家を擁している。米国防総省の陸・海・空・宇宙軍もそれぞれ宇宙飛行士を輩出しているのである。さらには、ご存知無い方も多いかもしれないが、米沿岸警備隊(USCG)も宇宙飛行士を輩出[2]している。直接に宇宙を体験することは、国家安全保障上も大きな意義を有するのである。
 
米沿岸警備隊出身の宇宙飛行士であるアンドレ・ダグラス中佐(中央)
【出典】米沿岸警備隊:
https://www.mycg.uscg.mil/News/Article/3727555/meet-the-newest-coast-guard-astronaut/
 
現在は、大半の宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)が中心となる活動の場であり、中国も独自の宇宙ステーションを活動の場としている。これが、シスルナ宇宙空間(地球-月の間の宇宙空間)や月面、火星へと拡大して行く方向にあり、体験・経験の積み重ねが重要な国家の力となっていくが、その基礎となるのは宇宙教育である。そして、安全保障まで踏まえた宇宙の教育というのは、中途半端なレベルでは済まないのである。例えば、国防総省の場合、宇宙作戦・運用の職位に就くには、宇宙教育を受けた特別な資格を必要としている。
 
これは、大変に大きく且つ深刻なテーマであり、宇宙専門家は、軍事・シビル・商業分野に係わらず不足しているのが実態である。宇宙関係の大学を出ても、能力を有する人材は宇宙を職業に選択するとは限らないのが実情であり、且つ、その宇宙分野においても、軍事・シビル・商業分野で取り合いになっている。国家は、宇宙人材の確保を必要としているのである。しかし、そのためには、宇宙人材を育成する教育が必須なのである。
 
ここに、興味深い数字がある。米宇宙財団の報告書
[3]によれば、世界の宇宙労働力は2022年から2023年にかけて大幅に増え、欧州では5,000人以上増加している。過去5年間で、フランスの宇宙労働力は28%、英国は56%、ドイツは30%増加したという。米国の宇宙労働力は2022年から2023年にかけて21,000人以上増加したが、米国の増加の大部分は、陸軍の宇宙労働力に関する最新情報によるものだそうだ。ちなみに、宇宙軍は、2024会計年度に716名のガーディアン(宇宙軍兵士)を入隊させ、659名の新兵募集という目標を上回ったのである。
 
2013年から2023年にかけての10年間では、欧州の宇宙労働力は66%増加、米国は18%増加とある。日本は「僅かに増加」と書かれているが、これが我が国の実状である。このように宇宙の人材は増加傾向にあるが、政府の宇宙人材確保は、逆に難しくなっているのである。
 
『エアロスペース・アメリカ』誌の2023年10月の記事は、NASAの人員不足の解決に向けた忠告として、人員確保の懸念を報道している。これによると、NASAの科学・工学部門の労働者の約40%が55歳以上であるが、自然退職による減少に加えて、熟練した若い労働者は、より高い給与、より良いキャリアの機会、より早い昇進、より柔軟な労働時間と方針を求めて仕事を辞めていると報告されているという
[4]。結果として、宇宙労働力は減少して行く傾向にある。
 
手元に比較の資料が無いが、NASAの給与は、科学技術分野の範疇であり、他の一般的な政府職員よりも高いと言われている。即ち、宇宙軍よりも高い処遇でありながら、人材確保に苦労しているのだ。余談になるが、NASAの存在は、国家安全保障の観点からも大変に重要なのである。2012年12月31日発行の『ザ・スペースレビュー』誌は次のように論説している:
 
「米国にとって、宇宙で指導的役割を維持することは国家安全保障の重要な要素であり、国家安全保障宇宙戦略の言葉を借りれば、米国とその同盟国に『国家の意思決定、軍事作戦、国土安全保障において前例のない優位性』をもたらす。この意味での国家安全保障には、国防に加えて、米国の外交関係と広範な国益の保護が含まれる。NASAは、新しい宇宙能力と技術の開発における役割だけでなく、1958年の国家航空宇宙法によって軍事活動から明示的に除外されているため、国家安全保障に不可欠な存在なのだ。簡単に言えば、NASAは、軍隊ではできない方法で宇宙の平和利用に関する国際協力を促進する独自の立場にある
[5]」(引用終了)。
 
そして、冒頭で記載したように、宇宙探査の分野ではNASAは世界最先端の技術と経験を有しているのである。
 
さて、本題の宇宙教育に入りたい。
 
米『USニュース』は、宇宙科学課程を有する大学のその分野でのランキングを公表している
[6]。その上位校を採り上げると次の通りとなる〔次点以下のランキングは省略〕:
 
①カリフォルニア工科大学〔世界大学ランク23位〕
②ハーバード大学〔同1位〕
③カリフォルニア大学バークレー校〔同5位〕
④プリンストン大学〔同18位〕
⑤マサチューセッツ工科大学(MIT)〔同2位〕
⑧アリゾナ大学〔同115位〕
⑪シカゴ大学〔同25位〕
⑬カリフォルニア大学サンタクルーズ〔同129位〕
⑮ミシガン大学〔同19位〕
⑯スタンフォード大学〔同3位〕
⑰ジョンズ・ホプキンス大学〔同13位〕
㉑オハイオ州立大学〔同61位〕
㉓テキサス大学オースティン校〔同56位〕
㉕メリーランド大学カレッジパーク校〔同72位〕
㉕ワシントン大学シアトル校〔同7位〕
 
この話題を掲載した理由は、宇宙軍の幹部将官の多くは一般大学出身であり、空軍士官学校(AFA)出身者は、むしろ少数派であるという事実による。これは、他の軍種(陸・海・空・海兵隊)と大きく異なる宇宙軍の特徴である。宇宙軍独自の宇宙軍士官学校の創設を望む声があることをお分かりいただけると思う。ちなみに空軍士官学校にも、もちろん宇宙学科は存在している。
 
しかし、一般大学出身の宇宙軍幹部が大半ということは、他機関、学術界や産業界との競争の結果であり、今後の人材確保において、安心できる状況ではないことを示唆している。また、入隊後の幹部教育については、従来は、航空戦争大学(AWC:航空大学の一部〕
[7]で提供してきたが、宇宙専門教育がより必要になった状況を踏まえ、本来であれば、「宇宙軍戦闘大学」の創設が望ましかった。ところが、宇宙軍は必要最小限の規模で創設せよとの米連邦議会の要求に基づいて、新設の代わりにジョンズ・ホプキンス大学を軍事大学に指定[8]して、現在に至っている。
 
 
ジョンズ・ホプキンス大学における宇宙軍を対象とした教育プログラムの様子
【出典】米宇宙軍:
https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/3476316/ussf-johns-hopkins-university-debut-new-era-of-officer-pme/
 

宇宙軍は、宇宙に関する教育を補い、補強するために様々な取り組みを行っている。宇宙軍は、士官・下士官に対する宇宙関係の教育を、そのホームページで公開しており、その内容は以下のとおりである:[9]
 
「宇宙軍は、有能で多様性を有する宇宙軍兵士(ガーディアン)を採用、教育、育成し、国の利益を確保して宇宙での優位性を維持するための研究と技術に従事するために、『大学パートナーシップ・プログラム(UPP)』を設立した。
 
UPPには、機会の確立、研究の推進、奨学金、インターンシップ、メンターシップの機会の確立、および兵士採用という4項目の具体的な目標がある。現在、UPP14の大学(アリゾナ州立大学、クレムソン大学、ジョージア工科大学、ハワード大学、マサチューセッツ工科大学、ノースカロライナ農工州立大学、パデュー大学、コロラド大学ボルダー校、コロラドスプリングス大学、ノースダコタ大学、プエルトリコ・マヤグエス大学、南カリフォルニア大学、テキサス大学オースティン校、テキサス大学エルパソ校)と提携している。これらの戦略的パートナーシップによるUPPの目標は、全てのガーディアン(士官、下士官、非軍人職員)に高度な学位(AAD)と労働力開発の機会を創出することである。
 
次に、シュリーバー宇宙奨学生プログラム(中級教育:ILE)がある。これは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の国際公共政策修士課程内の特別コースを通じて、軍人、政府文民職員、パートナー国の学生向けに設計した、非常に競争率の高い宇宙軍プログラムである。プログラムは、ワシントン D.C. のホプキンス・ブルームバーグ・センターで実施する。このユニークな1年間の修士課程では、毎年、才能ある戦略レベルの軍人、複数の機関の政府文民職員、パートナー国の軍人からグループを選出し、国際公共政策修士(MIPP)学位につながる独自のカリキュラムに参加してもらっている。
 
それから、ウェスト宇宙奨学生プログラム(上級教育:SLE)である。これは、ジョンズ・ホプキンスSAIS国際公共政策修士課程内の特別コースを通じて、軍人、政府文民職員、パートナー国の学生向けに設計した、競争率の高い宇宙軍プログラムである。ワシントン D.C.のホプキンス・ブルームバーグ・センターで提供する。このユニークな1年間の修士課程では、毎年、有能な上級戦略レベルの軍人、複数の機関の政府文民職員、パートナー国の軍人からグループを選出し、国際公共政策修士(MIPP)学位につながる独自のカリキュラムに参加してもらっている。
 
さらに、空軍技術研究所(AFIT)も宇宙教育を提供している。これは、宇宙軍士官が科学、技術、工学、数学(STEM)の分野でフルタイムの現役任務として大学院研究を進めることを可能にする、選抜型空軍省(DAF)プログラムである。オハイオ州のライトパターソン空軍基地にある AFITは、防衛技術教育、研究、コンサルティングの世界的リーダーである。また、空軍の工学・管理の大学院であり、専門的な継続教育機関でもある」(引用終了)。
 
また、宇宙軍は国家安全保障宇宙研究所(NSSI)を保有している
[10]。NSSIは、宇宙に関する専門的知見の維持・向上を図るための宇宙継続教育において第一の情報源であり、空軍大学、海軍大学院、空軍工科大学、ジョンズ・ホプキンス大学、およびフォスラー下士官学校の既存の宇宙教育プログラムを補完している。NSSIは、宇宙領域での紛争を抑止し、能力を守り、侵略を撃退するための知的能力と機敏性を備えた卒業生を育成するために、国防総省、米国政府機関、および国際パートナーに、世界規模で対応可能な関連性のある宇宙専門継続教育を提供している。
 
NSSIにおける宇宙継続教育の様子
【出典】NSSI:https://nssi.spaceforce.mil/
 
それでは、陸軍や海軍はどのように宇宙教育を行っているのであろうか。とりわけ、近年、宇宙教育に力をいれているのが、陸軍である。陸軍士官の多くは、陸軍ウェストポイント士官学校[11]の卒業生だ。ウェストポイントが2022年9月14日に発表した記事[12]は興味深い洞察を提供している。その内容は次のとおりである:
 
「宇宙ミサイル防衛司令部(SMDC)全体から集まったチームメンバーは、97日から9日までの米国陸軍士官学校のブランチ・ウィーク中に、『陸軍宇宙機能領域40』の将来のリーダーを募集した。ブランチ・ウィークでは、士官候補生が陸軍の軍事部門(ブランチ)と機能領域について学ぶことで、キャリアオプションを探求する機会が提供される。FA40チームを代表する者にとって、ブランチ・ウィークは、陸軍宇宙の重要性を説明するとともに、宇宙作戦士官になることに関心のある士官候補生を特定する時間を与えた」(引用終了)。
 
陸軍では宇宙作戦に関わる士官は「陸軍宇宙の機能分野40(FA40)」の資格を必要とする。ただし、この仕組みは、士官に対する資格の提供であり、宇宙の利活用がますます必要となった現在においては、下士官の宇宙教育も必要であるが、その仕組みは未整備であった。ゆえに、米陸軍では、2024年8月7日、宇宙ミサイル防衛司令部の司令官、ショーン・A・ゲイニー陸軍中将が、宇宙関連軍事職業専門職(MOS)創設を発表。これは、士官だけでなく下士官もキャリアの早い段階で宇宙を専門に学ぶ、専用の軍事職業専門分野になると宣言した
[13]
 
海軍の宇宙教育に関しては、伝統的な海軍大学院(NPS)が充実した教育を提供している。陸軍と異なるのは、宇宙の専門資格が2種類あることである。海軍宇宙には、①海事宇宙士官(Maritime Space Officer:MSO)、および②宇宙専門幹部(Space Cadre)という2種類の人員グループが含まれる
[14]。海事宇宙士官(MSO)は海軍の宇宙作戦専門家であり、統合宇宙能力を海事計画および作戦に統合する任務を負っている。海事宇宙士官コミュニティは、独自の識別番号を持つ、より大規模な情報戦コミュニティ内に存在する。MSOは、艦隊海事作戦センター(MOC)、統合軍司令部、情報機関コミュニティ、海軍戦闘開発センター、海軍大学、および作戦を支援するスタッフ職で宇宙計画および作戦の職位に就くのである。
 
宇宙専門幹部(Space Cadre)は、宇宙作戦または宇宙獲得の追加資格識別番号(AQD)を持つ人員を表すために使用される用語である。これらの個人は元の組織(コミュニティ)内に留まり、コミュニティの要件の対象となる。海軍では、宇宙関連の任務に就くためには、様々な資格や経験を要求している。かなり細かい内容となるので、本コラムでは紹介を省略させて頂く。
 
先に記載した通り、これら海軍の宇宙人材には、海軍大学院(NPS)が教育を提供している
[15]。一例として、宇宙システムの運用と工学(カリキュラム 566)は、修士課程から博士課程に至る様々なコースを提供している。国際コースも存在する。海軍大学院の方に、国際コースに日本人の政府職員も呼ぼうと取り組んだが、応募する人は居なかったと聞いたことがある。
 
宇宙は特殊な領域である。宇宙では、物体の動きが様々な物理法則に従っており、それには、太陽や月などの引力も関与している。地球の引力のみを考慮していた地上とは大きく異なる。また、放射線の環境もあり、詳細なモデルが必要であるが、これも様々な要因で変化するのである。そして、競合国は、これらの様々な要因を熟知する科学者を安全保障に投入している。宇宙教育はますます必要且つ重要になる動向にあり、我が国の状況や認識は大いに懸念される状況にあると言えよう。

 
以上
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(開発)】レオナルド社、英向け回転翼無人機設計を発表 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnc8umw34 2025-01-15T10:00:00+09:00
【出典】Leonardo社:
https://uk.leonardo.com/en/news-and-stories-detail/-/detail/leonardo-unveils-design-of-proteus-uncrewed-rotorcraft-technology-demonstrator

イタリア防衛大手レオナルド(Leonardo)社は2025年1月7日、英海軍向けに開発を進めるプロテウス回転翼無人航空システム(RWUAS)[1]技術実証機の設計を発表した。
 
今回の設計公開は、今年後半に予定される初飛行に先立ち実施されたものである。発表された実証機はレオナルド社のヘリコプターであるAW09に類似しており、重量は約3トン。自律性やモジュール式ペイロードベイの互換性の実証、また新技術開発のために使用される。
 
特にモジュール式ペイロードベイ搭載により、海上補給や対潜水艦戦など多様な任務の遂行が可能となっている点が特徴だ。また、開発ではデジタルツイン
[2]やAI、機械学習の活用、3Dプリントによる部品製造・コスト効率の高い複合材料の使用などといった高度なデジタル設計・製造技術の活用により、コスト削減と開発スピード向上に成功した。
 
レオナルド社は今回の開発発表でも、実証機の搭載エンジンについて明言していない。一方、複数のメディアでは、AW09に搭載されているフランスのサフラン(Safran)社製造のアリエル2Kエンジンが実証機に搭載される有力候補として指摘されている。
 
なお、実証機は英国防省による回転翼無人航空機の技術実証プログラム「RWUAS CCD フェーズ3」の一環として、対潜水艦戦支援を念頭に開発されている。

 
【注】
[1]回転翼無人航空システム(RWUAS): 英国防省が導入を目指す、無人垂直離着陸(VTOL)機。情報収集、監視、偵察、輸送任務への活用を念頭に、高い積載量や悪天候下での運用能力を備えることが要件とされている。フェーズ1、2ではレオナルド社が研究開発を担当し、フェーズ3ではその結果を踏まえて実証機を製造、2025年半ばに試験飛行を実施する。
 
[2]デジタルツイン:「現実空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元にサイバー(仮想)空間で現実空間を再現する技術」のこと。
 

【出典】
https://uk.leonardo.com/en/news-and-stories-detail/-/detail/leonardo-unveils-design-of-proteus-uncrewed-rotorcraft-technology-demonstrator
 
https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/leonardo-unveils-aw09-inspired-proteus-uas-demonstrator
 
https://breakingdefense.com/2025/01/leonardo-unveils-british-navy-proteus-rotary-wing-uas-final-design/
 
https://www.leonardo.com/en/press-release-detail/-/detail/21-07-2022-the-future-of-uk-uncrewed-military-vtol-technology-is-secure-onshore-as-mod-gives-green-light-to-leonardo-for-proteus-demonstration-flight


 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】エルビット社、NATO加盟国に対UASシステムを供給 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnpygpuce 2025-01-14T13:00:00+09:00
対UASシステム「リドローン(ReDrone)」のイメージ
【出典】Elbit Systems社:
https://elbitsystems.com/pr-new/elbit-systems-awarded-60-million-contract-to-supply-counter-uas-solution-to-a-nato-european-country/?pageid=PR%20-20%20News

イスラエルの防衛技術企業エルビット・システムズ(Elbit Systems)社は1月6日、同社の多層式対無人航空機システム(C-UAS:Counter-Unmanned Aircraft System)を欧州のNATO(北大西洋条約機構)加盟国に提供する契約を6,000万ドル(約95億円)で獲得したことを発表した。当該NATO加盟国名は非公表。契約は3年間にわたり実施される予定という。
 
契約の一環として、エルビット・システムズ社はモジュール式対UASシステム「リドローン(ReDrone™)」を提供する。リドローンは、エルビット・システムズ社のレーダー「DaiR」
[1]、シギント(SIGINT:Signal Intelligence)[2]センサー、電子戦(EW:Electronic Warfare)対策装置、電子光学(EO:Electro-Optical)昼夜兼用ペイロードなどで構成された対UASプラットフォームを提供する。
 
同システムは一般的なアクティブ(能動的)およびパッシブ(受動的)センサーを超える機能を備え、保護領域内で通信チャネルを介して複数のUASを迅速に検出し、位置特定を行う。また昼夜間、都市部や農村部、いわゆる錯雑地(さくざつち)や開豁地(かいかつち)という異なる環境下や、さまざまな気象条件下でも、敵のUASを検出、識別、位置特定、追跡、無力化することができる。さらに運用の柔軟性を高めるため、定置型と移動型を選択できる設定となっていて、車両に搭載して運用することも可能であり、包括的な任務管理のための指揮・統制(C4I)機能も搭載している。
 
エルビット・システムズ社で電子戦などを所管するゼネラルマネージャー、オレン・サバグ(Oren Sabag)氏は声明で「無人航空機システムの脅威が高まる中、今回の契約は対UAS分野で当社が獲得した一連の契約に続くものである」とし、「NATO加盟国の中で当社のシステムが選ばれたことを誇りに思う。この契約により、電子戦、シギント、レーダー、電子光学分野における当社の高度な技術に基づいて構築されたシステムの堅牢性と有効性が改めて実証された」と強調した。
 
※1ドル=158円で換算

 
【注】
[1]DaiR:エルビット・システムズ社が開発した、数百のデジタルレシーバー、複雑なアルゴリズム、人工知能(AI)機能を備えたコアを組み込んだXバンドのソフトウェア定義レーダーシステム。
 
[2]シギント(SIGINT:Signal Intelligence):一般には通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報・諜報活動のこと。この対UASシステムにおけるシギントセンサーは、この中の電磁波、信号を主として探知するものと推定。
 
【出典】
https://elbitsystems.com/pr-new/elbit-systems-awarded-60-million-contract-to-supply-counter-uas-solution-to-a-nato-european-country/?pageid=PR%20-20%20News
 
https://thedefensepost.com/2025/01/07/elbit-c-uas-nato/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnf4t83mx 2025-01-10T17:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 東京消防庁「出初式」開催、有明ビッグサイトに2,900人が集結 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn8whtgz3 2025-01-10T17:00:00+09:00
2025年1月6日に開催された、東京消防庁による東京消防出初式
部隊行進や大規模災害対応
訓練等が実施された。
【出典】東京消防庁HP(東京消防出初式ライブ配信):
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/inf/dezome/index.html

 
新春恒例の東京消防庁による東京消防出初式が1月6日、東京ビッグサイト屋外駐車場(東京都江東区有明)で開催された。このイベントは東京都民に防災への備えの重要性を呼びかけることを目的としており、消防職員や消防団員など約2,900名が参加。消防車、ヘリコプター、消防艇など計144台の車両や船舶が集結した。
 
メイン会場では、首都直下型地震による複合災害を想定した訓練が行われた。昨年10月に新設された「警防本部多摩指揮隊」が各部隊に活動を指示し、ドローンを使って上空から被害状況を把握。その後、高層ビルや倒壊した建物から逃げ遅れた人々の救助、爆発した有害物質タンクの消火活動を行った。さらに、さいたま、千葉、横浜など首都圏5市の消防局が援助隊として参加した連携訓練が行われた。
 
式辞で吉田義実消防総監は、今年が阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件から30年の節目であることに触れ、「教訓を次世代へ継承し、あらゆる災害に対応できる強靱(きょうじん)で持続可能な組織を築いていく」と語った。                    
 
また、隣接する展示会場では、普段目にする機会の少ない東京消防庁の車両や装備が展示され、多くの都民の関心を集めていた。
 
<水難救助隊>                                 
水難救助隊は、水難事故や河川への転落事故などに対応し、河川や港湾での救助体制を強化する目的で1974年に設立された。現在は日本橋、臨港、大森、足立、小岩、調布の6つの消防署に約120名の職員が配置されており、東京都内で年間約250件発生する水難救助活動のうち、約半数にあたる120件に出動している。

 

河川捜索中の水難救助隊員
東京都内で発生する水難事故の約半数に対処している。
【出典】東京消防HP:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/ts/rescue/introduction02.html

 

展示された「水難救助車」

ライフジャケットや酸素ボンベなど救助用装備が全て搭載されている。
【出典】NSBT Japan撮影

 
<VR防災体験車>
東京消防庁では、VR防災体験車による最新のバーチャルリアリティ(VR)を活用した「臨場感あふれる防災訓練」を都民に提供している。この体験車では360°の立体映像と揺れ・風圧・熱などを再現することで、地震、火災、水害といった災害の疑似体験ができ、自身を守るための訓練が可能になっている。

 
「VR防災体験車」はVRゴーグルによる立体映像とモーションシートによる揺れ・振動・匂い・水しぶき・熱気などの演出効果で地震・火災などの疑似体験ができる。
【出典】NSBT Japan撮影
 
<機動特科隊>
東京消防庁には、大型重機(ブルドーザー等)を駆使して、従来の消防力では活動が困難な災害に対応する「機動特科隊」がある。
 
この部隊は、2024年1月の能登半島地震発生時にブルドーザーを現地に搬送し、進路上の障害物を除去しながら消火活動を支援した。また、東日本大震災や熱海市伊豆山土石流災害においても活動したそうだ。

 

消防用ブルドーザー
普段、見ることはほとんどないが、能登半島地震のような震災時は大きな力を発揮する。
【出典】NSBT Japan撮影

 
<消防二輪車>
東京消防庁には、二輪車を使用する「クイック・アタッカー隊」が配備されている。同隊は阪神淡路大震災の教訓をもとに、瓦礫や渋滞で車両が進めなくなる状況に対応するために創設された。

クイック・アタッカー隊は地域や状況に応じて活動内容が異なっており、山間部では登山者の救助が主な役割であるが、東京23区内では渋滞の多い首都高速道路での交通事故や車両火災への対応が主な任務である。

現場にいち早く到着し、消防車や救急車が到着する前に、救助や応急処置、初期消火などを行うほか、災害時には渋滞した道路や橋の状況を調査、報告する情報収集も行うという。

消防二輪車は2台1組(Ⅰ型・Ⅱ型)で活動する。Ⅰ型は消火器具を、Ⅱ型は救助器具・各種器材ボックスを搭載し、初期消火や救助活動を行う。月に数回の出動があり、迅速な火災及び事故対応を実施する。
【出典】NSBT Japan撮影
 
<公募型研究開発>
東京消防庁では、消防業務における様々な課題を効果的かつ効率的に解決するため、民間企業や大学、研究機関が持つ技術、情報力が必要だと考えており、令和4年度(2022年度)から研究開発について公募を始めたという。

 

2024年は「消防活動時に使用可能な熱中症対策ウェアラブルデバイスに関する研究」について公募した。
【出典】東京消防庁HP:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/inf/koubo/r6koubo_bosyuu.html

 

ウェアラブルデバイスのイメージ図
【出典】中小企業庁「go-techナビ」:
https://www.chusho.meti.go.jp/sapoin/index.php/cooperation/project/detail/1959

東京消防庁は公募型研究において保有する研究施設を開放しており、様々な条件下における試験環境を提供している。
【出典】NSBT Japan撮影
 
NSBT Japanは公募型研究開発について、今後もその内容などに注目し、中小企業のみなさまに情報提供していきたい。
 

 


 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】レイセオン社、ルーマニアから約10億ドルでパトリオットを追加受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn658istj 2025-01-10T14:00:00+09:00
地対空ミサイルシステム「パトリオット」
【出典】RTX社:
https://www.rtx.com/news/news-center/2025/01/03/rtxs-raytheon-awarded-946-million-contract-to-provide-additional-patriot-air-de

米航空防衛大手RTX社は1月3日、同社の事業部門であるレイセオン(Raytheon)社が、ルーマニアから9億4,600万ドル(約1,490億円)で地対空ミサイルシステム「パトリオット」[1]を追加受注したと発表した。この契約には、レーダー装置、射撃管制装置[2]、ミサイル本体で構成される発射ユニットが含まれている。
 
今回の調達は、ウクライナに供与したパトリオットシステムの代替が目的だ。さまざまな最新防空システムを共同出資でウクライナに供与する、ドイツ主導の西側連合による広範な軍事支援活動「即時防空対応(IAAD:Immediate Action on Air Defense)計画」の一環でもある。
 
レイセオン社のグローバル・パトリオット担当上級副社長、ピート・バタ(Pete Bata)氏は「ルーマニアによるパトリオットへの継続的な投資は、欧州全体の集団安全保障、抑止力、安定性を確保することへの同国の献身の証だ」と述べた。
 
レイセオン社は、パトリオットのグローバルサプライチェーン(供給網)の一環として、引き続きルーマニア国内の防衛関連企業と提携していく方針だ。 
 
パトリオットは、高度な長距離巡航ミサイルや戦術弾道ミサイル、そして広範な空襲などの脅威を防御できる世界で唯一戦闘実績のある地上配備型防空システムだ。パトリオットは19カ国で防空システムの基盤となっており、空中からの脅威や大規模複合攻撃に対する有効性を実証し続けている。
 
※1ドル=157円で換算

 
【注】
[1]地対空ミサイルシステム「パトリオット」(MIM-104 Patriot):米国のレイセオン社がMIM-14 ナイキ・ハーキュリーズの後継として米陸軍向けに開発した広域防空用の地対空ミサイルシステム。世界で最も先進的なミサイル防衛システムのひとつ。 
[2]射撃管制装置:目標に対して、射撃の方位・角度などを照準し、指示する火器射撃統制装置。レーダー・コンピューターなどを組み合わせて作る。 

【出典】
https://www.rtx.com/news/news-center/2025/01/03/rtxs-raytheon-awarded-946-million-contract-to-provide-additional-patriot-air-de
 
https://breakingdefense.com/2025/01/raytheon-secures-near-1b-patriot-order-from-romania

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn6fzscwc 2025-01-10T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnu9vwzow 2025-01-09T18:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 米軍が進める「宇宙アセット」の見直しとは https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnd2dj6up 2025-01-09T17:00:00+09:00
衛星への燃料補給、修理が可能なミッション・ロボティック・ビークル(MRV)
【出典】米国防総省:
https://www.defense.gov/News/News-Stories/Article/Article/3966145/naval-research-lab-completes-development-of-satellite-servicing-robotics/

宇宙での開発競争が激化する中、米宇宙軍は宇宙関連の技術やノウハウなどの「宇宙アセット(資産)」を高度化させるとの意図を明確にしはじめた。とりわけ、衛星コンステレーションや宇宙空間で修理可能な衛星といったコンセプトは、宇宙アセットの構成を根底から見直すものであるが、以下、今後の宇宙競争を展望するうえで着目すべき変化をいくつか取り上げたい。
 
<衛星コンステレーション:一層の小型化とコストダウン>
衛星コンステレーション計画
[1]は、ここ数年間で衛星通信の脆弱性への懸念が高まったことを受け、一層重視されるようになった。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵略以降、米国のGPS衛星はウクライナ軍を支援しているということから、ロシア軍の頻繁な妨害や攻撃にさらされている。
 
そうした中で特に注目されている直近の動きは、衛星の小型化と大量配備だ。今年9月には、米空軍省が進める「レジリエントGPS(R-GPS)」プログラムの設計を担う企業として、アストラニス社、アクシエント社、L3ハリス・テクノロジーズ社、シエラ・スペース社の4社が選定された
[2]。これは、GPS信号を送信する小型の衛星を増やし、既存のGPS衛星群(コンステレーション)を増強することで、軍用および民間のGPSユーザーにレジリエンス能力を提供することを目的としたプログラムである。衛星をより小型化し、かつ一基当たりの低コスト化を図ることが強調されており、衛星一基当たり数億ドルともいわれるコストが5,000万ドル~8,000万ドル(約79億円~126億円)程度にまで削減されるという。
 
<修理可能衛星:大型衛星の長寿命化>
他方、静止軌道衛星においては、修理可能な衛星の導入による長寿命化が図られている。現在、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)社の子会社であるスペースロジスティクス(SpaceLogistics)社が整備用衛星の打ち上げを目指して開発を進めている。
 
同社が開発しているのは、衛星に燃料を補給する、あるいは衛星の修理、点検を行う整備用衛星で、ミッション・ロボティック・ビークル(MRV: Mission Robotic Vehicle)と呼ばれる。燃料補給は、ミッション延長ポッド(MEP: Mission Extension Pod)という燃料パックを衛星に取り付ける方法がとられる。また修理、点検には専用のアームが用いられる予定で、国防高等研究計画局(DARPA)と共同で開発、試験が行われている。このロボットアームは、衛星の検査や消耗部分の修理といった高度なタスクにも対応する、とスペースロジスティクス社のロブ・ハーグ(Rob Hauge)社長は述べている。
 
燃料補給、修理といったサービスを提供するためには、提供先の衛星と燃料パック(MEPs)の規格を揃えるなどの調整が必要だ。スペースロジスティクス社は既に修理サービスの提供先としてインテルサット(Intelsat)社とオプタス(Optus)社との間で取り決めを交わしており、燃料パックのドッキングシステムの調整を行っている。
 
この動きの背景にあるのは、資源の希少化と宇宙ゴミ対策だ。最新衛星は大量の先端技術や希少金属を搭載している上、近年では打ち上げが急増しているため、生産工程はひっ迫度合いを強めている。さらには運用を終えた衛星が軌道上に残り宇宙ゴミとなることで、運用中の衛星への危険が高まっており、宇宙ゴミをこれ以上増やさない取り組みが求められている。
 
<宇宙産業の変化>
宇宙空間の安全保障上の重要性が高まり、かつ各国間の対立、競争が激化するのに伴い、宇宙アセットは大きな変化を迫られている。上記でみてきたコンステレーション衛星の小型化や衛星の長寿命化といった取り組みはその一例だ。今後の宇宙産業は、これらの変化に適合した新たな技術、製品が求められるようになり、産業全体に大きな変化の波が押し寄せるかもしれない。
 
※1ドル=158円換算
 

【注】
[1]衛星コンステレーション計画:多数の衛星を一つの衛星群として運用する方法。目的に応じて数十から数百、場合によっては数千ほどの衛星を一つのシステムに統合し運用する。これにより、一つの衛星に機能が集中することを避け、かつ破損や故障によるリスクを他の衛星で補うことで、システム全体のレジリエンスを高めることが可能となる。
[2]詳細は次のNSBT Japanの記事も参照のこと:https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngtfnhw8
 
【参考】
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnnx7skrv
 
https://www.defensenews.com/space/2024/11/15/space-force-targeting-more-affordable-gps-satellites/
 
https://spacenews.com/northrop-grumman-eyes-2026-launch-of-robot-armed-satellite-servicer/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ポーランド、スタロヴァ・ヴォラ社 からKrab自走式榴弾砲96門を納入へ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnm4kp2ft 2025-01-09T10:00:00+09:00
【出典】ポーランド政府:
https://www.gov.pl/web/obrona-narodowa/17-miliardow-zlotych-na-zakup-sprzetu-dla-wojska-polskiego-w-polskim-przemysle-zbrojeniowym

ポーランド国防省は昨年12月23日、ポーランドのスタロヴァ・ヴォラ(Huta Stalowa Wola)社と総額約170億ズウォティ(約6,500億円)相当の契約を締結した。
 
契約ではKrab自走式榴弾砲96門とそれに付随する250両の支援車両を供給することとなっている。
 
供給されるKrabの半分はアップグレード版になっており、自動装填システム、レーザー警告受信機
[1]、ソフトキル型のアクティブ保護システム(APS)[2]など、大幅なアップグレードが施される。これには、360度観測システムと、遠隔操作が可能なWKM-B12.7mm重機関銃[3]も含まれる。
 
スタロヴァ・ヴォラ社がBAE Systems社およびポーランドのOBRUM社と共同で開発したKrab榴弾砲は、韓国のK9自走式榴弾砲の車体と英国のAS90自走式榴弾砲の砲塔を組み合わせたものだ。また、KrabはNATO規格の砲弾を最大24.8マイル(約40km)の範囲で発射可能である。
 
納入が予定されている榴弾砲を補完する支援車両250両は、砲兵中隊の指揮車両(WD)、戦隊司令官車及び幕僚車(WDSz)、弾薬補給車両(WA)、および兵器・電子機器オーバーホール車(WRUiE)などで構成される。
 
現在、ポーランド軍が保有するKrabは26門程度とされる。これはポーランド政府が軍事支援の一環として数十門をウクライナに移譲したためだ。
 
ポーランド国防省は今回の契約の96門も含め、2025~2029年にかけて最大186門の納入を考えている。これにより、ポーランド軍のKrabの総数は約212門となる。

※ 1ズウォティ=38.3円で換算

 
【注】
[1] レーザー警告受信機:レーザー誘導システムとレーザー距離計からのレーザー放射の方向を検出、分析、および特定する装置。
 
[2] ソフトキル型のアクティブ保護システム(APS):敵の対戦車兵器を無効化するための武器システムの中でも、主に誘導装置を混乱させるもの。
 
[3]  WKM-B12.7mm重機関銃:ソ連が開発したNSV重機関銃をポーランドが派生させたもので、NATO加盟国で一般的な重機関銃であるブローニングM2と同じ12.7mm弾を使用する。
 
 
【出典】
https://mil.in.ua/en/news/poland-orders-96-krab-self-propelled-howitzers/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=poland-orders-96-krab-self-propelled-howitzers
 
https://www.gov.pl/web/obrona-narodowa/17-miliardow-zlotych-na-zakup-sprzetu-dla-wojska-polskiego-w-polskim-przemysle-zbrojeniowym
 
https://thedefensepost.com/2024/12/27/poland-howitzers-vehicles-drones/
 
https://www.armyrecognition.com/news/army-news/army-news-2024/poland-strives-to-become-europes-largest-military-force-with-krab-and-k9a1-acquisitions
 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
「AUSA 2024」現地レポート: 米陸軍による中小企業マッチメイキング・イベント https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnte63ur7 2025-01-08T17:00:00+09:00 NSBT Japan アナリスト
ジョン・ジェイコブス

 
「AUSA 2024」のカンファレンス会場にて行われた米陸軍中小企業プログラム・オフィス(OSBP)主催によるマッチメイキング・イベントの様子
【出典】NSBT Japan撮影
 
<はじめに>
10月中旬に米ワシントンD.C.にて開催された「AUSA 2024」では、カンファレンスや展示会の他、米陸軍の中小企業プログラム・オフィス(Office of Small Business Programs:OSBP)による、第12回「中小企業ビジネス・マッチメイキング・セッション」も開催されていた
[1]。10月16日に開催されたこのセッションは、起業家精神(アントレプレナーシップ)を持つ中小企業関係者に対して、米陸軍司令部、国防機関、主要な国防請負業者の代表者とのネットワーク作りや商機獲得を支援する会合である。
 
OSBPよりこのマッチメイキング・セッションへのメディアアクセスを許可された我々NSBT Japanの取材チームは、陸軍OSBP局長や同セッションに参加した企業関係者にも直接話を聞くことができた。概要は以下のとおりである。

 

マッチング会場入り口に置かれていた席次表
【出典】NSBT Japan撮影

 
<中小企業セミナー>
マッチメイキング・セッションに先立ち、前日の15日には「中小企業セミナー」が開催された。このセミナーでは、米陸軍の主要幹部が、様々な中小企業向けのプログラムをプレゼンする中で、陸軍が進めている継続的な変革と近代化への取り組みをどのように支援できるかについての講演が行われた。
 
このセミナーには、米国防総省(DoD)の当局者やビジネスリーダー(日本でいうところのプライム企業関係者)も中小企業関係者とともに参加。米国における中小企業を中心とした産業基盤の強化についてのベストプラクティスが紹介された。

 

10月15日に開催されたパネルディスカッションの様子
【出典】NSBT Japan撮影

 
このセミナーは、中小企業の参加者に米国防総省およびその他の連邦政府機関との取引に関する知見を共有するための教育的な意味合いもあるセッションであり、翌日に行われるマッチメイキング・イベントに向けた準備段階のような形となっていた。
 
<マッチメイキング・イベント>
満を持して開催された16日のマッチメイキング・イベントは午前と午後の2部制で、今年は大手テクノロジー企業であるAmazonなど、初参加となるバイヤーも加わっていた。キンバリー・D・ビューラー(Kimberly D. Buehler)米陸軍OSBP局長による開会挨拶では、そうした初参加の企業を歓迎するとのスピーチがあった。続いて、OSBPのプログラムマネージャーであるジェームズ・ロイド(James Lloyd)氏から、当日のマッチメイキングに関するルールについての説明があった。

「AUSA 2024」におけるビジネスマッチングのスケジュールと参加ルールについての概要
【出典】米陸軍OSBP:https://www.army.mil/osbp#org-ausa-2024

 
米陸軍OSBPは、このマッチメイキング・セッションに先立ち、対面での商談スケジュールを合理化するために、デジタルプラットフォームの「EventDex」を活用し、各販売業者(中小企業)が予定された商談を効率的に管理できるように調整していたという。各中小企業は、そのための準備としてそれぞれのニーズと関心事項を事前に調査するようアドバイスを受けていた。
 
マッチメイキングの当日、各中小企業は自社製品について5分間のプレゼンテーションを行い、その後、見込み客となる米軍や大手プライム企業と5分間の質疑応答を行う機会が与えられた。また、販売業者は技術的な仕様や価格、納期について明確かつ簡潔な情報を提供し、ミーティング後には主な争点と次のステップを簡潔にまとめたフォローアップメールを送るよう助言を受けた。
 
こうした事前、事後のフォローがある中で、当日、予定通りに現れなかった業者に対しては「レッドカード」が提示され、その空いた枠にキャンセル待ちに登録していた中小企業が割り当てられる、というルールとなっていた。

 

ビジネスマッチングの様子
【出典】NSBT Japan撮影

 
中小企業からの参加者は、予約時間まで会議室の外で待機する列をなしており、順番が回ってきたら部屋に入り、指定のテーブルに着くという流れであった。マッチメイキング・セッションはこのように迅速に行われており、各中小企業は最大限に営業を行うことができるとともに、見込み客から関連情報を入手できるように最適なルールが構成されていた。
 
<重要な「アクセスポイント」としてのマッチメイキング・イベント>
そうした中、我々NSBT Japanの取材チームは、米陸軍資材司令部(U.S. Army Material Command:AMC)
[2]との商談を終え、会議室を出たばかりの中小企業の参加者から所感を聞くことができた。
 
我々が話を聞いた米国を拠点とする3人の中小企業関係者は、いずれも適切な組織とつながるためには、対面でのビジネスマッチングイベントが重要であると共通して指摘していた。
 
ホノルルを拠点として建設、環境、ITサービスに関するあるハワイ先住民組織の参加者は、同イベントを通じて特定の組織とネットワークを築くことに価値があるとした上で、以下のように述べていた:
 
「ターゲットの絞り込みができ、より具体的にビジネスが展開できます。つまり、適切な人々と会うことができるのです。そのため私はこのイベントが非常に有益だと感じています。年に一度、ここに来れば、さまざまな製品を見ることができ、適切な人々に会えます。連邦政府との接触機会としても素晴らしいものです」
 
また、米国防総省のサイバーセキュリティ関連請負業者である、ノースカロライナ州のサイバー・シナジー(Cyber Synergy)社のクレイグ・ウィリアムズ(Craig Williams)CEOは、以下のように述べていた:
 
「実際、非常に良く構成されていました。参加者は会場に入ると、10分から15分間の短時間で、米陸軍資材司令部(AMC)にどのようなサービスを提供できるかについて、自社の能力や可能性を簡潔に説明します。そして、AMCは、調達契約を獲得する方法についての情報を提供してくれます」

 
マッチング会場から出てきたサイバー・シナジー(Cyber Synergy)社のクレイグ・ウィリアムズ(Craig Williams)CEO
【出典】NSBT Japan撮影
 
連邦政府機関にDXサービスを提供しているバージニア州のMB&A社からは、最高執行責任者(COO)であるアレックス・モリソン(Alex Morrison)氏がAMCとの商談後、インタビューに答えてくれた。
 
「非常に役に立ったのは、当社の力を生かせる機会やその可能性を見つけた場合、中小および社会的弱者事業推進局(OSDBU)の担当者に連絡してホワイトペーパーやソリューションの概要を提供し、直接担当者に当社の強みを伝えられることです。このように適切な担当者と連絡を取る手助けをしてくれることもあります」

 

NSBT Japanの取材を受けるMB&A社のアレックス・モリソンCOO(右)
【出典】NSBT Japan撮影

 
また、連邦政府や防衛関連部門への参入を目指す中小企業に対して、モリソンCOOからは、「各組織の役割を理解した上で、自社がどこに適合するのかを見極めてアプローチすること、また自社が強みを持つ分野に焦点を当てつつ、将来参入できる可能性の高い分野を特定し、準備を整えてから積極的にアプローチすべき」とのアドバイスもあった。
 
<中小企業ビジネスマッチメイキングの「ベストプラクティス」>
米国では、中小企業と連邦政府および防衛産業の関係者を結びつけるビジネスマッチメイキングが非常に重要視されている。米陸軍OSBP局長であるキンバリー・D・ビューラー(Kimberly D. Buehler)氏は以下のように述べた:
 
「これは、政府機関や大手防衛請負業者と中小企業が一堂に会し、短い商談で今後の調達に関する非常に的確な話し合いを行うお見合い(スピードデート)のようなものです。これは陸軍で行っていることですが、連邦政府全体においても最良の実践例(ベストプラクティス)となっています。 連邦政府機関のほぼ全てが、この種のビジネスマッチメイキングイベントを行っています」

 

取材にこたえるキンバリー・D・ビューラー米陸軍OSBP局長
【出典】NSBT Japan撮影

 
またマッチメイキング・イベントの主催者の役割について、ビューラーOSBP局長は、次のように語った:
 
「私たちは、各軍司令部や調達司令部と多くの仕事をしています。契約権限を持つ担当者、購入に必要な資金の管理者、実際に現場での運用ニーズを持つ部隊の要員、そして全体を統括するプログラムマネージャーなど、さまざまなステークホルダーが関与する中で、私たちは、全ての関係者と話し合い、要件を満たすために中小企業を活用するよう説得しています」
 
一方、大手国防企業とのビジネスパートナーシップを模索する企業家に対しては、ビューラー局長は次のように述べていた:
 
「このようなイベントに参加し、私たちのミッション・ケイパビリティー(軍事的な役割や能力)と一致する企業に出会うことは非常に重要だと思います。現在ではオンラインで関わりを持つ機会も数多くありますが、各企業とオンサイト(対面)で個別に商談を行うことができるこのような機会に勝るものはありません」
 
最後に、ビューラー局長は中小企業に対し、プレゼンテーションに関するアドバイスとして、「競合他社との差別化要因を理解することです。そして常に解決すべき問題を理解した上で交渉に臨み、その能力を満たし、良きパートナーとなる方法に焦点を当てるようにすることが重要だと思います」と述べた。
 
<安全保障ビジネス・ネットワークの重要性>
今回、AUSA 2024では、米陸軍OSBPへのコンタクトを通じて「中小企業ビジネス・マッチメイキング・セッション」を直接取材することができた。OSBPサイドも日本から取材があるということに好意的な反応を示しており、大変積極的に取材にこたえてくれた。
 
ビューラー局長は、「同盟国やパートナー企業と協力して多くの活動を進めており、その産業能力の重要性も認識しています。また、米国を拠点とする中小企業も私たちの国際パートナー企業との下請け契約を通じて事業を拡大できる可能性があります」と強調しており、単に米国内での軍民連携のみならず、グローバルなレベルでのマッチメイキングを視野に入れているようであった。
 
こうした活動は、日本の中小企業がもつ技術シーズと国内外の軍がもつ運用ニーズとの大きなギャップをつなぐべく、各種フォーラムなどを展開しているNSBT Japanの活動にも通じるところがあり、引き続きOSBPとも連携を深めていきたい。


【注】
[1] 米陸軍省の管轄下にある中小企業プログラム・オフィス(OSBP)は、米陸軍の契約総額の20%以上を占める歴史的に実績のある中小企業を支援している。OSBPは、陸軍の優先任務に関連する中小企業の産業基盤の拡大に貢献する革新的な取り組み機会を最大限に生かすことを目的とし、中小企業を活用して産業基盤の拡大および維持を確実にし、革新的な技術、供給、サービスを得る機会を提供することを目指している。https://www.army.mil/osbphttps://www.army.mil/osbp#org-about-us
 
[2] 陸軍の主たる物資統合者として、米陸軍資材司令部(AMC)は、米陸軍全体にわたるロジスティクスおよび維持活動を同期し、グローバルサプライチェーンを管理している。https://www.amc.army.mil/
 
【参考】
https://meetings.ausa.org/annual/2024/army_small_business.cfm
 
https://meetings.ausa.org/annual/2024/documents/Army_OSBP_Conference_Agenda_Final_9_12.pdf
 
https://www.army.mil/osbp#org-ausa-2024
 
https://www.xtech.army.mil/news/prize-competition-return-ausa-innovators-corner/
 
https://api.army.mil/e2/c/downloads/2024/04/18/85293c85/kim-buehler-bio.pdf

 

 

 
 
 
 
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngmxs46w 2025-01-08T17:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(契約)】オースタル社、豪沿岸警備隊の新型巡視船建造受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnds9pasf 2025-01-08T10:00:00+09:00
【出典】Austal Australia社:
https://austal.com/news/austal-australia-awarded-contract-two-additional-evolved-cape-class-patrol-boats-australian

オーストラリアのオースタル・オーストラリア(Austal Australia)社は2024年12月23日、オーストラリア国境警備隊から改良型ケープ級巡視船[1]の建造契約を受注したことを発表した。
 
追加建造契約の額は1億3,702万豪ドル(約132億9,000万円)。オースタル社は2020年からオーストラリア海軍向けに8隻の改良型ケープ級巡視船を納入しており、2024年2月には更に2隻の追加納入契約を締結している。この度建造契約した国境警備隊向けの2隻により、オースタル社の建造する改良型ケープ級巡視船は合計12隻となる見込みだ。
 
国境警備隊では2012年から2015年にオースタル社がケープ級巡視船を8隻納入していたが、改良型ケープ級巡視船は初の導入となる。オースタル社のCEOであるパディ・グレッグ(Paddy Gregg)氏は「オーストリア国境警備隊向け(に追加される)船舶によって、オーストラリア北部全域の海洋監視・国境警備能力がさらに強化される」と期待感を示す。
 
なお、ケープ級・改良型ケープ級巡視船への各種サポートは西オーストラリア州ヘンダーソン、クイーンズランド州ケアンズ、ノーザンテリトリー州ダーウィンのオースタル社施設にて提供される。
 
※1豪ドル=97円で換算

 
【注】
[1]ケープ級巡視船:オースタル社が設計・建造した巡視船。全長58.1メートルの船体はアルミニウム製で、乗員22名・最大船速26ノット。今回建造契約が結ばれた改良型は乗員32名となっている。オーストラリア国境警備隊・オーストラリア海軍に加え、トリニダード・トバゴ沿岸警備隊にも導入されている。
 
 
【出典】
https://austal.com/news/austal-australia-awarded-contract-two-additional-evolved-cape-class-patrol-boats-australian
 
https://www.navalnews.com/naval-news/2024/12/austal-to-build-two-evolved-cape-class-for-australian-border-force/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn2u9bm7z 2025-01-07T17:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(契約)】サーブ社、スウェーデン軍に新型対艦ミサイルRBS15 Mk3を納入 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnrziabij 2025-01-07T13:00:00+09:00
【出典】SAAB社:
https://www.saab.com/newsroom/press-releases/2024/saab-to-modernise-swedens-coastal-anti-ship-missile-capability

スウェーデンの防衛大手サーブ(SAAB)社は、2024年12月23日にスウェーデン国防資材局と、スウェーデン軍向け沿岸対艦ミサイルの納入に関する契約を締結したことを発表した。
 
契約の総額は8億スウェーデンクローナ(約112億円)で、スウェーデン海軍への納入は2026年に開始される。現在スウェーデン軍はRBS15 Mk2対艦ミサイルを運用しているが、サーブ社は今回の契約で、その後継であるRBS15 Mk3対艦ミサイル
[1]を新たに納入する。
 
RBS15 Mk3対艦ミサイルは200㎞を超える射程を有し、陸・海上から発射され、主に海上の目標に対して使用される。また、開発・製造に際してはサーブ社に加え、ドイツの防衛関連企業ディール・ディフェンス(Diehl Defence)社も関与している。サーブ社のダイナミクス事業部門の責任者であるヨルゲン・ヨハンソン(Görgen Johansson)氏は「より先進的な目標追尾装置や射程距離の拡大、大型化した弾頭を備える対艦ミサイルにより、スウェーデンはその能力を大幅に向上させることになる。RBSはバルト海の複雑な情勢と厳しい気象条件を念頭に開発された」と述べ、その能力をアピールした。
 
RBS15対艦ミサイルは長距離の目標追尾能力を有する地対地・空対地対艦ミサイルで、1980年代半ばからスウェーデンで運用が開始された。現在ではスウェーデンに加え、ドイツ、クロアチア、フィンランド、ポーランド、タイ、アルジェリアにも導入されている。
 
※1スウェーデン・クローナ=14円で換算

 
【注】
[1]RBS15 Mk3対艦ミサイル: RBS15対艦ミサイルの改良型。現在スウェーデン軍が運用するMk2は1998年に製造を開始。射程距離70kmで、最初期に製造されたMk1よりも誘導装置が改良されている。Mk3は対艦攻撃能力に加えて陸上攻撃能力を備え、ミサイルの射程距離も200㎞以上に延伸しており、現在ドイツ軍とポーランド軍で運用されている。
 
 
【出典】
https://www.saab.com/newsroom/press-releases/2024/saab-to-modernise-swedens-coastal-anti-ship-missile-capability
 
https://www.navalnews.com/naval-news/2024/12/saab-to-modernise-swedens-coastal-anti-ship-missile-capability/

 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
エイムポイント社、米海兵隊の射撃管制システムの契約を獲得 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fngdtjwid 2025-01-07T10:00:00+09:00
米海兵隊はカールグスタフM3A1の射撃管制システムFCS14(赤枠)の導入を決定した。
【出典】X:https://x.com/ELMObrokenWings/status/1852404390637768891/photo/1

 
レッドドット・サイトの世界的メーカーであるエイムポイント(Aimpoint)社は、米海兵隊と新たな契約を締結した。この契約により、同社の射撃管制システム「FCS14」が海兵隊に供給される。FCS14は、SAAB社が開発した無反動砲「カールグスタフM3A1」(以下、カールグスタフ)に搭載され、射撃管制システムとして運用される予定だ。
 
FCS14は、複数の武器プラットフォームに対応する次世代射撃管制システム(FCS:Fire Control System)である。このシステムを使用することで、射撃精度が上がり、ターゲットへの命中率が飛躍的に向上する。FCS14は、昼間や明るい環境だけでなく、AN/PVS-14やAN/PVS-31といった暗視装置を使用して夜間射撃も可能だ。
 
さらに、FCS14には取り外し可能なサーマルカメラと昼間用カメラユニットのデュアルセンサー(DSA:Dual Sensor Afocal)モジュールが搭載されている。このDSAはFCS14によって制御され、搭載された兵器の効率的な運用をサポートする。
 
<FCS14>
FCS14は、直視型の汎用リフレックスサイトでレーザー距離計と弾道コンピューターを統合し、射手に補正済みの照準点を提供するシステムである。この照準点は、距離、弾薬の種類、地形の角度、環境条件を考慮して計算される。
 
このシステムは、カールグスタフの他にも、AT4(携帯対戦車弾)、Mk19・Mk47・GMG(自動式グレネードランチャー)、M2(12.7mm 重機関銃)、M134Dミニガンなど、さまざまな武器プラットフォームに搭載可能だ。FCS14の照準点はグリーンドットで表示され、操作が簡単で、静止目標と移動目標のいずれも高い命中率を得られると言われている。

エイムポイント社のCEOであるセイン・スミス(Thane Smith)氏は「FCS14が米海兵隊の射撃管制システムに選ばれたことを誇りに思う。IRセンサーと昼間センサーを統合したFCS14は、多様なウェポンステーションに搭載可能で、最小限の訓練で最大の効果(高い命中率)を得られる。指揮官は柔軟性の高い戦い方ができるはずだ」と語った。

2023年10月、陸上自衛隊はSAAB社に「カールグスタフ」300門以上を発注した。納入は2025年からの予定だ。「カールグスタフ」はウクライナ戦争で注目された対戦車ミサイル「FGM-148ジャベリン」のような誘導兵器ではないため、特に移動目標への射撃は難しく、兵士に高い練度が要求される。

米海兵隊は大規模改編により兵員が大きく削減される中、カールグスタフの命中率を大きく向上させるFCS14の全面採用を決定した。日本においてもインド・太平洋地域での中国の勢力拡大が脅威となる中、南西諸島などの第一線に配置されている自衛隊の戦力向上のため、FCS14のような射撃管制システムの導入が不可欠になると考えられる。


【参考】
https://militaryleak.com/2024/11/01/aimpoint-awarded-us-marine-corps-contract-for-carl-gustaf-fire-control-systems/

https://aimpoint.us/aimpoint-new-contract-award-for-u-s-m-c-fire-control-systems?srsltid=AfmBOoo__-EHyouI_OHbT8EvozmCL9FOwhct8wT3o_UcveXvgJFRMoJC

 
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クライシスインテリジェンス管理者
米中の無人機開発における方針の相違 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fne5fvdka 2025-01-06T10:00:00+09:00
米軍の無人航空機XQ-58A
【出典】US Air Force:
https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/1778146/xq-58a-valkyrie-demonstrator-completes-inaugural-flight/


無人航空機の開発・導入において米国と中国は先頭に立っているが、進んでいる方向は両国間で大きく異なる。米国は有人機に随伴させる航空機を、中国は独立して自律飛行が可能な航空機の開発を目指している。
 
米国が力を入れているのは協調戦闘機(CCA: Collaborative Combat Aircraft)という、有人機の僚機として想定された航空機である。他方、中国は無人戦闘機(UCAV: Uncrewed Combat Air Vehicle)とよばれる、無人機単独での飛行、任務遂行が可能な機体の開発を目指している。前者は技術的なハードルが低く、コストを抑えられる一方、後者は開発に成功した場合の大きな潜在性を持つ。
 
<米国のCCA計画>
米国のCCAは、次世代航空支配(NGAD: Next Generation Air Dominance)計画、すなわち第6世代戦闘機での運用が想定されている。第6世代戦闘機を長機(編隊の誘導と警戒の役目を担う)とし、開発中のCCAを僚機(長機の指示で任務を遂行する)として運用する体制となる。
 
CCAにおいて米国が重視しているのは1機当たりのコストだ。第5世代戦闘機F-35のユニットコストがおよそ8,000万ドル(約114.4億円)から9,000万ドル(約128.7億円)程度であるのに対して、NGADの次世代戦闘機はその3倍程度になる見込みである
[1]。そのためCCAの開発・調達費用を抑えることで、システム全体のコストを予算の枠内に収めようとしている。
 
2024年9月には、CCAプログラムの入札において、ロッキード・マーティン社の設計が米空軍の要求に対してオーバースペックであったことが明らかとなった。同社はステルス性能の高いCCAを提案したが、空軍からはより低コストの設計を求められ、設計の大幅な変更を迫られた。ジョン・クラーク(John Clark)副社長は、スペックを落とすことで未帰還率が上がり、軍の財務的負担はむしろ高まると主張している
[2]
 
米国のCCA開発において特筆すべきもう一つの点は、調達責任者と部隊のオペレーターが協議しながら進めている点だ。基本的に調達においては、戦闘部隊からの要望に基づいて調達部門がメーカーとの交渉や発注を行っているが、今回は調達部門に加え航空戦闘軍団(ACC: Air Combat Command)のオペレーターが参加している。この方式の狙いはCCAに必要なスペックや予算などをすり合わせ、全体最適な調達を実現させることだ。実際にスペックの高さと調達費用はトレードオフであり、かつロッキード・マーティン社が述べているように、スペックを落とすことでむしろ総費用が増加する可能性もあるため、コストを抑えつつも必要なスペックを盛り込むというバランスが要求される。
 
この方式は現時点では、CCAの計画に特別に導入されたものだが、将来的には米空軍のあらゆる調達をこの形式で行う可能性があると、空軍の調達責任者であるアンドリュー・ハンター(Andrew Hunter)氏は述べている
[3]
 
<中国のUCAV開発>
対して中国は、有人機を必要とせず無人機のみで飛行可能なUCAVの開発を進めている。特に直近ではステルス性の高いGJ-11に注力しているとみられる。
 
GJ-11は主に攻撃、偵察任務を想定して設計されており、ステルス性能をはじめ高い能力を備える。同機のスペックは公式には明らかにされていないものの、最高速度は時速1,000km(約540マイル)、ペイロードは最大2,000㎏(約4,405ポンド)、さらに作戦行動半径は12,000km(約6,479マイル)にも上るとみられている
[4]。また尾翼がなく吸気口が上部につけられた構造をしており、非常に高いステルス性能を持っている。同機はまだ開発段階であるが、実際に運用されることになれば、西太平洋地域の軍事バランスを大きく変えることになる。
 
中国の開発するUCAVと米国のCCAはカテゴリーが異なるため単純な比較はできないものの、UCAVはCCAに比べ高い潜在的な価値があるとみられている。GJ-11の能力が非常に高いことに加え、UCAVは有人機を必要としないため作戦の範囲が広がる。加えて、UCAVの開発・運用能力があれば、その技術を応用することで比較的容易にCCAを開発できる可能性が高い
[5]
 
<方針の相違>
実は米国も2010年代までUCAVの開発を行っていたが、中断したという経緯がある。というのも、実際の任務における編成を考えたときに、UCAVの運用は必ずしも最適ではなく、有人機とCCAを組み合わせた運用の方が実用性があるためだと米軍は述べている
[6]
 
無人航空機は未だ開発途上であり、今後の技術競争の行方に注目が集まっている。とりわけUCAV技術は単に軍事技術の優劣にとどまらず、安全保障環境を左右する大きな焦点の1つだ。米国はUCAVの開発計画を取りやめ、以後技術水準が停滞しているのに対し、中国は現在も開発を進めており、現時点で顕著な技術力の差が生じている。仮に高い性能を持つUCAVが中国軍に導入されれば、東アジアをはじめ周辺地域の安全保障環境は大きく変化する。米中の技術力の差が今後どのように軍事力に反映されるかは未知数であるが、地域の安全保障環境において大きなリスクとなっていることは間違いない。

 
※1ドル=143円、1海マイル=1.852㎞、1ポンド=0.454㎏で換算
 
【注】
[1]https://www.twz.com/air/no-flying-wing-ucavs-being-developed-by-u-s-publicly-while-china-surges-ahead
[2]https://www.airandspaceforces.com/lockheed-low-cost-attritable-drone-cca-increment-2/
[3]https://www.defensenews.com/digital-show-dailies/afa-air-space/2024/09/16/how-the-air-force-averted-a-major-flaw-in-its-drone-wingmen-approach/
[4]https://armyrecognition.com/news/army-news/army-news-2024/china-gonji-11-uav-setting-new-standards-in-unmanned-aerial-operations
https://www.twz.com/30111/china-showcases-stealthier-sharp-sword-unmanned-combat-air-vehicle-configuration
[5]https://asiatimes.com/2024/09/chinas-sharp-sword-combat-drones-cutting-into-us-airpower/
[6]https://www.twz.com/air/no-flying-wing-ucavs-being-developed-by-u-s-publicly-while-china-surges-ahead

 
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クライシスインテリジェンス管理者
AUSA 2024 企業レポート(その6): 特殊マット「DESCHAMPS」 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnmwz8t9y 2024-12-27T18:00:00+09:00
AUSA 2024に出展した「DESCHAMPS」社は軍用等に使用される特殊マットを製造するメーカーである。
ヘリコプター用マット(写真)は重さ72㎏と非常に軽量だ。
【出典】DESCHAMPS 社:https://defense.mobi-mat.com/

 
<DESCHAMPS>
DESCHAMPS社は、1860年に欧州で起業した高付加価値素材と地上移動装置の開発と製造を行う企業である。現在、オフィスはニュージャージー州(米国)とヌーヴェル=アキテーヌ(フランス)に置かれ、世界中で事業を展開している。AUSA 2024の展示ブースで製品の特長を聞いた。
 
1994年、同社グループとしてMobi-mat社が設立された。同社の主力製品である特殊マットは、耐久性に優れ、セットアップが最も簡単なソリューションとして認知されており、世界中の軍隊や災害対処チーム、航空機修理部門、工事関係者に使用されている。

 

AUSA 2024でのDESCHAMPSのブース
同社の特殊マットは大型で展示ができないためマットのサンプルや各国軍の導入例について説明を受けた。
【出典】NSBT Japan撮影



 【出典】Mobi-mat社:
https://www.mobi-mat-chair-beach-access-dms.com/ada-roll-out-walkway-access-mat/

 

マットは強靭な特殊ファイバーで作られている。
同社によると原料はペットボトル等、100%リサイクルポリエステルを使用。

    【出典】NSBT Japan撮影

 
Mobi-mat社が提供する代表的な特殊マット(軍用)は以下のとおりである。
  
<TAHEL™A2X ヘリパッド>
TAHEL™ A2XはMobi-mat社が開発したヘリコプター着陸マットである。最も要求性能の厳しい各国のヘリコプター部隊で20年以上使用されており、砂漠や湿地など不安定な場所に簡単にヘリパッドを設置できる。マットは耐久性が高く、CH-47チヌーク(最大離陸重量:25トン)やCH-53スーパースタリオン(最大離陸重量:33トン)など大型ヘリコプターの離発着が可能だ。


【規格】
重量 1.65kg/m²
寸法 4.2m×10mから50m×50m以上
梱包時 4.2m×10mのロール (重量 72 kg)
固定 杭、地盤アンカー
材質 3D特殊繊維
対環境機能(防砂、防塵、防雪)
 

「TAHEL™A2X ヘリパッド」は、ほとんどのヘリコプターの離発着が可能だ。
【出典】ETS A DECHAMPS ET FILS and DESCHAMPS MATS SYSTEMS INC.:
https://defense.mobi-mat.com/applications/helipad/

 
<BAM™ A2X 水陸両用着陸道路
BAM™ A2Xは、Mobi-mat社が開発したオリジナルの水陸両用マットである。この軽量な水陸両用着陸道路は、兵員により素早く展開することができ、少人数のチームでも仮設道路を敷設可能だ。 

        
【規格】
重量 1.65kg/m²
寸法 3.4m×10mまたは4.2m×10m
特注寸法
マット接続
固定 杭、地盤アンカー
材質 3D特殊繊維
対環境性能(防砂、防塵、防雪)
 
 
 「BAM™ A2X  水陸両用着陸道路」により水陸両用作戦の機動性は大きく向上する。
【出典】ETS A DECHAMPS ET FILS and DESCHAMPS MATS SYSTEMS INC.:
https://defense.mobi-mat.com/applications/amphibious-roadway/

 
 <TAMES™ FCR アルミ製重車両用道路
TAMES™ FCRは、最新世代の補強マットだ。最高強度を得るため高抵抗アルミニウム合金が使用されている。現在、TAMES™ FCRは究極の路面補強材となっており、重車両に使用される。敷設後は一般車両から重戦車まで、あらゆる車両が通行可能となる。

 
【規格】            
重量 31kg/m²
寸法 4.2m×25m(3,255kg) または 
4.6m×50m(7,820kg)
特注寸法
マット接続
材質 高耐久性アルミニウム合金
敷設方式 フロントローダー型ディスペンサー
トレーラー搭載型ディスペンサー
トラック搭載型ディスペンサー
対環境性能(防砂、防塵、防雪)
 

「TAMES™ FCR アルミ製重荷重用道路」は敷設後あらゆる車両が通行可能となる。
【出典】ETS A DECHAMPS ET FILS and DESCHAMPS MATS SYSTEMS INC.:
       https://defense.mobi-mat.com/applications/temporary-roadway/

 
【出典】
https://defense.mobi-mat.com/
 
https://www.mobi-mat-chair-beach-access-dms.com/ada-roll-out-walkway-access-mat/
 

 

                          
 
                                    

 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】レオナルド社など、イタリア空軍用ユーロファイター24機受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnnvipm3e 2024-12-27T17:00:00+09:00
イタリアで開かれた調印式
【出典】Leonardo社:
https://www.leonardo.com/en/press-release-detail/-/detail/23-12-2024-italy-places-order-for-up-to-24-eurofighter-typhoon-jets

イタリア防衛最大手レオナルド(Leonardo)社は12月23日、イタリア政府が空軍で就役中のトランシェ[1]1型のユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon)[2]を更新するため、最新型のユーロファイターを最大24機追加購入すると発表した。
 
この購入契約は、スペインが同月20日に「ハルコン(Halcon)II」計画の一環として25機のユーロファイターを購入する契約を結んだ後に締結された。
 
フランスの航空宇宙大手エアバス社、英国のBAEシステムズ社、そしてレオナルド社は、英国、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国からなるユーロファイターコンソーシアムの支援の下、同機の製造に携わっている。レオナルド社によると、コンソーシアムはNATOユーロファイター・トーネード管理機関(NETMA:NATO Eurofighter and Tornado Management Agency)とともに、イタリア空軍と今回の購入契約を結んだという。
 
新型機には、空対地ミサイル「ブリムストーン(Brimstone)
[3]III」や長距離空対空ミサイル「ミーティア(Meteor)」[4]を運用できる高度な兵装システムのほか、最新のアビオニクス[5]、新型センサー、改良された通信システムが装備される予定。
 
ユーロファイター社の最高経営責任者(CEO)、ジャンカルロ・メッツァナット(Giancarlo Mezzanatto)氏は「この7日間で、ユーロファイターの中核となる4カ国のうち2カ国が新たな契約を締結した。これは、自国空軍の近代化に対する明確な意欲を示すものであり、ユーロファイターが極めて重要な役割を担っていることを裏付ける」と指摘した。
 
レオナルド社のステファノ・ポンテコルヴォ(Stefano Pontecorvo)会長は「ユーロファイター計画が長年にわたって提供してきた技術レベルは、疑う余地がない。その成功は、産業界と研究機関の卓越した相乗効果を証明している」と強調した。

 
【注】
[1]トランシェ(Tranche:フランス語で「区分」の意):ユーロファイターは開発国向けに3段階に分けて生産されており、それぞれの段階ごとにスパイラル方式で近代化が進められる。この「トランシェ」は、各段階を指す用語である。 
[2]ユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon):NATO加盟国のうちイギリス、ドイツ(計画開始当時は西ドイツ)、イタリア、スペインのヨーロッパ4か国が共同開発した戦闘機。デルタ翼とコックピット前方にカナード(前翼)を備え、カナードデルタ(canard-delta)と呼ばれる形式の機体構成をもつマルチロール機である。 
[3]ブリムストーン(Brimstone):MBDA社が開発した空対地ミサイル。イギリス空軍が湾岸戦争の教訓から、スタンドオフ攻撃可能な対戦車誘導兵器を要求し、開発された。2005年からイギリス空軍に配備が開始されている。 
[4]ミーティア(Meteor):MBDA社が開発しているアクティブレーダー誘導の長距離空対空ミサイル。イギリス空軍、ドイツ空軍、スペイン空軍、イタリア空軍のユーロファイター、フランス空軍のラファール、スウェーデン空軍のサーブ グリペンなどに搭載可能で、視界外射程の空対空ミサイル(BVRAAM:Beyond-Visual-Range Air-to-air Missile)。 
[5]アビオニクス(Avionics):航空機に搭載され飛行のために使用される電子機器のこと。 


【出典】
https://www.leonardo.com/en/press-release-detail/-/detail/23-12-2024-italy-places-order-for-up-to-24-eurofighter-typhoon-jets
 
https://breakingdefense.com/2024/12/italy-inks-deal-to-buy-up-to-24-more-typhoons-leonardo-says/

 
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クライシスインテリジェンス管理者
DIMEレポート~2024年12月~ https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnhdg7ftv 2024-12-27T15:00:00+09:00
2024年12月26日
NSBT Japan エグゼクティブ・ストラテジスト
磯部 晃一

 
【今年の総括】
2024年、令和6年という年もまもなく幕を閉じようとしている。少し早いが、ここで今年のDIMEレポートを締めくくろう。今年は、元日に能登半島地震、翌2日には羽田空港での海保機と日航機との衝突事故という衝撃的な幕開けとなった。多くの読者が不吉な予兆を感じ取られたことであろう。
 
今年は政治の年、選挙の年でもあった。欧州はじめ、インド、韓国、日本でも国政レベルの選挙が行われ、その結果は与党が敗れるという連鎖が続いた。そして、選挙の締めくくりとして、11月には米市民が次期大統領を決める票を投じ、結果的にトランプ氏が2期目に返り咲くこととなった。12月には、韓国の尹大統領が非常戒厳という挙に出て国内の政治不安が一気に高まるとともに、北東アジア全体の安全保障にも影響を与えかねないインパクトをもたらしている。
 
ウクライナの状況は、一進一退の戦線が続いている。ロシア、ウクライナ両軍とも、兵員の不足が深刻である。ウクライナでは徴兵年齢が今年4月に25歳に引き下げられたが、それでも兵員不足は続いており、米国などからは徴兵を18歳まで引き下げるべきとの意見が出されている。ロシアにおいても、ウクライナとの戦争が特別軍事作戦であるという建前上、白系ロシア人を含む本格的な動員には踏み込めていない。
 
開戦から来年2月で丸3年となる。1950年6月に始まった朝鮮戦争が停戦したのは、1953年7月である。3年1か月で双方とも限界点 (culminating point)に達し、停戦の道を選んだ。おそらく、ゼレンスキー、プーチン双方とも、これ以上の血みどろの戦いを継続することは国家を瀕死の状態にしてしまうことに気付いている。そこにトランプ大統領が現れる、ということでおそらく年明けには、停戦交渉の機運が出てくるであろう。
 
世界は決して、平和や安定化あるいは協調の方向に向かっていないことがわかる。その中で、日本は幸いにも、極端な社会の分断や先鋭化した主義主張が跋扈(ばっこ)するようなことはなく、比較的安定して推移している。政治的には、少数与党の政権運営がいつ破綻するかは予断を許さない状況ではあるのだが。隣国では大変な状況となっている。
 
【尹大統領の乱心】
12月は初頭から波乱に満ちた月であった。3日夜、突如として韓国の尹大統領が非常戒厳を宣告した。その夜、筆者はBBCの速報で知り、Xにポストした。だが、日本のテレビ局やメディアの反応は極めて鈍かった。日本国民にとって、「非常戒厳って一体、ナニ?」という感覚であったのではないかと推察される。
 
筆者自身も、一体何のために非常戒厳を布告するのか、意味不明であった。外部からの侵害の可能性が非常に高まったのか、それとも内乱などの可能性がいきなり出てきたのか、さっぱりわからなかった。北朝鮮の軍事侵攻の兆候などは伝えられていないし、韓国国内で不穏な動きも報じられていなかったからである。尹氏が自ら不穏な行動を起こして危機を煽って、戒厳というオプションに行き着いたということになる。尹氏、金国防部長官などイエスマンのごく少数でこれを決したとすれば、由々しきことである。
 
しかし、考えようによっては、これに類似した事態は、今後のトランプ大統領のもとで米国でも起こり得るかもしれない。尹氏と同様に、トランプ氏はイエスマンで主要閣僚を固めて、さらに軍人の高官を交代させるかもしれないといううわさが出ている。尹大統領の今回の挙措は、こうした不安をかきたてるものである。
 
【シリア・アサド王朝のあっけない幕切れ
親子2代にわたって約半世紀続いたシリアのアサド独裁支配があっけなく幕を閉じた。アサド大統領は、ロシアのモスクワに亡命した。11月27日の反体制派の進軍からわずか2週間で首都ダマスカスがほとんど抵抗なく陥落したのだから、50年にわたるアサド父子による圧政はかくも脆いものであったことがわかる。24年間ルーマニアを統治したチャウシェスク大統領の末期、1989年の12月を彷彿とさせるものだ。その違いは、チャウシェスクが銃殺刑に処せられたのに対し、アサドが身内にも行動を秘匿してモスクワに逃げおおせたことである。
 
この状況をみて、金正恩は何を考えているだろうか。せっかくロシアと結んだ、いわゆる軍事同盟、ロ朝包括的戦略パートナーシップ条約に基づいて、朝鮮半島有事になったときに、ロシア軍は助けに来てくれるのか、という不安を覚えたことであろう。今のロシアは、軍事的にはウクライナとの戦闘で精一杯であり、シリアを軍事援助するなどできなかった。
 
【日中関係に要注意】
最後に日中関係。中国は、石破政権になってから秋波を日本に送っているかに見える。岩屋外相が訪中し、王毅外相、さらには李強首相にも会って、ビザの発給要件を緩和する。その同時期に、中国は与那国島の南方、日本のEEZ内に新たにブイを設置した。トランプ後の米中関係が厳しくなることを見越して、日本との関係改善を図ろうとしているように見えるが、中国の意図と行動を冷徹に確認して対応することが肝要だ。 
 
今年一年間、DIMEレポートをご愛読くださり、誠にありがとうございました。どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。

【2025年1月以降の主要予定】

2025年 日韓国交正常化60周年
1月 EU理事会議長国にポーランドが就任
中旬 石破首相訪米、トランプ氏と面談か?
20日 第47代米大統領にトランプ氏が就任
20~24日 日世界経済フォーラム(スイス・ダボス)
24日 通常国会召集
2024年2月 独連邦議会(下院)選挙
東京都議選
7月20日頃 参議院選挙
秋まで カナダ総選挙

【12月の主要事象】
※冒頭の丸英字は、Ⓓ外交、Ⓘ情報、Ⓜ軍事、Ⓔ経済、Ⓣ技術、Ⓟ政治を意味する。
1日 Ⓟ台湾総統、ハワイ訪問。続いて、3日マーシャル諸島、4日ツバル、5日パラオを訪問。
3日 ⓅⓂ尹韓国大統領、野党多数の国会が行政をマヒさせているとして「非常戒厳」を宣言
4日 Ⓟ尹氏、非常戒厳を解除すると発表。
4日 Ⓜ米軍、在日米宇宙軍司令部を横田基地に創設。
4日 日スウェーデン首脳会談(東京)、両国関係を「戦略的パートナー」に格上げで一致。
5日 北朝鮮とロシアの「包括的戦略パートナーシップ条約」が発効
5日 Ⓟ仏バルニエ首相、マクロン大統領に辞表提出。
5日 Ⓣ米オープンAI、防衛技術を開発する米新興企業アンドゥリル・インダストリーズと提携。
5日 Ⓜシリア反体制派、北部アレッポに続いて、中部ハマを制圧。
5日 Ⓟマスク氏、歳出削減のための政府効率化に関する米連邦議会議員との初会合を開催。
5日 ⒾEU欧州委員会、動画共有アプリ「TikTok」の監視を強めると発表。
7日 Ⓟトランプ次期大統領、ゼレンスキー大統領とマクロン仏大統領と3者会談(パリ)。
8日 ⓅⓂシリアの反体制派がダマスカス制圧、アサド政権は崩壊。アサド大統領はロシアに亡命。反体制派を率いるシャーム解放機構(HTS)は国際テロ組織アルカイダが源流。
10日 Ⓜ台湾当局者の話、中国が過去最大規模計100隻近くの軍艦と中国海警局の船を第1列島線(九州沖-沖縄―台湾―フィリピン)周辺に展開
10日 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞(オスロ)。
日本の平和賞受賞は1974年の佐藤栄作元首相以来、50年ぶり。
10日 ⒹⓂ石破首相、中谷防衛相がそれぞれオースティン米国防長官と会談(東京)。オースティン氏は「日米同盟はかつてないほど強固だ」と述べた。
10日 イスラエル軍が隣国シリアとの「緩衝地帯」から前進し、シリア領内で軍事活動
10日 Ⓔ米ブルームバーグ通信、バイデン米大統領が日本製鉄のUSスチール買収を阻止する方針を固めたと伝える。
10~12日 Ⓜ拡大抑止に関する日米実務者協議を開催(東京)。
12日 ⓅⓂ尹大統領、国民向け談話で「3日夜の非常戒厳宣言は正当な措置だった」と訴える。
12日 日経報道 ⓂⓉ防衛装備庁の防衛イノベーション科学技術研究所と米国防総省の研究機関「国防イノベーションユニット」(DIU)は共同で日本企業が持つ技術を発掘する事業を始める。「日米グローバルイノベーションチャレンジ」と名付け、優秀な企業に賞金を授与する。
13日 ⒺⓂ自民、公明両党、防衛力強化のための増税のうち、所得税について増税開始時期の決定を先送り。法人、たばこ両税は26年4月からの増税開始の方針が決まる。
13日 Ⓜ中国国防相、人民解放軍による台湾周辺での演習の有無について明言を避ける。呉謙報道官が記者の質問に答える形で「演習をするかどうか、いつするかは必要性や情勢に基づいて我々が自主的に決める」と説明。
14日 韓国国会、2度目で尹大統領の弾劾訴追案を可決。尹氏は職務停止、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行。
14日 日報道(日経) ⓅⓂフランスや英国など欧州の一部の国々で、ウクライナに平和維持軍を派遣する案が浮上。「欧州とウクライナを紛争の再発から守る解決策についてフランスと協力する」と、ポーランドのトゥスク首相は12日、訪問した仏のマクロン大統領との共同記者会見で強調。
15日 英国、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)に加盟。参加国の拡大は2018年のTPP発足後初めてで計12カ国となる。
15日 安倍昭恵夫人、トランプ次期大統領と夕食会(フロリダ)。
16日 Ⓜ米ホワイトハウスのカービー大統領補佐官、ウクライナの戦闘に参加する北朝鮮兵について「かなりの犠牲者が出ている」と述べる。
18日 Ⓜ米国防総省、中国の軍事力に関する年次報告書を公開、中国が2024年時点で600発以上の運用可能な状態の核弾頭を保有したと指摘。
18日 Ⓣ宇宙スタートアップのスペースワンの小型ロケット「カイロス」2号機、打ち上げ失敗。
19日 ゼレンスキー大統領、ロシア産ガスを自国経由で欧州に運ぶパイプラインを巡り、ロシアとウクライナの国営ガス会社間の通過契約を延長せず輸送を停止する考えを改めて表明。
19日 Ⓟプーチン大統領、年末恒例の大型記者会見。ウ侵攻について、「目標達成に向け前進」。
20日 ⓅⓂ石破首相、第4回自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を開催。
23日 Ⓔ内閣府の国民経済計算の年次推計、1人あたり名目GDPで日本22位、韓国に逆転許す。2023年の1人あたり名目国内総生産(GDP)は3万3,849(前年比▼263)ドル(約535万円)だった。韓国(3万5,563ドル[約562万円])に抜かれ、経済協力開発機構(OECD)加盟国38か国中22位に後退。
25日 岩屋外相、李強首相、王毅共産党政治局員兼外相と会談(北京)。中国人向け査証(ビザ)の発給要件緩和を表明。
26日 ⒹⓂ林官房長官、記者会見で与那国島南方の日本のEEZ内に中国がブイ設置を認める。
26日 Ⓓ韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表、駐韓日本大使と面会し「私は日本に対する愛情がとても深い」と述べる。
※1ドル=158円換算
 
11月のDIMEレポートはこちら
 

磯部晃一(いそべ こういち)

現在、戦略家として国内外で活動。川崎重工業㈱戦略コンサルタント、NSBT Japanエグゼクティブ・ストラテジスト、国際安全保障学会理事等に就任。
 

また、防衛省の統合幕僚学校等の招へい講師として統合運用、日米同盟、戦略等に関する講義を担任。ハーバード大学アジアセンター(2017~19年)及びアジアパシフィック・イニシアティブ(2017~21年)の上席研究員を歴任。

 

1980年防衛大学校(国際関係論専攻)卒業と同時に陸上自衛隊に入隊。ヘリコプター・パイロットとして勤務。その後、陸上幕僚監部防衛課長、中央即応集団副司令官、統合幕僚監部防衛計画部長、第7機甲師団長、統合幕僚副長などを歴任、2015年東部方面総監を最後に退官。


米海兵隊大学(1996年)で軍事学修士、米国防大学(2003年)で国家資源戦略修士を取得。著書として『トモダチ作戦の最前線:福島原発事故に見る日米同盟連携の教訓』(2019年、日本防衛学会猪木正道特別賞受賞)、『米国防大学に学ぶ国家安全保障戦略入門』(2023年9月)がある。




 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ティッセンクルップ社、212CD型潜水艦4隻を追加受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnzv6xn4a 2024-12-27T10:00:00+09:00
212CD型潜水艦
【出典】ThyssenKrupp Marine Systems社:
https://www.thyssenkrupp-marinesystems.com/en/newsroom/press-releases/press-detail-page/record-order:-thyssenkrupp-marine-systems-granted-order-expansion-in-the-212cd-program-291087

ドイツの軍用造船大手ティッセンクルップ・マリン・システムズ(ThyssenKrupp Marine Systems)社は12月19日、ドイツ連邦政府が同社に212CD 型潜水艦4隻を追加発注し、調達数が合計6隻になったことを発表した。この取り組みはノルウェーとの共同調達の一環である。ドイツ国防省によると、ノルウェーもすでに発注済みの4隻に加え、さらに2隻の潜水艦を同社から購入する予定だという。
 
両国は2021年、ティッセンクルップ社から約55億ユーロ(約8,965億円)相当の212CD型潜水艦6隻を共同購入する計画を発表していた。ドイツ連邦軍によると、一連の追加発注で、両国は将来的にそれぞれ6隻の新型潜水艦を保有する可能性があるとしている。
 
ティッセンクルップ社のオリバー・ブルクハルト(Oliver Burkhard)CEOは声明で「世界で最も近代的な通常型潜水艦の追加発注により、ドイツ政府が再び当社を信頼してくれたことを嬉しく思う」とし、「当社は、ドイツとノルウェーの間で戦略的に重要なこのプロジェクトを通じ、時代の変化と防衛力の強化に対して多大な貢献をしている」と強調した。
 
ドイツ連邦軍調達局のアネッテ・レーニッヒ=エムデン(Annette Lehnigk-Emden)局長は「ノルウェーとの協力は、とりわけNATOの北側における国防と同盟防衛の観点から、両軍に新たな展開の機会を提供するだろう」と述べた。
 
212CD潜水艦は全長約74m、全幅10m、水上排水量は約2,500トンとなる見込み。同艦は、ドイツ海軍で運用中の212A型潜水艦
[1](全長約58m、排水量1,500トン)を基にしている。
 
ティッセンクルップ社は2023年9月に生産を開始しており、ドイツ海軍向けの6隻は2032年から2037年にかけて毎年1隻ずつ納入される予定だ。一方、ノルウェー海軍は早ければ2029年に新型潜水艦の初号機を受領する計画となっている。
 
※1ユーロ=163円で換算

 
【注】
[1]212A型潜水艦(ドイツ語:U-Boote der Klasse 212):ドイツが開発した非大気依存推進(AIP)システム搭載の通常動力型潜水艦。ドイツ海軍のほか、イタリア海軍で運用されている。
 

【出典】
https://www.thyssenkrupp-marinesystems.com/en/newsroom/press-releases/press-detail-page/record[…]granted-order-expansion-in-the-212cd-program-291087
 
https://www.defensenews.com/global/europe/2024/12/19/germany-triples-submarine-order-to-six-boats-in-joint-buy-with-norway/
 
https://www.presseportal.de/pm/147341/5934549
 
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クライシスインテリジェンス管理者
AUSA 2024 企業レポート(その5): 高性能レーザー照準器「Wilcox」 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnameo22p 2024-12-26T17:00:00+09:00
Wilcox社ブースにて高性能レーザー装置「RAPTOR」の説明を行う販売サービス代表Stanfield氏
【出典】NSBT Japan撮影

 
Wilcox社
1982年、ニューハンプシャー州ニューイントンに設立されたメーカーWilcox社は、軍や法執行機関向けの高度な戦術装備を設計・製造している。代表的な製品には、「NVGマウントシステム」「レーザーシステム」「ライフサポートシステム」などがあり、特に暗視ゴーグルのマウントやレーザー照準器など、特殊作戦や緊急対応の装備で高い評価を得ている。
 
同社は最先端の技術を取り入れた製品開発に力を入れており、高品質な製品を迅速に提供できる体制を整え、ユーザーのニーズに応じたカスタム製品の提供にも対応。26カ国以上の軍や法執行機関に対し最高性能の装備を供給している。
 
<AUSA2024における展示装備>
「RAID Xe」
Wilcox社は光学装置とレーザー照準器の分野で改革を続け、2023年に新型レーザー照準装置「RAID Xe」を発表した。この装置は、近接戦闘(CQB:Close-Quarters Battle)から遠距離射撃まで、移動しながら目標を正確に捉える柔軟性を求められる戦闘員のニーズに応える設計となっている。
 
RAID Xeは赤外線レーザーを放射し、ピンポイントで目標を捕捉するだけでなく、赤外線イルミネーターを使って広範囲の捜索も可能だ。また、近接戦闘用に広角LEDライトを装備しており、廊下や部屋などをチェックし、安全を確保できる。
 
この装置の光学ベンチには、可視レーザー(VIS)、近赤外レーザー(NIR)、NIRイルミネーターが搭載され、一体化されている。このため、ウィンデージ(左右)とエレベーション(上下)は1回でベンチ全体の調整が可能であり、各レーザーやイルミネーターの個別調整は不要だ。

 

 近接戦闘(CQB)で特に効果を発揮するRAID Xe」(赤枠)

  【出典】NSBT Japan撮影


【出典】
Wilcox Industries:
https://wilcoxind.com/products/combat-systems/laser-aiming-devices/product_combat_raid-xe

 
「RAPTAR Xe」
また、これまで高速ターゲティング装置として評価が高かった「RAPTAR S」をさらに高性能かつコンパクトに改良した「RAPTAR Xe」も発表した。この新モデルは1,800m先の目標を正確に捉え、複雑な弾道計算を瞬時に処理することが可能で、射撃手(以下、オペレーター)は、簡単に精密な長距離射撃を行えるようになる。
 
任務中に環境が変化することは避けられない。例えば、霧や降雨によって空気中の粒子が増加すると、長距離の射撃において正確な照準は困難になる。しかしオペレーターはRAPTAR Xeのさまざまなレーザーの設定や拡散角の調整を行うことで、変化した環境に適応した射撃データを取得できる。
 
これはRAPTAR Xeが温度、気圧、湿度、方位データを基に弾道計算を行うことによる。さらにBluetoothを通じて風速と風向を入力することで弾道を正確に求めることもできる。この機能により、人間に対し約2,000m、車両などのターゲットについては最大3,000mまで、高精度の射撃が可能である。

 

遠距離における初弾命中率を大きく向上させる「RAPTAR Xe」(赤枠)
  【出典】NSBT Japan撮影


【出典】 Wilcox Industries:
https://wilcoxind.com/products/combat-systems/laser-aiming-devices/raptar-xe-high-power

 
「MRF Xe」
「MRF Xe」は、人間の目に対する影響が少ないクラスの3Rレーザーを使用した次世代の精密測距装置(マイクロレンジファインダー)である。この装置は、軍用および法執行機関向けに設計されており、従来の類似装備と比べて性能が大幅に向上し、さらに軽量化されている。
 
内蔵されたBluetooth機能により、他の照準システムとの接続が簡単に行える設計になっていて、火器や弾丸の情報はペアリングされたモバイルデバイスを通じてMRF Xe に入力できる。
 
MRF Xe は、センサー装置(風力計等)からの環境データとレーザー距離計からの距離データを統合し、オペレーターに弾道データを表示する。内蔵された赤色レーザーとレーザー距離計は、荒天などの厳しい条件下でも安定して動作するよう、堅牢な光学ベンチ内に収納されている。
 
さらに市販されているさまざまな照準器と互換性があり、選択した照準器に正確な弾道データを提供し、射撃能力を最大化することが可能だ。

 

  「MRF Xe」は「RAPTAR Xe」より安価ながら弾道計算機能も搭載されている(赤枠)
   【出典】NSBT Japan撮影


【出典】 Wilcox Industries:
https://wilcoxind.com/products/combat-systems/fire-control-systems/mrf-xe

 
「RAAM GSS」
「RAAM GSS」は、米国陸軍の「M-320」てき弾発射機の照準器で、輸出可能な装備である。軽量設計が特徴で、2ポジションの弾薬切り替えにより、選択した弾薬に応じた照準を自動調整する。
また、照準用NIRレーザーと捜索用NIRイルミネーターを搭載しており、暗視ゴーグルと組み合わせて運用できる。

 

てき弾射撃に習熟していない兵士も命中率が大きく向上する「RAAM GSS」
【出典】NSBT Japan撮影


【出典】 Wilcox Industries:
https://wilcoxind.com/products/combat-systems/fire-control-systems/product_combat_raam-gss

 
「各種マウント」   
Wilcox社は、レーザー装置だけでなく、暗視装置の取り付け技術においても業界をリードするパイオニアである。特殊部隊や空挺部隊が過酷な状況で暗視装置を使用する際、同社の視装置取り付けシステム(シュラウド、マウント、ブリッジ)は、安定性と信頼性の高さで定評があり、特に「G24」は兵士に最も支持されているナイトビジョンマウントだ。このマウントの特徴は、空挺降下、空中機動作戦などワイヤーが絡まりやすい状況でも安心な「ブレークアウェイ」(緊急取り外し)機能である。これにより兵士は首の損傷を未然に防ぐことが可能だ。

Wilcox社の各種マウント
特に暗視装置の緊急取り外しができる「G24」(赤枠)は人気がある

【出典】NSBT Japan撮影
 
【参考】
https://wilcoxind.com/products/combat-systems/laser-aiming-devices
 
https://wilcoxind.com/products/mounting-systems

 

 
 

 
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クライシスインテリジェンス管理者
オーストラリアが次期フリゲート艦最終候補を絞り込み https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnkinfmkx 2024-12-26T16:00:00+09:00
日本の「もがみ」型護衛艦とドイツのフリゲート艦「MEKO A-200」、オーストラリア海軍の「アンザック」級、「ホバート」級、「ハンター」級フリゲート艦の全長比較
【出典】Asian Military Review:
https://www.asianmilitaryreview.com/2024/12/australia-narrows-down-future-frigate-selection/

 
オーストラリア国防省は、11月25日、100億豪ドル(約9,800億円)規模の汎用フリゲート艦調達計画「SEA 3000」において、老朽化した「アンザック」級フリゲート艦の後継となる艦艇の開発最終候補者として、国外の造船会社2社に絞り込んだと発表した。

オーストラリア国防省によると、当初5社あった造船会社から最終候補に残ったのは、「もがみ」型護衛艦を開発する日本の三菱重工業(MHI)と、フリゲート艦「MEKO A-200」を開発するドイツのティッセンクルップ・マリンシステムズ(TKMS)の2社である。

オーストラリア国防省は、新型フリゲート艦は、地域防空のほか、水中戦にも対応するよう設計される予定だと付け加えた。また同省によると、開発が計画されている11隻のフリゲート艦のうち最初の3隻は入札で選定された事業者の国で建造し、残りの艦船は西オーストラリア州ヘンダーソン造船所にあるオーストラリア政府のヘンダーソン新規防衛地区で同国の製造業者により建造される予定である。
 
オーストラリア国防省は、「もがみ」型護衛艦とフリゲート艦「MEKO A-200」を最終候補として進めるという決定は、このフリゲート艦の設計がオーストラリアの能力要件に最も適合する可能性が高いと判断した同省による厳格な評価に基づくものであると述べた。また同省は、各設計をオーストラリア海軍向けに進展させるため、造船会社2社と緊密に協力していくことも明らかにした。
 
さらに、最初の「SEA 3000」フリゲート艦は、2030年までに納入される予定であるとも付け加えている。
 
「汎用フリゲート艦調達プログラムがこれまで迅速かつ加速的に進められたという事実は、次期調達を下支えするものであり、この能力が2030年までに提供されることを確実にする。これにより、オーストラリア海軍に強化された対潜水艦および対空戦能力がもたらされる」と、パット・コンロイ国防産業・能力提供担当大臣は述べた。
 
日本の防衛装備庁は、海上自衛隊が現在使用している「もがみ」型護衛艦の新規改良型を開発する主契約者と下請け業者として、それぞれ三菱重工業とジャパン マリンユナイテッド(JMU)を選定していた。
 
防衛装備庁は2023年8月、新型FFMは全長が約142m、全幅が約17mと、より大型化し、基準排水量も約4,500トンに増加すると発表。しかし、三菱重工業は以前、標準負荷時の排水量は約4,880トンになると述べている。
 
これに対し、海上自衛隊の現在の「もがみ」型護衛艦は、全長132.5m、全幅16.3m、基準排水量約3,900トンである。
 
ドイツのMEKO型海軍戦闘艦艇の設計は、1980年代以降アルジェリア、ブラジル、南アフリカ、ポーランドなど世界各国の海軍で運用されている。また、オーストラリア海軍とニュージーランド海軍の「アンザック」級フリゲート艦も「MEKO 200」型のプラットフォームをベースとしている。
 
「MEKO A」型には、1,650トンの多目的コルベット「MEKO A-100」と、3,500トンのフリゲート艦「MEKO A-200」がある。改良点には、ペイロードのステルス性向上、モジュラー型アーキテクチャ、先進的な推進システムの採用などがある。
 
※1豪ドル=98円換算

  
 
著者: Jr Ng
 
 
本記事は、アジア太平洋地域で最大の発行部数を誇る防衛専門誌「Asian Military Review」に掲載されたものである。同誌はアジア太平洋地域の防衛関係者だけでなく、その他何千人もの専門家にも選ばれており、NSBTジャパンは2024年4月よりAsian Military Reviewとの記事交換を開始した。
 原文はこちら
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(発表)】スイスのデュフール社、山岳救助でのドローン活用でツェルマット社と連携 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fncfvioit 2024-12-26T15:00:00+09:00
デュフール・エアロスペース社のティルトウィング型ドローン
【出典】Dufour Aerospace社: 
https://www.dufour.aero/post/aviation-faces-a-challenge-were-solving-it

 
スイスの航空宇宙メーカー、デュフール・エアロスペース(Dufour Aerospace) 社[1]は12月16日、山岳地帯での救助活動で世界的に知られる企業のエア・ツェルマット(Air Zermatt)社[2]と連携協定を締結したと発表した。両社は今後3年間、山岳救助活動におけるドローンを用いた貨物配送に関する試験を実施していく。
 
両社のパートナーシップでは、特にスイス南部に位置するヴァレー州の険しい山岳地帯における救助活動の改善に、ドローンの活用を模索することを目的としている。
 
ツェルマット社のダニエル・アウフデンブラッテン (Daniel Aufdenblatten ) CEOによれば、ドローンは顧客のためにパフォーマンスを向上させ、環境への影響を減らす重要な手段であり、「デュフール社(のドローン)は当社の目標を完璧にサポートしてくれる」と述べた。
 
3年間の試験プログラムで、デュフール社とツェルマット社は、救助活動におけるドローンの使用に関するさまざまなシナリオを分析およびテストすることとなる。プログラムの包括的な目的は、ヴァレー州の住民に対する安全の提供を向上させることだ。
 
アウフデンブラッテンCEOは、昨年の夏にスイスのマッター渓谷(Matter Valley)とザースタール渓谷(Saastal valley)で起こった道路や鉄道が遮断されたトラブルを挙げ、「そのような状況では医薬品などの必需品を輸送するのにドローンが最適だ」と指摘する。さらに「地形分析用のセンサーを搭載したドローンも貴重である」と述べた。
 
‍デュフール社とツェルマット社にとって山岳地帯の住民は身近な存在であり、ドローンの使用には大きな商業的可能性があるとの共通の価値観を共有している。両社ともヴァレー州に拠点を置き、デュフール社の創設者の1人である トーマス・ファンマッター (Thomas Pfammatter)氏に至ってはツェルマット社でヘリコプターのパイロットとして働き続けている。
 
デュフール社のサッシャ・ハーデガー(Sascha Hardegger)CEOは「今後、住民や多くのパートナー、利害関係者と協議する必要がある。また、スイス当局と協力し、各種試験とドローンの通常運用の両方の認可を獲得する方法を見つけていきたい」と語る。
 
共同テストの一環として、デュフール社は、ヘリコプターとドローンを互いに危害を及ぼすことなく共同で使用する方法も検討している。飛行機やパラグライダーなど、他の手段も同様という。
 
ツェルマット社のヘリコプターと連携するために、デュフール社のティルトウィング型ドローン
[3]には高い要求が課せられている。特にスイス南部の高度、周囲の地形は大きな課題だ。
 
【注】
[1] デュフール・エアロスペース(Dufour Aerospace)社:スイスのチューリッヒに拠点を置く航空宇宙メーカー。eVTOL(空飛ぶクルマ)の開発などでも有名。
 
[2] エア・ツェルマット(Air Zermatt)社:スイスのツェルマットに本拠地を置く民間航空会社。主に山岳地帯での救助活動や空輸事業を行う。
 
[3] ティルトウィング型ドローン : 垂直離陸後に翼の傾きを変えて飛行することが可能な形状のドローン。
 
【出典】
https://www.dufour.aero/post/dufour-aerospace-partners-with-air-zermatt-to-pioneer-drone-use-for-emergency-services
 
https://www.air-zermatt.ch/en/news/cooperation-with-dufour-aerospace-for-the-use-of-drones-394


 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】仏海軍、エクセイル社の無人水上艇「DriX H-8」を選定 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnbt9supi 2024-12-26T10:00:00+09:00
無人水上艇(USV)「ドリックス(DriX) H-8」
【出典】Exail 社:
https://www.exail.com/the-shom-chooses-the-drix-h-8-usv-to-strengthen-its-hydrographic-capabilities/

 
フランスの海洋技術企業エクセイル(Exail)社は12月16日、フランス海軍水路部(SHOM:Service Hydrographique et Océanographique de la Marine)が、同社開発の無人水上艇(USV)[1]「ドリックス(DriX) H-8」[2]の導入を決定したと発表した。
 
民間および軍事目的の両方において、信頼性の高い海洋データに対する需要の高まりに対応するための導入で、SHOMの近代化における戦略的な節目を示している。
 
ドリックス H-8は、海底の地形や地質構造の分析、沈没船の探知など、多様な海洋調査業務に従事するほか、洋上風力発電所開発の予備調査でも重要な役割を担う。収集されたデータにより海洋環境の理解を深めることができ、深海域を含むとりわけ広範な領域での調査能力を拡大することが可能だ。そのため、ドリックスH-8は、より迅速かつ的確な意思決定のための戦略的資産として位置付けられている。
 
また、24時間365日稼働するように設計されており、厳しい条件下でも調査をする上での障害を最小限に抑え、データ品質を最適化する革新的なエンジニアリングにより、高精度の調査を実現する。
 
これらの性能は、2020年のフランスのブレスト沖や、2023年のリオン湾で、SHOMが水中海洋観測船「ボータン・ボープレ(Beautemps-Beaupré)号」を用いた試験でも検証された。この試験中、ドリックス H-8は厳しい海洋環境で、その有効性を実証するとともに、信頼性の高いデータを提供し、従来の測量・調査船を上回る性能を証明した。
 
エクセイル社のフランス部門営業マネージャー、ピエール=ルイ・ルダウ(Pierre-Louis Roudaut)氏は「今回の受注は、フランスの卓越した技術に対する信頼と、明日の課題に対応するため、海洋測量能力を近代化しようとするSHOMを支援する当社の力を反映している」と述べた。
 
SHOMの統括部長、ローラン・ケルレゲール(Laurent Kerléguer)氏は「エクセイル社が製造するドリックスH-8は、私たちの測量データ収集の変革において重要な役割を果たす」と強調した。

 
【注】
[1]無人水上艇(USV:unmanned surface vehicle):人が搭乗しない乗り物または輸送機械を指す無人機の中で、特に水上で活動する機体を指す。操縦も機械が自律的に行う場合と、人間が遠隔操作で行う場合とがある。
[2]「ドリックス(DriX) H-8」:エクセイル社が開発した中距離USV。ドリックス型はいずれも遠隔操作と監視付きでの自律操作が可能。全長7.71m。
 

【出典】
https://www.exail.com/the-shom-chooses-the-drix-h-8-usv-to-strengthen-its-hydrographic-capabilities/
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/sea/frances-shom-selects-exails-drix-h-8-usv

 
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クライシスインテリジェンス管理者
国連とユース(youth):安全保障分野におけるフューチャー・デザインとは https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnisnsr29 2024-12-25T15:00:00+09:00 在米国連ウォッチャー
 

核実験に反対する国際デーに際し、ユース代表として国連総会で演説する倉光氏
【出典】国際連合:https://media.un.org/photo/en/asset/oun7/oun71060857

 
1 初めに
本年9月22日から23日にかけて、各国首脳らが参加する国連総会の一般討論演説に先立ち、国連未来サミット(Summit of the Future)がニューヨークの国連本部にて開催された。このサミットの目的は、よりよい未来を創るために現在の各種コミットメントを達成する努力を加速すること、そして新たな危機に対処し、新たに生まれた好機を活用することとされる
[1]。特にこのサミットやここで採択された政治文書において強調されているのは、将来世代とユース(youth)である。その理由は、当然ながら、「現代世代の意思決定、行動すること、或いは行動を起こさないことは、世代を超えた影響をもたらす」[2]からである。
 
そこで、本稿では、この未来サミットでも強調された、ユースと国連の関わりについて概観していく。ユースを巡る問題は、国連の三本柱である開発、平和と安全、人権の全てにまたがるが、今回は特に平和と安全に関する事項を中心に見ていくこととする。なお、国連の文脈ではユースとは15歳から24歳までの人々を指し、現在世界に12億人おり、人口の16%を占めるとされる
[3]。また、将来世代というとき、まだこの世に存在していないものの、この先地球を引き継ぐ世代全てを指す[4]
 
2 国連におけるユースの重要性と「未来のための協定」
国連創設以来、ユースという言葉ではなくとも、将来の世代の重要性は繰り返し言及されている。何より、国連憲章の前文の冒頭に述べられている国連の目的は、「戦争の惨害から将来の世代を救」うことであり
[5]、また、SDGsとして知られる持続可能な開発目標を述べたいわゆる2030 Agendaでは、「現在と将来の世代の必要を満たすために…地球を守ることを決意する」[6]と述べられている。この他にも、ユースの重要性は国連総会決議などで繰り返されており、特にそのアイデアや想像力、エネルギーが社会の発展のために大きな役割を果たすことが認められてきた[7]
 
そして、本年9月に国連本部で開催されたのが国連未来サミットである。ここでは各国の首脳らがニューヨークに集まり、大国間の対立や気候変動、新興技術の急激な発展などの課題に対し、これまでのアプローチでは対応できず、多国間協力を強める必要が強調された。その成果文書として採択されたのが「未来のための協定(Pact for the Future)」
[8]であり、付属文書として「グローバル・デジタル・コンパクト(Global Digital Compact)」と「将来世代に関する宣言(Declaration on Future Generations)」も併せて採択された。
 
まず、「未来のための協定」は、前文の後、56個の具体的な行動によって構成されている。それらは、持続可能な開発、国際の平和と安全、科学技術・イノベーション・デジタル協力、ユースと将来世代、そしてグローバルガバナンスの変容の5項目に分けられ、特にユースの項目では、ユースを国家、国際レベルでの意思決定に参加させることやユースの教育・人権に十分な投資をすることが強調されている。また、グローバルガバナンスでは、安全保障理事会を始めとする国連システムの改革へのコミットメントが記載された。国際の平和と安全に関しては、後の章で概観する。
 
付属文書の2つに関して言えば、「グローバル・デジタル・コンパクト」は、急激に発展する新興技術が様々な課題を解決する可能性をもたらす一方で大きなリスクも伴うことを認識し、それを予見し、軽減するための行動や指導原則を挙げている
[9]。そしてもう1つの「将来世代に関する宣言」は、前文、指導原則、コミットメント、具体的な行動の4つの章から構成され、国際平和への課題、気候変動、人口変動のトレンドの変化、人権保障の状況や男女間格差、教育格差などを踏まえ、「現代世代の意思決定、行動すること、或いは行動を起こさないことは、世代を超えた影響をもたらす」ことを認識し、政策決定において将来世代を考慮に入れることを求めたものであった[10]。これに加え、この実行状況の確認のため、今から4年後の第83回国連総会において、将来世代に関するハイレベル会合を行うことを決定している。
 
以上が未来サミットについての非常に簡潔な概観である。それでは、より具体的に、国連の一丁目一番地でもある安全保障の分野において、どのようにユースに関する取り組みが行われているかを見ていこう。
 
3 安全保障等分野におけるユースの取り組み
ユースのために国連が行っている安全保障の取り組みなどは無数に存在するが、今回はその中でも特に次の3点に絞って紹介する。まず「未来のための協定」における国際の平和と安全に関するコミットメント、次に日本政府が資金拠出し、国連が運営しているユース非核リーダー基金、最後に、2024年の核実験に反対する国際デー(8月29日)における各国代表による演説の際に、市民社会及びユースを代表して倉光静都香氏が行った演説である。
 
(1)「未来のための協定」におけるコミットメント
[11]
協定の中の国際の平和と安全のための具体的行動は、国際社会の緊張緩和から紛争時の市民の保護に関するものまで多岐にわたる。ユースに関するもので言えば、女性・平和・安全保障(WPS)に関するものと並び、ユース・平和・安全保障(YPS)アジェンダにおいて、ユースを意思決定プロセスに関与させるための具体的行動を取ること等が強調されている。また、テロリズムのない世界に向けた行動の中には、特にテロ組織の新興技術の使用を防ぐこと、ユースなどに対するリクルートを阻止すること等が記載されている。
 
核軍縮に関する事項では、5核兵器国による「核戦争に勝者はない」という宣言が強調され、十数年ぶりに多国間での合意文書として核兵器の廃絶へのコミットメントを再確認した。また、化学兵器や生物兵器がテロ組織に拡散する危険性に言及されるとともに、自律型致死兵器システム(LAWS)を始め、新興技術が軍事分野に応用されること、そしてその速度に国際的規制が追い付いていないことへの懸念も表明されている。
 
総じて、「未来のための協定」の、特に国際の平和と安全に関する事項は、安全保障上の課題における国連・国際社会の取り組みの現在地を描き出し、これに対処できなければユースや将来世代が引き継ぐべき平和な地球そのものが存在できないことを強調した文書と言えよう。勿論これがそのまま難なく実行されるはずはないものの、地政学的対立が高まる中、大国を始め加盟国が一堂に会し、国際社会の現状と進むべき方向に関して合意し得たことは価値があるものと言えるだろう。
 
(2)ユース非核リーダー基金
ユース非核リーダー基金(Youth Leader Fund for a World without Nuclear Weapons)は、2022年の核不拡散条約運用検討会議において、当時の岸田首相が立ち上げを表明したヒロシマ・アクション・プランの一環である。日本政府から国連に約10億円を拠出し、2023年から2030年までの間にわたり国連が運営することになっている。全世界からユースを選抜し、オンラインのコースでのディスカッションによる知識の付与と、選抜されたユースを広島、長崎に招待することで被爆の実相などを学ばせるとともに、将来のリーダーたちに世界の非核化のためのネットワークを築くことが目標とされる
[12]。 第一期は、国連が全世界から100名のユースを選抜し、2023年末から開始された[13]。特に初回のオンラインミーティングでは、当時の岸田首相がビデオメッセージを送るなど、広島出身の首相らしい気合の入り具合が伺える。
 
この第一期生のうち更に選抜された50名は、2024年夏に広島、長崎、東京を訪問し、被爆者講話への参加や平和公園の訪問、首相補佐官など政府関係者との意見交換などを行った
[14]。そしてその成果文書として採択されたのが、行動宣言(DeclaACTION)である。この宣言においてユースたちは、被爆(被ばく)者と地域コミュニティの非核化プロセスに関与させること、ユースの政治参加を増進すること、そして研究機関と連携を強め、証拠に基づいた非核化の主張を強めることへのコミットメントを表明した[15]
 
このプログラムは2030年まで更に3回実施される予定であり、将来各国の政策決定に携わっていくであろうユースらに、被爆の実相や核兵器の悲惨さを伝える意義は大きいだろう。勿論即効性があるものではなく、その点では少なくない金額を国連に出して実行させたということに批判的な意見もあるかもしれない。しかし、そもそもユースに対する投資というものは総じてそのような性質であるとも言え、将来の日本の安全保障環境を優位にするための戦略的な投資であるとも言えよう。
 
(3)核実験に反対する国際デーにおけるユース代表者演説
最後に紹介するのは、国連総会の場においてユースの意見を反映した取り組みである。2009年の国連総会において、8月29日は核実験に反対する国際デーとして指定された。この日はカザフスタンにあった旧ソ連のセミパラティンスク核実験場が閉鎖された日であり、核実験により被ばくの憂き目に遭ってきた
[16]カザフスタンが主導して実現した[17]
 
この日を記念して、毎年その前後の日程で国連総会では会合が行われている。今年市民社会及びユース代表として発言したのは、米国ワシントンDCに所在するシンクタンクである軍備管理協会(Arms Control Association)の研究助手を務める倉光静都香氏である。倉光氏は広島出身で、若くして核軍縮に関する取り組みに参画してきた
[18]。また、国連がユースのために提供しているYouth4Disarmamentの元メンバーでもある。
 
倉光氏は、ユース世代は核兵器の発展や実験、使用とその人道的影響を非常に懸念していることを訴え、また自らが被爆者の体験談を聞いて育ったことにも触れ、核兵器国が2,000回以上の核実験を過去に行ってきたことを強く非難した。また、核実験による健康、社会、環境への悪影響は未だに続いているものの、十分に理解されていないとして、核実験を二度と行わないというコミットメントの必要性を訴えた。そして、近頃米国で核実験再開を求める声があること、ロシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を取り消したことを批判しつつ、地球を将来的に受け継ぎ、そこに残る核実験の影響を引き継がなければならないユースの世代として、核実験を止めることに失敗することは選択肢としてあり得ないと強く主張して、演説を終えた
[19]
 
倉光氏は決して日本人であるという理由で選ばれた訳ではないが、広島出身のユースが、国連総会で各国の指導者に核実験を決して行わないコミットメントを求めたことは、非常に意義があったと言えよう。また、このような場にユースの代表を招待してその声に耳を傾けることは、まさに「未来のための協定」でも強調された、将来世代の意見を政策決定にも取り入れる「フューチャー・デザイン」の証左とも言えるだろう。
 
4 総 括
本稿では国連未来サミットとその採択文書を概観し、現代世代の決定が将来に影響を与えることに触れて、国連が将来世代やユースの意見を取り入れることを真剣に受け止めていることを紹介した。また、特に安全保障の分野においては、現在の各国の指導者は「未来のための協定」の中で、戦争と平和に関わる問題を自分たちの先の世代に先送りしてはならないことを相互に確認した。一方で、日本が支援する「ユース非核リーダー基金」などの取り組みは、ユースに対する軍縮教育によって将来の問題の解決策を現在から育んでいる。そして、国連総会の核実験に反対する国際デーにおけるユース代表の倉光氏の演説は、ユースが各国の指導者に現在の問題を解決するように訴え、将来の世代の意見を現在の政策決定に取り入れる重要な機会となった。
 
このように、将来世代やユースを視野に入れるというのは、国際社会の場では非常に重要なテーマとなっており、その重要性は国家レベルや企業レベルでも変わらない。安全保障に関わる機関や企業も、この動向を理解するとともに、自ら実践する姿勢が今後ますます求められていることは間違いない。

 
 (筆者略歴)
防衛省で数年間勤務した後、現在ニューヨークにて国連関連の業務に携わる。本稿の見解は個人のものであり、現在または過去所属した組織の意見や立場を代表するものではないことを断っておく。

 

【注】
[1] United Nations, “What is the Summit of the Future?” https://www.un.org/en/summit-of-the-future/about 
[2] United Nations, “Pact for the Future”, Declaration on Future Generations, p 52. https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf 
[3] United Nations, “Youth”.  https://www.un.org/en/global-issues/youth 
[4] United Nations, “Pact for the Future”, Declaration on Future Generations, p 52. https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf 
[5] 国連広報センター、「国連憲章テキスト」、前文。https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/ 
[6] United Nations, “Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development”, Planet. https://sdgs.un.org/2030agenda
[7] United Nations, “Youth”. https://www.un.org/en/global-issues/youth 
[9] United Nations, “Pact for the Future”, Global Digital Compact, p 37. https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf
[10] United Nations, “Pact for the Future”, Declaration on Future Generations, p 52. https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf
[11] United Nations, “Pact for the Future”, International Peace and Security, pp 11-19. https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf
[12] 外務省、「『ユース非核リーダー基金』プログラム参加者の募集開始」、2023年5月18日。https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009715.html 
[13] United Nations Office for Disarmament Affairs, “Global launch of the “Youth Leader Fund for a World without Nuclear Weapons” innovative learning programme”, February 17, 2024. https://disarmament.unoda.org/update/global-launch-of-the-youth-leader-fund-fora-world-without-nuclear-weapons-innovative-learning-programme/ 
[14] 外務省「『ユース非核リーダー基金』訪日プログラム(広島・長崎スタディツアー)石原内閣総理大臣補佐官のユース国際会議へのビデオメッセージ発出及びユースとの意見交換」、2024年8月30日。https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/pageit_000001_01019.html 
[15] United Nations Office for Disarmament Affairs, “Youth Leader Fund Participants Adopt DeclarACTION”, September 5, 2024. https://disarmament.unoda.org/update/youth-leader-fund-participants-adopt-declaraction/ 
[16] 日本の団体はしばしば日本を唯一の被爆(被ばく)国と自称することがあるが、正しくは唯一の「戦争」被爆(被ばく)国である。戦争中に核兵器を使われたのはこれまで日本だけだが、英米仏などが太平洋で行った核実験や、或いはソ連の中央アジアでの核実験で被ばくした人々やコミュニティは多く、それらの環境、健康、社会、文化的影響は未だに残っている。日本が参加していない核兵器禁止条約ではこれらの被ばくしたコミュニティなどへの支援を求めており、また、国連総会でもこのような核兵器の人道的影響を中心に据えるアプローチは勢いを増している。このようなアプローチを前に、日本がアメリカの核の傘に入り続けていることもあり、唯一の戦争被爆国である日本が、非核化に向けた国際社会の努力の主流派或いは中心的存在となっていない現状は否定できない。なお、用語の使用法に確立された厳密な区分がある訳ではないが、本稿では「被爆」を直接に爆発に伴う被害(爆風、熱線、放射線)を受けた場合、「被ばく」を核実験等も含めた放射線による被害を受けた場合に使い分けている。
[17] United Nations, “International Day against Nuclear Tests”, https://www.un.org/en/observances/end-nuclear-tests-day
[18] NHK、「『核軍縮は長いマラソン』走り始めた大学院生」、2023年5月12日。https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2023/05/story/story_230510/ 
[19] 倉光氏の演説全文は、次のリンク参照。Arms Control Association, “REMARKS: Closing the Door on Nuclear Testing to Honor Past Generations and Build a Better Future for the Next Generations”, September 4, 2024.
https://www.armscontrol.org/remarks-closing-door-nuclear-testing-honor-past-generations
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(調達)】GA-ASI社、ポーランド国防省からMQ-9B 3機を受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn3xbgyg2 2024-12-25T11:00:00+09:00
「MQ-9Bスカイガーディアン」無人航空機
【出典】General Atomics Aeronautical Systems社:
https://www.ga-asi.com/poland-to-acquire-three-mq-9b-skyguardians-from-ga-asi 


 
米航空機・防衛大手であるジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI:General Atomics Aeronautical Systems)社は12月16日、ポーランド国防省から遠隔操縦航空機(RPA:Remotely Piloted Aircraft)「MQ-9Bスカイガーディアン(Sky Guardian)」を3機受注したと発表した。同社が最新開発したRPAシステムであるMQ-9Bはポーランドの情報収集・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance, Reconnaissance)プラットフォームの基盤となることが期待されている。
 
GA-ASI社によると、今回のポーランドによる調達には、同社が開発した地上管制装置(CGCS:Certifiable Ground Control Stations)
[1]2基、およびGA-ASI社が提供しているスカイガーディアン・グローバル・サポートソリューション(SGSS:SkyGuardian Global Support Solutions [2])による3年間のサービスが含まれているという。
 
MQ-9Bは、卓越した長時間飛行能力と航続距離を備え、衛星通信による自動離着陸が可能だ。またGA-ASI社が開発した検知・回避システム(Detect and Avoid system)を利用し、非分離空域での運用もできる。
 
GA-ASI社のデビッド・R・アレクサンダー(David R. Alexander)社長は「MQ-9Bスカイガーディアンは、ポーランドに持続的なマルチドメインでの状況認識をもたらす」と述べ、「スカイガーディアンは重要な防衛装備品であり、当社はポーランドとの密接なパートナーシップを引き続き強化していく」とも付け加えた。
 
ポーランドは2022年にリース契約の一環として、GA-ASI社が設計した無人航空機であるMQ-9Aリーパー(Reaper)を調達した。同無人機の運用結果を踏まえ、今回はMQ-9Bスカイガーディアンの購入契約を締結することとなった。
 
ポーランド国防省は「MQ-9Bスカイガーディアン無人偵察システムの供給契約が締結されたことで、ポーランド軍のISR能力の向上が期待される」と評価している。
 
遠隔操縦航空機システム、レーダー、電気光学および関連ミッションシステムの設計メーカーであるGA-ASI社は、2022年にイギリス空軍に対して、MQ-9Bの納入を開始した。その後、同社はMQ-9Bを採用することにした日本の海上自衛隊・海上保安庁を含め
[3]、世界中の軍隊や法執行機関との契約を締結している。
 
【注】
[1]CGCS(Certifiable Ground Control Stations):GA-ASI社が開発したソフトウェアを含む、MQ-9およびその他の無人航空機向けの遠隔操縦に使用する地上管制装置。
 
[2]Sky Guardian Global Support Solutions(SGSS):GA-ASI社が2021年2月に発表したMQ-9B向けの、ライフサイクルコストの削減とリスクの低減等を保証しているサポートプログラム。
 
[3]海上保安庁は2024年8月、海上哨戒向けのMQ-9B「シーガーディアン(Sea Guardian)」を2機取得することに合意し、2025年に納入する予定である。防衛省も今年11月、「海上自衛隊の滞空型無人機(UAV)として必要な要求事項を全て満たしているものであった」とし、MQ-9Bシーガーディアンの採用を決定した。 

 
【出典】
https://www.ga-asi.com/poland-to-acquire-three-mq-9b-skyguardians-from-ga-asi 

https://www.ga-asi.com/ga-asi-launches-skyguardian-global-support-solutions 

https://www.ga-asi.com/ground-control-stations/certifiable-ground-control-station

https://www.ga-asi.com/japan-buys-two-seaguardians-from-ga-asi  

https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/11/15c.html 



 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnbzwmauj 2024-12-25T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 海上自衛隊、長距離監視任務に「シーガーディアン」を選定 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn5awoamb 2024-12-24T17:00:00+09:00
滞空型無人機(UAV)「シーガーディアン」
【出典】Asian Military Review:
https://www.asianmilitaryreview.com/2024/12/jmsdf-selects-seaguardian-for-long-range-surveillance-operations/

ジェネラル
・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(以下、GA-ASI)社は、12月3日、海上自衛隊が長時間滞空型無人機プログラムにGA-ASI社のシーガーディアン中高度・長時間滞空型無人機(以下、MALE UAV)を選定したと発表した。 

海上自衛隊が購入する「シーガーディアン・システム」の数は明らかにされていない。

GA-ASI社によると、海上自衛隊は2023年5月に、本州北部の八戸航空基地から「シーガーディアン」の試験運用を開始した。

同社は2023年2月、海上自衛隊のMALE UAV試験運用プロジェクトを支援する企業に選定されたと発表しており、今回の動向はこれに続くものである。

このUAVはすでに海上保安庁で大きな成功を収め、同庁は2024年8月にはさらに2機のUAV「シーガーディアン」の取得に合意している。海上保安庁は2023年に2機の「シーガーディアン」を取得しており、この機体は2023年5月のG7広島サミットや、2024年1月の能登半島地震後の捜索救助活動など、注目度の高い任務に広く使用されている。

海上保安庁は当初、GA-ASI社との会社所有・請負業者運用(COCO)契約に基づき、2022年4月から「シーガーディアン」1機を運用していた。本契約に基づき、「シーガーディアン」は同年10月から、八戸航空基地を拠点として日本海および太平洋上空で海上広域捜索(MWAS)任務を遂行している。

GA-ASI社は、センサーフュージョンおよびセンスメイキング・システムであるOptix+ソフトウェアスイートを提供する。これは、「シーガーディアン」のセンサーやその他のデータソースから自動的に情報を収集し、簡単に共有できる共通の作戦画像を提供するものだ。このUAVにはすでに、逆合成開口レーダー(ISAR)画像モードを備えた2つのマルチモード海面捜索レーダー、自動識別システム(AIS)受信機、光学および赤外線カメラ、電子情報受信機を搭載した高解像度フルモーションビデオセンサーが装備されている。

 
著者: Jr Ng
 

この記事は「アジアン・ミリタリー・レビュー(Asian Military Review)」誌の記事を翻訳し、転載しているものです。同誌はバンコクに拠点を置く、アジア太平洋地域で最大の発行部数を誇る防衛専門誌です。2024年4月より、NSBT Japanは「アジアン・ミリタリー・レビュー」との記事交換を行っています。

原文はこちら
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】欧州4カ国、次世代戦闘機用HMD開発でBAE社に投資 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnw5nse7s 2024-12-24T14:00:00+09:00
「ストライカー(Striker) II」を装着したパイロットのイメージ
【出典】BAE Systems社:
https://www.baesystems.com/en/article/european-nations-invest-in-bae-systems-most-advanced-fighter-pilot-helmet


英国の航空・防衛大手BAEシステムズ(BAE Systems)社は12月11日、戦闘機「ユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon)」[1]の生産を手掛けるコンソーシアム(共同事業体)と、同社のヘルメット・マウント・ディスプレイ(HMD:Helmet-Mounted Display)「ストライカー(Striker) II」の性能向上に関する1億3,300万ポンド(約258億円)の契約を締結したと発表した。
 
ドイツ、イタリア、スペイン、英国の4カ国からなるユーロファイター・コンソーシアムが発注した今回の契約の下、BAEシステムズ社のエンジニアは飛行試験プログラムと並行してヘルメットの機能向上に取り組む。
 
ストライカーII HMDは、オールデジタルの暗視装置と太陽光の下でも認識可能なカラーディスプレイを統合した、世界で最も先進的な戦闘機用ヘルメットのひとつ。データはパイロットのヘルメットバイザーに直接表示され、重要な任務情報を眼前に提供する。
 
この契約により、英国のランカシャー州ウォートンにあるBAEシステムズ社の戦闘機開発・製造拠点と、ヘルメット搭載型ディスプレイの開発を専門とするケント州ロチェスターの電子システム部門で、200人以上の技術職が新たに雇用される見込みだ。
 
BAEシステムズ・エア(BAE Systems Air)の欧州&国際部門マネージング・ディレクター、リチャード・ハミルトン(Richard Hamilton)氏は「ストライカーIIヘルメットは、次世代タイフーンのパイロットに、ますます複雑化し激化する戦場において極めて重要な優位性を提供することを目的としている」と述べた。
 
NATOユーロファイター・トーネード管理機関
(NETMA:NATO Eurofighter and Tornado Management Agency)のゼネラルマネージャー、サイモン・エラード(Simon Ellard)氏は「運用環境が絶えず革新されていく中で、現在および将来の脅威に対応するためにユーロファイターの能力を高めることが不可欠だ」とし、「ストライカーIIの能力をさらに向上させる今回の契約は、ユーロファイターが今後も最新鋭であり続け、技術革新の最前線に立ち続けることを保証する」と強調した。
 
BAEシステムズ社は、英国国防省が2023年9月に発表した4,000万ポンド(約77億6,000万円)の契約の下、すでにストライカーIIの開発を進めており、今後数カ月以内にヘルメットの飛行試験が実施される見込みである。今回の投資を原資として同社は計画を次の開発段階に進め、ヘルメットを生産可能な水準に高める予定だ。
 
※1ポンド=194円で換算

 
【注】
[1]ユーロファイター・タイフーン(Eurofighter Typhoon):NATO加盟国のうち英国、ドイツ(計画開始当時は西ドイツ)、イタリア、スペインのヨーロッパ4カ国が共同開発した戦闘機。デルタ翼とコックピット前方にカナード(前翼)を備え、カナードデルタ(canard-delta)と呼ばれる形式の機体構成をもつマルチロール機である。
 
【出典】
https://www.baesystems.com/en/article/european-nations-invest-in-bae-systems-most-advanced-fighter-pilot-helmet
 
https://ukdefencejournal.org.uk/eurofighter-nations-invest-133m-in-next-gen-pilot-helmet/
 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnj9mg725 2024-12-24T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 中国の新ステルス・コーティングが対ステルスレーダーを無力化する https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnxmaowwr 2024-12-23T16:00:00+09:00
中国の新型ステルス戦闘機J-35
中国は、自国の航空機を対ステルスレーダーから事実上「見えなくする」ことができるとう、ステルスコーティングを発表した。
 【出典】Xhttps://x.com/AlexBarnicoat_/status/1856403848316797097/photo/3

 
ニューヨークとイスタンブールに拠点を置き、最新の科学技術の進歩や技術革新などを発信するInteresting Engineering(インタレスティング・エンジニアリング)によると「中国軍は、ステルス捜索レーダーからターゲット(ステルス機)を隠すことができる新しい表面コーティングを開発した」という。このコーティングは中国国防科技大学が開発したもので、電磁波を吸収して熱に変換するよう設計されており、これによって、航空機のレーダー視認性が大幅に低下する可能性があると述べている。
 
この素材は、波長2.3フィート(約70㎝)から0.6フィート(約18㎝)の電磁波を吸収でき、ほとんどのステルス対策レーダーで使用される主要な周波数帯をカバーしている。
 
中国の研究者は「実験室でのテストでは、この素材が印刷用紙2枚分の厚さでありながら、さまざまな角度から低周波の電磁波を効果的に吸収できることが確認された。このような能力は、これまで不可能と考えられていた」と述べる。
 
<現在の対電磁波コーティング>
現在のF-35、F-22などのステルス機に使われている対電磁波コーティングは、目標捕捉レーダーの高バンド(Cバンド、Xバンド等)に対して高い効果を発揮するものの、すべてのレーダー帯域に対応できるわけではない。このため、対ステルス用のレーダーでは一般的に対応できない低バンド(VHFなど)の帯域が使用されている。
 
対ステルス用レーダーの戦歴として、1999年3月、ユーゴスラビアにおいて米空軍のステルス爆撃機「F-117A」がセルビア軍のVHFレーダーに発見され、撃墜された事例がある。
 
これまでステルスのコーティングは薄いため、VHFなど波長の長いレーダー波を効果的に吸収するのは難しいとされてきた。しかし、2024年10月に中国の機関誌「電子通信エンジニアリング」で発表された論文によると、「新しいコーティングはこれまでステルス化が難しいとされていた低バンド(VHFなど)のレーダーにも対応可能である。この素材はレーダー波を熱エネルギーに変換して消滅させ、航空機などの位置が捕捉されないようにする」という。
 
このことが事実であれば、従来の限界を克服する画期的な進歩であり、ステルス機のレーダー探知に対する防御力を大幅に強化する可能性がある。さらにこの素材は軽量で柔軟性に優れ、大量生産が容易であるという。そのため、中国の科学者たちは、この費用対効果の高い素材が、航空機や他の防衛装備のステルス技術を進化させることを期待している。
 
新素材は、自然界には存在しない特性を持つ「メタマテリアル」で作られている。メタマテリアルとは、幅広い周波数の電磁波を吸収し、その波を微細に操作できる特殊な素材である。 
 
中国の研究者たちは、最新の材料工学を活用し、金属内部に電子回路を構築した。この回路は電磁波を受けると電流を生成し、それを熱に変換して周囲の空気中に放散する仕組みである。
 
国家重点実験室の研究員である崔氏は、「新コーティングには高価な材料を使用していない。この素材は、さまざまな軍事装備に応用可能であり、中国が将来の戦闘で勝利するための重要な鍵となる可能性が高い」と述べている。
 
<中国のステルス能力向上が意味するもの>
一見すると、この新素材によって中国のJ-35やJ-20といったステルス機がF-35やF-22を凌駕するかのようにも感じるが、話はそう簡単ではない。米軍は確固とした航空戦力を持ち、全体として敵の防空システムが最大の脅威であるため、対応する周波数帯を中国のように広くする必要性が低い。一方で、中国は航空機をいかに米軍に探知されずに接近するかが問われており、可能な限り遠くから探知されずに米軍に迫りたいと推測する。
 
航空戦力は覇権争いに大きく影響することは間違いないことであり、それに関連する動向についてNSBTは今後も注目していく。

 
【参考】
https://interestingengineering.com/innovation/china-new-stealth-coating-blinds-radars
 
https://en.mehrnews.com/news/224940/China-new-stealth-coating-blinds-anti-stealth-radars
 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】サーブ社、スウェーデンから3次元レーダー「シージラフ 1X」受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fn4mky42d 2024-12-23T14:00:00+09:00
海軍レーダー「シージラフ(Sea Giraffe)1X」
【出典】Saab社:
https://www.saab.com/newsroom/press-releases/2024/saab-receives-order-from-sweden-for-sea-giraffe-1x-naval-radar


スウェーデンの航空・防衛大手サーブ(Saab)社は12月13日、スウェーデン国防装備庁(FMV)から同国海軍向けレーダーシステム「シージラフ(Sea Giraffe) 1X」を受注したと発表した。契約額は約3億4,000万スウェーデン・クローナ(約47億6,000万円)で、2024年から2026年にかけて納入される予定だ。
 
この契約には、訓練用および水上艦艇搭載用のさまざまな設定のシージラフ 1Xが含まれている。
 
サーブの監視事業部門責任者、カール=ヨハン・ベルホルム(Carl-Johan Bergholm)氏は「シージラフ 1Xは、沿岸および沿岸域の防護に貢献し、空中水上の脅威を探知、追跡、識別する高度な能力によって海軍部隊を強化する」と述べた。
 
シージラフ1Xは、軽量な多重ビーム方式3次元アクティブ電子スキャンアレイ(AESA:Active Electronically Scanned Array)レーダー
[1]で、Xバンドで動作し、アンテナ面積は1平方メートルである。ドローンを含む空中および水上の物体を同時に探知、追跡、識別する能力を備えている。
 
このソフトウェア定義型レーダーは、新たな脅威に対応するためのアップデートが可能で、小型艦艇から大型艦艇、さらに自律型無人水上艇などにも適している。サーブ社によれば、同レーダーは「高度な電子妨害対策(ECCM:Electronic Counter-Countermeasure)能力を提供する」という。
 
※1スウェーデン・クローナ=14円で換算

 
【注】
[1]アクティブ電子スキャンアレイ(AESA:Active Electronically Scanned Array)レーダー:コンピュータ制御によるアレイアンテナ。アンテナを動かすことなく、電磁波のビームを電子的に異なる方向に向けることができ、複数の周波数で複数のビームを照射することが可能。
 

【出典】
https://www.saab.com/newsroom/press-releases/2024/saab-receives-order-from-sweden-for-sea-giraffe-1x-naval-radar
 
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/c4isr/sweden-signs-usd31-million-sea-giraffe-deal-with-saab

 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
テラ・ラボ 南海トラフ地震に備え名古屋空港に「テラ・ラボ 災害対策オペレーションセンター」を初披露 https://nsbt-japan.com/u/takahide/mehfmv29gio5og 2024-12-23T10:00:00+09:00

株式会社テラ・ラボ(本社:愛知県春日井市、代表:松浦孝英、以下「テラ・ラボ」)は、長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」による広域災害対策オペレーションシステムの研究開発を行うスタートアップ企業です。

2024年12月13日(金)、県営名古屋空港旅客ターミナルビル3階フロア(558.48㎡)にて、「テラ・ラボ 災害対策オペレーションセンター」を初披露、運用に向けてこれまでの実証実験などの取り組み等の発表を行いました。大規模な災害の発生とともに、テラ・ラボが開発を進める固定翼型無人航空機「テラ・ドルフィン」により、広域、高速、高精度に情報収集を行い、南海トラフ地震の被災が想定される市町村の危機対策部門や消防等組織へダイレクトにプッシュ型で情報提供が行えるよう体制を整え、今後の社会実装に向けた取り組みについて説明を行いました。
 


「テラ・ラボ 災害対策オペレーションセンター」情報解析室では、
航空機等による情報の三次元解析を行い、広域災害の初動期の現況図を早期に
クラウド上のGIS(地理空間情報システム) を活用し迅速に情報共有を行う



「テラ・ラボ 災害対策オペレーションセンター」危機対策室では、
南海トラフ地震を想定し、多組織といち早く連携ができるよう
平時から研修や訓練を通じて、災害時に実効性のあるオペレーションを目指す

 

南海トラフ地震が30年以内に80%以上の確率で起こると言われています。政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(以下、「南海トラフ巨大地震」という)が発生した際の被害想定を実施しています。この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。(内閣府、気象庁より引用)

名古屋空港北西部(豊山町青山地区)では、南海トラフ地震等の大規模災害時に、全国からの応援人員や物資等を円滑に受け入れ、被災現場や地域の防災拠点に迅速かつ的確に供給する「愛知県基幹的広域防災拠点」の整備の計画が進んでいます。
 


南海トラフ地震 強震動生成域が陸側寄りの場合の震度分布図(引用:気象庁)
 

テラ・ラボは、2023年4月に「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル 2030 」のプロジェクトチームに参画、本プロジェクトは、2024年4月、内閣府デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ)に愛知県が採択され、テラ・ラボは、2024年度「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030  災害対策ドローン社会実装推進業務(愛知県)」を受託しました。

持続可能な運⽤を⽬指すために、有事だけでなく、平時におけるビジネスモデルの検討を⾏うとともに、災害時にドローンを活用するスキーム「愛知県版ドローン災害対応モデル」の作成を行っています。
 

テララボが保有する計測装置を搭載した検証用航空機(有人)
「Diamond Aircraft Industries社 HK36 Super Dimona」


テララボが開発を進める長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」による
広域災害対策情報支援システム(飛行試験を実施している実機を展示)

 

■テラ・ラボ 経緯

・テラ・ラボは、2014に創業。広域災害対策用長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」の開発を開始。
・2016年から、名古屋市と中部大学による「地理情報システム等を活用した防災・減災対策に関する相互連携協定」に参画し、南海トラフ地震を想定した大規模災害発災時における積極的な情報収集、伝達、共有の強化を行うために、被災状況の情報収集方法と可視化に向けてダッシュボードを検証。​
・2019年から、福島県イノベーション・コースト構想に基づきが整備された「福島ロボットテストフィールド」において、東日本大震災の知見を活かし大規模災害に備えた広域災害対策オペレーションシステムを検証。2021年には、広域災害対策オペレーションシステムを実装した「Terra Labo Fukushima(テララボ福島)」を開設。
・2022年から、愛知県内で大規模災害を想定、検証用航空機(有人航空機)による、飛行計画や解析方法を検証。
・2023年から、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル 2030 」に参画。
※2024年4月、内閣府デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ)に愛知県が採択される。
・2024年5月、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030  災害対策ドローン社会実装推進業務(愛知県)」 の実施委託事業者として選定。
・2024年12月13日、県営名古屋空港旅客ターミナルビルに「Terra Labo Aichi(テララボ愛知)※災害対策オペレーションセンター」を設置

■会社情報
株式会社テラ・ラボ
業種:情報通信
本社:愛知県春日井市不二ガ丘3-28
電話:050-3138-1612
代表:松浦 孝英
設立:2014年03月
URL:https://terra-labo.jp

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https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnugutm68 2024-12-23T09:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 中国の「低空経済」戦略とその向こう側 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnmpa92wp 2024-12-20T18:00:00+09:00
高度1,000m以下の低空経済のイメージ
【出典】ChatGPT

 
近年、軍用・民用を問わずドローン(無人航空機)の活用が急速に広まっており、とりわけ中国では「低空経済」が成長を遂げている。荷物の配送、農地の管理などを目的としたドローンの開発が進められており、軍民を問わず多くの関係者から注目が集まる。
 
低空経済とは、主に高度1,000mの空域を利用した経済活動であり、ドローンの発達によって市場が著しく拡大している。世界各国でドローンの開発・利用が進んでおり、日本でも僻地への物流、災害時の出動を想定した開発が行われているだけでなく、空中タクシーなどの構想もある。
 
とりわけ低空経済の発展が著しい中国では、既にビジネスとして確立されているサービスも多くある。例えばレストランなどで注文した商品を配送スポットで受け取れるフードデリバリーサービスが人気を集めているほか、広大な農地での肥料や農薬の散布、品質管理などにもドローンが広く利用されるようになっている
[1]。中国民用航空局によると、中国の低空経済の市場規模は2025年には1.5兆元(約31.5兆円)、2035年には3.5兆元(約73.5兆円)に拡大するとの試算だ[2]
 
同時に中国は、民用ドローンの開発、製造においても世界をリードしている。深圳に本社を置く大疆創新科技有限公司(DJI)は、世界の民生用ドローン市場の7割以上を占める
[3]。他にも深圳市道通智能航空技術(Autel Robotics)や成都縦横自動化技術(JOUAV)といったリーディングカンパニーが名を連ねる。
 
注目を集めている最新ドローンの1つに、ユナイテッド・エアクラフト(United Aircraft)社製のTD5-280がある。TD5-280はヘリコプター型ドローンで、100㎏を積載可能という高いペイロードを備えており、2時間以上も飛行できる。さらには出力を維持しつつ軽量化に成功し、高い機動力も実現している
[4]
 
また同社製のTD550は、高い飛行能力を備えたヘリコプター型ドローンだ。衛星ナビゲーションシステムや光ファイバー慣性航行システムを搭載しており、プログラム飛行や全自動飛行が可能であるほか、自動離着陸、障害物回避といった機能も備えている
[5]
 
また、前述したフードデリバリー用ドローンは、デリバリーサービス大手の美団が独自に開発、運用するものだ。独自のナビゲーションツールや運行管理システムを利用し、自社の設備である配送スポットまで飛行する
[6]。本格的に運用が開始されてから4年程度が経過しているが、目立った欠陥は見つかっておらず、さらには有人の配送と同水準の配送料を実現し順調な運用を続けている。
 
このように中国では低空経済とドローン技術が著しい発展を見せている。高いドローン技術には軍民を問わず大きな需要があり、軍事と民間の間における技術の転用性も高い。中国の民間ドローン技術は、将来的には軍事ドローン技術にも転用(スピンオン)されるともいえる。まさに「低空経済」戦略の向こう側には軍事における低高度空域の支配という思惑があるのではないか。
 
一方日本でも急速にドローン開発が進められている。中国と比べ後れをとっているものの、軍事、民間双方で、ドローンに対する需要は大きい。民間での利用には法的な障壁も大きいが徐々に緩和されつつあり、災害時の出動や河川・土砂の監視は解禁される方向で調整が進んでいる
[7]。日本でも民間利用が広まれば、ドローン技術に対する需要も一層拡大するだろう。
 
※1元=21円で換算

 
 
【注】
[1]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC031Q10T01C24A0000000/
[2]https://diamond.jp/articles/-/342570
[3]https://strainer.jp/notes/7307
[4]https://www.drone.jp/news/20241107170516102837.html
[5]https://www.drone.jp/news/20241106164735102690.html
[6]
https://36kr.jp/146194/
[7]https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/02094/
 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnzxg8fpw 2024-12-20T16:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【政府情報(発表)】英陸軍、装甲車搭載レーザー兵器でドローンの初撃墜に成功 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fntz26k7c 2024-12-20T16:00:00+09:00
【出典】英国政府:
https://www.gov.uk/government/news/british-army-successfully-tests-new-drone-destroying-laser

 
英陸軍は12月11日、英国ウェールズ中部のラドナー射撃場で、装甲車両から高エネルギーレーザー兵器を発射し、飛行中のドローンを破壊することに初めて成功した、と英国防省が発表した。
 
英国防省によれば、地上部隊の防空を専門とする英国の王立第16砲兵連隊の兵士が戦術支援装甲車(TSV:Tactical Support Vehicles)「ウルフハウンド(Wolfhound)」
[1]に搭載されたレーザー兵器を使用してドローンの破壊に成功した。同省は、レーザー兵器が無人航空機の脅威に対処する費用対効果の高い手段であるとの認識を示している。
 
従来の兵器とは異なり、レーザー兵器は弾薬の供給に関して実質的に無制限であるため、費用対効果の高い選択肢となる。また同レーザー兵器は、ターゲットをロックし続けるための高度なセンサーと追尾システムを備えており、同装置は持ち運びが可能で操作が簡単であるとしている。
 
このレーザー兵器は、英国政府からの1,680万ポンド(約32億円)の契約に基づいて開発され、英国防省の防衛装備・支援(DE&S:Defence Equipment and Support)、防衛科学技術研究所(Dstl:通称チーム・ヘルサ)、レイセオン(Raytheon)社が率いる業界共同体との協力の下で開発された。
 
実地試験では、さまざまな距離と速度でホバリング中の数十機のドローンを破壊したが、その詳細は明らかにされていない。
 
ウクライナ戦争では、頭上を飛び交う多くの無人機の下で歩兵部隊が行動することを余儀なくされている。そうした状況を受け、欧州各国の軍隊では戦場でのドローンへの対抗策を模索している。米陸軍では9月にレーザー兵器を搭載したストライカー装甲車を試験的に運用し、ドローンを破壊した。また、フランスでもパリ五輪中に車両搭載型の対ドローンレーザーの試作機を配備した。
 
英国は今回実験したものとは別のレーザー兵器の開発にも取り組んでおり、今年の初めには「ドラゴンファイア」レーザー兵器を初めて空中の目標に向けて発射した。この兵器はMBDA社、レオナルド(Leonardo)社、キネティック(QinetiQ)社などの業界パートナーにより、 1億ポンド(約194億円)かけて開発されている。国防省は2つのレーザー兵器で採用されている技術は異なると述べている。
 
国防省によると、「ドラゴンファイア」レーザー兵器の発射コストは通常1発あたり10ポンド未満(約1,900円)で、陸軍と海軍の両方が将来の防空のためにこの技術を検討しているという。
 
※1ポンド=約194円で換算

 
【注】
[1]戦術支援装甲車(TSV:Tactical Support Vehicles)「ウルフハウンド(Wolfhound)」:英陸軍が運用している6輪装甲車。同様の装甲車に「ハスキー」(4輪装甲車)や「コヨーテ」(6輪装甲車)などのバリエーションがあり、各車両によって同軍のTSV車両のグループを構成する。前線パトロールに部隊と同行したり、水や弾薬などの戦闘物資を輸送したりするほか、前線基地建設資材の運搬、榴弾砲の牽引などさまざまな用途に用いられている。
 
【出典】
https://www.defensenews.com/global/europe/2024/12/11/british-troops-test-laser-weapon-as-cheap-option-to-fry-drones/
 
https://www.gov.uk/government/news/british-army-successfully-tests-new-drone-destroying-laser

 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnfbadihn 2024-12-20T10:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(発表)】ノースロップ・グラマン社、仏海軍向けE-2D生産開始 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnmvc6dr2 2024-12-19T17:00:00+09:00
【出典】Northrop Grumman社:
https://news.northropgrumman.com/news/releases/northrop-grumman-starts-production-of-first-e-2d-advanced-hawkeye-for-france

米国のノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)社は12月10日、フランス海軍向けのE-2Dアドバンスド・ホークアイ[1]の生産開始を発表した。
 
ノースロップ・グラマン社はフランス海軍に3機のE-2Dアドバンスド・ホークアイを納入予定で、製造が開始された1機目は2027年に納入される。E-2Dアドバンスド・ホークアイは最新鋭の早期警戒機で、空中給油機能などが大幅に強化されていることが特徴だ。
 
これまでフランス海軍は早期警戒機E-2Cホークアイ2000を空母シャルル・ド・ゴールで運用していた。今回生産されるE-2Dアドバンスド・ホークアイはこれに代わって導入される。
 
ノースロップ・グラマン社のジャニス・ジルチ(Janice Zilch)副社長は「当社とフランスのパートナーシップは25年以上前から継続してきた。当社はホークアイ2000でフランス海軍を支援してきたことを誇りに思っており、E-2Dアドバンスド・ホークアイで、意思決定の優位性において世代を超えた飛躍をもたらすことを楽しみにしている」と述べ、今回のE-2D納入への期待感を示した。

 
【注】
[1]E-2Dアドバンスド・ホークアイ:ノースロップ・グラマン社が開発したE-2早期警戒機の最新型。高性能のAN/APY-9レーダーを搭載し敵影を探知、データリンクによって情報収集・共有を行うことができる。日本の航空自衛隊も5機(2024年3月時点)を保有する。今回生産されるフランス海軍向けの機体は、滞空時間延長のため機首上に空中給油装置が装備される。通常の哨戒飛行時間は6時間。空中給油によって理論上10時間に伸ばすことも可能になる。
 
 
【出典】
https://news.northropgrumman.com/news/releases/northrop-grumman-starts-production-of-first-e-2d-advanced-hawkeye-for-france
 
https://www.northropgrumman.com/what-we-do/air/e-2d-advanced-hawkeye

 
 
 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnsz8ux36 2024-12-19T16:00:00+09:00 クライシスインテリジェンス管理者 【企業情報(発表)】コングスベルグ社、豪州製NSM発射装置の実証発射試験に成功 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnspvyr23 2024-12-19T13:00:00+09:00
【画像出典】Kongsberg Defence & Aerospace社:
https://www.kongsberg.com/kda/news/australia-news-archive/2024/kongsberg-successfully-fires-blast-test-vehicle-from-first--australian-made-nsm-launcher/ 


ノルウェーの防衛大手コングスベルグ・ディフェンス・アンド・エアロスペース(KONGSBERG:Kongsberg Defence & Aerospace)社のオーストラリア支社は12月10日、オーストラリア製のNSM(Naval Strike Missile)[1]発射装置からブースターロケットモーターとダミーのミサイル弾頭で構成された爆風試験ロケット(BTV: Blast Test Vehicle)の発射に成功したと、コングスベルグ本社が発表した。
 
試験は南オーストラリア州ポート・ウェイクフィールドにある共同試験実験施設(JPEU:Commonwealth Joint Proofing Experimental Unit)
[2]で実施された。
 
コングスベルグ社によると、この実証発射は、南オーストラリア州モーソン・レイクスに位置する同社の生産・整備施設で、オーストラリア製の部品を用いて組み立てたNSM発射装置「初号機」の実証試験の最終段階だという。今回の試験で、NSMのすべての発射機能に関わる装置の能力を検証できた。
 
NSM発射装置のキャニスターは南オーストラリア州アデレードに拠点を置く、複合材および板金製造会社エアロボンドディフェンス(Aerobond Defence)社が製造した。フレームとレールはビクトリア州にあるマランド・プレシジョン・エンジニアリング(Marand Precision Engineering)社が製造。同装置に使われている精密機械加工部品も、オーストラリアン・プレシジョン・テクノロジーズ(Australian Precision Technologies)社や、QPEアドバンスドマシニング(QPE Advanced Machining)社といった、いずれもオーストラリア国内に拠点を置く企業が製造している。
 
コングスベルグオーストラリア支社長のジョン・フライ(John Fry)氏は「オーストラリア製発射装置からBTVの発射が成功したことは、オーストラリア海軍にNSMを提供する上で重要なマイルストーンとなる。今後、オーストラリア製NSM発射機のフルレート生産を開始することができる」と述べ、同国内のサプライチェーン構築への関心も示した。

 
【注】
[1] NSM(Naval Strike Missile): コングスベルグ社の開発した対艦ミサイルで、高いステルス性能が特徴。同社は8月、オーストラリア政府と、ニューカッスル空港地区(ニューサウスウェールズ州ウィリアムタウン)にオーストラリア軍向けのNSM製造・整備工場を建設し、最大150人を雇用する方針で一致した。
 
[2]JPEU(Commonwealth Joint Proofing Experimental Unit): 2004年5月1日に設立され、高性能爆薬を使用するすべてのオーストラリア国防軍兵器システムの静的および動的試験を実施する施設。
 

【出典】
https://www.kongsberg.com/kda/news/australia-news-archive/2024/kongsberg-successfully-fires-blast-test-vehicle-from-first--australian-made-nsm-launcher/ 

 
 
 
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クライシスインテリジェンス管理者
【企業情報(契約)】ラインメタル社、チェコからレオパルト2A4を追加受注 https://nsbt-japan.com/u/admin01/j1ti2fnuubef9d 2024-12-18T17:00:00+09:00
主力戦車「レオパルト(Leopard)2A4」
【画像出典】Rheinmetall社:https://www.rheinmetall.com/en/media/news


 
ドイツの防衛大手ラインメタル(Rheinmetall)社は12月11日、チェコ政府から新たに14両の「レオパルト(Leopard)2A4」主力戦車(MBT:Main Battle Tank)[1]を追加受注したと発表した。
 
契約は、ラインメタル・ランドシステム(Rheinmetall Landsysteme)社の最高経営責任者(CEO)、ビョルン・ベルンハルト(Björn Bernhard)博士とチェコ国防省装備・調達部門の局長、ルボール・クーデルカ(Lubor Koudelka)氏によって調印された。
 
この契約には、各種弾薬やロジスティクス関連装備一式も含まれ、総額は約1億6,100万ユーロ(約256億円)。2026年末までに、チェコ独自の仕様に改修された14両のレオパルト2A4が納入される予定だ。同契約は既存の2つの「リングスワップ協定(Ring Swap Agreement)」
[2]を補完するものである。この協定に基づき、チェコ軍は以前レオパルト2A4を受領しており、代わりに旧式装備をウクライナ軍に引き渡している。
 
今回発注された弾薬およびロジスティクス関連装備のパッケージは、合計42両のレオパルト2A4主力戦車と2両の「ビュッフェル(Büffel)3」装甲回収車
[3]で編成される部隊向けに考案されたもので、部隊の即応態勢を高い水準で維持できる。
 
今回の調達により、チェコ軍は第73装甲大隊のソ連製主力戦車からドイツ製主力戦車への装備更新が完了する。
 
ビョルン・ベルンハルト博士は「この契約は、欧州軍の近代化支援に対するラインメタルの貢献を強調するものだ」と述べた。
 
※1ユーロ=159円で換算

 
【注】
[1]「レオパルト(Leopard)2A4」主力戦車(MBT:Main Battle Tank):ドイツが開発した第3世代主力戦車。砲塔の装甲が垂直方向を向いていることが特徴。44口径120mm滑腔砲を装備し、重量55.15トン、最高速度は時速68 km。ドイツでは更に改良が重ねられ、A4は保有していないが、ギリシャ、スペイン、トルコなど多数の国々が保有している。
 
[2]リングスワップ協定(Ring Swap Agreement):ウクライナを支援するために、ドイツ政府がドイツの近隣諸国やNATO同盟国と協力して策定した協定。具体的には、NATO加盟国がソ連時代の重装備をウクライナに提供し、その見返りとして西側の軍事システムを受け取るというもの。
 
[3]「ビュッフェル(Büffel)3」装甲回収車:レオパルト2戦車ファミリーに属する支援車両。主力戦車を含む重装甲車両の回収や様々な修理作業、燃料補給などにおいて重要な役割を果たす。
 

【出典】
https://www.rheinmetall.com/en/media/news-watch/news/2024/12/2024-12-11-czech-republic-orders-leopard-2a4-main-battle-tank-from-rheinmetall
 
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41826/czechs-order-more-leopard-2a4s/

 
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クライシスインテリジェンス管理者